栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:急性アルコール性肝炎へのステロイドとペントキシフィリン

急性アルコール性肝炎へのステロイドとペントキシフィリン
Prednisolone or Pentoxifylline for Alcoholic Hepatitis*1

n engl j med 372;17 nejm.org April 23, 2015

【背景】
 アルコール性肝炎は、多量のアルコールを長期間摂取してきた患者に生じ、黄疸と肝機能異常を特徴とする症候群である。重症患者の死亡率は 30%を超える。プレドニゾロンやペントキシフィリン(pentoxifylline)が、重症アルコール性肝炎の治療薬として推奨されているが、実際にはcontroversyな部分もあり今回調べてみた。

【方法】
 プレドニゾロンとペントキシフィリンの治療効果を評価するために、2×2のfactorial designを用いた多施設共同二重盲検RCTが実施された。プライマリアウトカムは、28日時点での死亡率とした。セカンダリアウトカムは、90日および 1年時点での死亡率または肝移植とした。臨床的にアルコール性肝炎または重症アルコール性肝炎と診断された患者を、ペントキシフィリン vs プラセボと、プレドニゾロン 40mg vs プラセボのいずれかにランダムに割り付けられた。

【結果】
 1103人をランダム化し、1053人のデータを利用可能だった。プライマリアウトカムの28日死亡率は、プラセボプラセボ群 45/269人(17%)、プレドニゾロンプラセボ群 38/266人(14%)、ペントキシフィリン+プラセボ群 50/258人(19%)、プレドニゾロン+ペントキシフィリン群 35/260人(13%だった。ペントキシフィリン投与患者における 28 日死亡率のOR 1.07(95%CI:0.77-1.49)で、プレドニゾロン投与患者においては、OR 0.72(0.52-1.01)だった。90日および 1年時点の死亡・肝移植率にも有意差は認められなかった。重篤な感染症は、プレドニゾロンを投与した患者の13%で発現したのに対し、プレドニゾロンを投与しなかった患者では 7%で発現した。

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(本文より引用)

【結論】
 アルコール性肝炎患者では、ペントキシフィリンを投与しても生存率は改善しなかったプレドニゾロン有意水準には達しなかったものの 28日死亡率の低下に関連し、90 日および 1 年の時点での転帰の改善には関連しなかった。

【批判的吟味】
・COIあり
・アルコール性肝炎の診断は臨床診断であり、①アルコール>80g(男)>60g(女)、②Bil>4.7mg/dL
、③Maddrey score≧32点が対象患者。除外基準はAST>500、ALT>300など。
全体の一年後の死亡率or肝臓移植率は56%と非常に予後が悪いです。
ステロイドは短期予後を改善するかもしれませんが、長期的に効果は消えています。この原因として薬剤の性質的な問題以外には、再飲酒率の高さというのもあります。一年後禁酒できているのは全体の37%と報告されています。

【個人的な意見】
 アルコール問題は本当に多いのと、治らないので厄介ですよね。
 薬剤ももちろん、丁寧に検証した方が良いとは思うのですが、でも結局は禁酒以外に道はない気がしますが・・・

✓ 急性アルコール性肝炎に対するペントキシフィリンはほぼ無効で、プレドニンは短期予後を改善する可能性はあるが長期予後は不変