栃木県の総合内科医のブログ

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論文:複雑型尿路感染症へのCeftolazane/tazobactam

複雑型尿路感染症へのCeftolazane/tazobactam
Ceftolozane-tazobactam compared with levofloxacin in the treatment of complicated urinary-tract infections, including pyelonephritis: a randomised, double-blind, phase 3 trial(ASPECT-cUTI)*1

【背景】
 複雑性尿路感染症の治療は抗菌薬耐性が拡がってきており年々困難を極めてきている。今回、グラム陰性桿菌への活性を持った新規抗菌薬Ceftolozane/tazobactamの複雑性尿路感染症腎盂炎に対する治療効果と安全性を評価した。

【方法】
 ASPECT-cUTI研究は、無作為、二重盲検、二重ダミーの非劣性試験で25ヵ国209施設で行われた。2011年7月〜2013年9月の期間に、18歳以上の入院患者で濃尿を認め、腎盂炎もしくは複雑性下部尿路感染症と診断された患者が対象。経静脈的 Ceftolozane/tazobactam 1.5g 8時間毎と経静脈的 Levofloxacin 750mg 24時間毎に1:1でランダム割り付けを行った。無作為化はコンピューター制御で4つに分類され、割り付けは各施設で薬剤師によって対話式音声応答システムを通じて行われた。
 プライマリアウトカムは、細菌の消失(10^4未満)と治療5-9日後の臨床的な改善の複合アウトカムで、10%の非劣性マージン試験で修正ITT解析あり。

【結果】
 1083人の患者が組み入れられ、800人(73.9%)が実際に研究対象となった。そのうち656人(82.0%)が腎盂腎炎があり、微生物学的修正ITT解析が行われた。Composite outcomeは、Ceftolozane/tazobactam 306/398(76.9%)、Levofloxacin 275/402(68.4%)と非劣性だった(95%CI 2.3-14.6)。95%信頼区間の上限がゼロよりも大きく非劣性の証明だけでは無く、優位性が示唆された。有害事象は両群で差は無く、深刻なものはなかった。

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(本文より引用)

【結論】
 複雑性尿路感染症腎盂炎に対するCeftolozane/tazobactamでの治療は、高容量Levofloxacinよりも優れた治療効果が得られた

【批判的吟味】
・非劣性RCTで、modified ITT解析です。非劣性マージン10%。
・新規抗菌薬のstudy。非劣性試験でしたが、非劣性どころか優位性がありそうな結果でした。
・βラクタム+βラクタマーゼ阻害剤の配合薬で、意味合い的にはスルペラゾンⓇに近いでしょうか。抗緑膿菌活性を持った配合剤という意味では、ゾシンⓇの対抗馬かも知れません。
・今回の研究では、組み入れ時の尿培養で有意に菌が検出された73.9%(800人)が対象となっており、抗菌薬先行投与群の多くが除外されています。
・real worldでは、尿路感染症の比較的多くの割合に先行抗菌薬が入っており(これは別の問題なのですが)、本来はこの群の検証もしたいところです。
・実際の培養結果は大腸菌 78.6%、Klebsiella 7.3%で圧倒的に大腸菌。菌血症は8%程度の集団です。
・今回すごいのは、ESBL産生菌もカバーしていること。新規のCeftolozane/tazobactamでESBLカバーは75%、ただ、LVFXでも50%はカバーしていました。

【個人的な意見】
 ニューキノロンに対する優位性が示唆されたわけですが、ちょっと複雑です。そのくらいニューキノロンの耐性が拡がってしまっているという残念な結果でもあるわけです。当院でも大腸菌では感受性は80%前後。βラクタムの方がよほど効きます。

✓ 複雑性尿路感染症に対するCeftolozane/tazobactamはLVFXに非劣性だった