読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:黄色ブドウ球菌のcontamination/梅毒感染のもやもや/難治性口腔内アフタ

さて、まとめまとめ。
今日はゲストも来てなかなか楽しかったですね。

黄色ブドウ球菌のcontamination PContamination of Staphylococcus aureus in blood culture

 黄色ブドウ球菌が血液培養から検出された場合には1セットでも真の菌血症と考え治療しましょう!というのはよく聞くメッセージです。まずこれがセオリー。
 でも、状況によっては”これは、コンタミだろう〜!?”って突っ込みたくなる時にS.aureusが生えることがありますよね。この場合、どう考えたら良いか?

 S.aureusにcontaminationはあるのか?ということで、サラッと調べてみました。UptodateとかDynemedにはあまり載って無くて、Pubmedでひいたところ、

Staphylococcus aureus in a single positive blood culture: causes and outcome.
Scand J Infect Dis. 2002;34(9):645-7.

という文献が見つかりました。
これによると、ある施設で2年間黄色ブドウ球菌の菌血症症例を解析したところ、61/235例(26%)が2セット中1セットのみ黄色ブドウ球菌が生えたと言う結果で、最終的にこのうち52例(85.2%)が真の感染症、9例(14.8%)がcontaminationだったと結論されていました。

  1割前後はあり得るかもね・・・と。ま、まずはcontaminationを出さないことが重要ですが・・・

✓ 原則黄色ブドウ球菌の血液培養陽性は真の感染症として扱うがcontaminationがないわけではない

 

梅毒感染のもやもや Syphilis a la carte

 梅毒は古くて新しい感染症と言われますが、いまだ入院時や手術時・内視鏡検査時に採血確認されるため、しばしば私たちを悩ませる問題です。私たちの目の前に現れるほとんどの患者さんは無症状で、いわゆる硬性下疳やバラ疹などはごくごくまれな現象です。


  無症状の場合には、多くの梅毒感染は潜在性(latent)になります。そして大概は感染時期不明なので、late latent syphilisになるかと思います。TPHA+、RPR+の時に、RPR定量を追加しガラス板法換算で8倍以上で治療対象とするというのが一般的です。ただ、RPR定量が低値でも前地帯現象などによるRPRの偽陰性があったり、latent syphilisだとtiterが下がりやすくなったりと一筋縄ではいきません。

 また、逆にSerofast reaction”という偽陽性の問題もあります。これは、治療してもRPR定量抗体価が持続陽性になることがあるという現象で、857 名の梅毒患者を治療した報告では、第1期梅毒と第2期梅毒の28%と44%の患者で、抗体価が36か月後でも陽性だったという報告があるためです。この場合は、治療出来たかできていないのかが区別が難しいですよね。この場合、疑わしきは”罰する=治療する”というのがより安全な方法だったりします。

  更にもやもやするのは神経梅毒です。神経梅毒にも早期と後期があり、さらには無症候性神経梅毒なる概念もあるんだそうです。髄液検査の適応として、
①神経症状や眼症状を有する患者
②活動性のある晩期梅毒(大動脈炎、ガマ腫)の所見
③治療の失敗
HIV感染患者の後期潜伏梅毒もしくは罹患期間不明の梅毒患者
などが言われています。でも、これって先に話していたlatent syphilisで感染時期不明だと、皆神経梅毒を考慮すべきということですか?

 更に、髄液VDRLをよく測定していましたが、これは特異度が高く疾患診断には使えますが、感度は30-70%と低く除外には使えません。逆に髄液FTA-ABSは特異度は低く偽陽性が増えますが、感度が高い為、陰性の場合に疾患除外に用いられると言われています。

 うん、まあ悩ましいところ満載です。

✓ 無症候性の梅毒診療にはモヤモヤがいっぱい

 

 

難治性口腔内アフタ  Intractable oral ulceration

 難治性口腔内アフタの定義として、1ヶ月以上治癒しない症例と定義されています。原疾患は多彩ですが、主な要因として、
①ウイルス感染(HIV・単純ヘルペス・水痘・帯状疱疹ヘルパンギーナ手足口病・慢性活動性EBウイルス
②真菌(口腔内カンジダ
③細菌感染(好中球減少等)
④Bechet病
⑤Crohn病/Celiac病
⑥尋常性天疱瘡/Wegener肉芽腫症/SLE
⑦血液疾患(Sweet病・悪性リンパ腫:NK/T cell等)
⑧微量元素欠乏(鉄・葉酸ビタミンB12
⑨熱傷・外傷・薬品・咬創
等が挙げられます。
 ちなみにアフタとびらん・潰瘍の定義も多少押さえておくと良いかもしれません。
アフタ:直径数mm大の比較的小さな円形あるいは類円系の境界明瞭な炎症性局面。白苔偽膜に被覆され周囲に紅量あり。
びらん:アフタよりややおおきな炎症性局面
潰瘍:上皮下結合組織に及ぶ深い欠損を潰瘍と呼ぶ。治癒後に瘢痕を残すのが特徴。

✓ 難治性口腔内アフタの鑑別を押さえておく

 

新口腔内写真の撮り方

新口腔内写真の撮り方