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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:ハンターになろう!/臍ヘルニア嵌頓/悪性腫瘍によるうつ

カンファ 病歴 研修医教育 診断 身体所見 悪性腫瘍 外科 消化器 精神

一週間お疲れ様です。
今週末はACP Japan@京都です。
どなたかお会い出来ますでしょうか?

ハンターになろう! Be a hunter!

 診断のプロセスには色々あると思いますが、臨床推論を積み重ねていくパターンもあれば、snap diagnosis的にスパッと診断するパターン。今回話題になったのはハンター的診断です。まあ、一種のsnap diagnosisと言っても良いかもしれません。

 具体的な例で言うと、当院にはレジオネラ肺炎ハンターがいます。ハンターは獲物がどんな相手かを知っているので、他の疾患を診断している最中にも、レジオネラセンサーを働かせています。このセンサーが働くためには、レジオネラがどんな奴かを良く知っている必要がありますし、何よりレジオネラを診断したい!という熱い想いが必要です。「重症の肺炎だから、ルーチンのレジオネラ尿中抗原を出して・・・」というサラッとした対応では無く、あれ?呼吸器症状ないのに低酸素が・・・下痢も?・・・比較的徐脈・・・若いのにsick・・・みたいなところがセンサーに引っ掛かると、検査を出す前から「レジオネラが疑われる!」となるわけです。単に検査を出しただけど、疑って出すことは全く違います。

 こうゆうものの結晶知がClinical Prediction ruleなんでしょうけど、何となく出した検査で診断がつくことよりも、よほど興奮します(変態ですね・・・)。working diagnosisを突き詰めていくとこういった楽しみも出てきますね。もちろんまだまだハンターになれていない疾患もたくさんあるので、少しずつハント出来る疾患を増やしていきたいと思っています。検査診断は投網漁、ハンター診断は一本釣りとも言えるかもしれませんね。

 そんな話題がカンファで出ていたら、金曜日も後輩のC氏がfine playをやってのけました!こんな面白さをシェアするために、みんなで症例をシェアしていくことは超重要です。というわけで、皆様!ハンターになりましょう!

 ✓ 疾患ハンターになるべく、日々症例の臨床診断にこだわろう!

 

 

臍ヘルニア嵌頓 Stangulation of umbilical hernias

 臍ヘルニアが関連する病態では、肥満・腹部膨満・腹水・妊娠があります。特に今回注意すべきは腹水です。理論的には、腹水が急激に減っていく際に、臍ヘルニアの嵌頓を起こすことがあり得るわけですね。腹水のコントロールを行っている時にこういったことを注意したことはあまり無かったです。

 臍ヘルニアは女性に多い疾患で、3:1程度の性差があるとされています。男性は比較的嵌頓しやすく、女性は還納可能な事が多いとも言われています。一般的にはヘルニア内容物には腸管だけでは無く、大網や腹膜前脂肪も含まれます。Richeter's herniaと呼ばれる腸壁ヘルニアもあり、診断が遅れることがあり注意が必要です。Richter's herniaは大腿ヘルニアに多い様ですね。

 臍ヘルニアはあまり症状が出ないことも多く、腹水が貯まっていたり、肥満があったりすると、スルーして気にならないことがあるかもしれません。日々注意して診断する必要がありますね。

急性腹症の早期診断 -病歴と身体所見による診断技能をみがく- 第2版

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✓ 腹水を引いている時には臍ヘルニアの嵌頓に注意!

 

悪性腫瘍とうつ Depression with malignancy

 高齢者のうつと悪性腫瘍は悩ましい問題です。特に超高齢で侵襲的な精査は希望されていないのだけれど、明らかにうつはあって、これがもし身体疾患から来るものなら・・・みたいなことはカンファレンスのディスカッションで多く診られます。自分自身も精神科閉鎖病棟にまで入院になった患者さんが、末期の悪性腫瘍だったという経験もしています。
 
 うつ病悪性腫瘍に合併する精神症状としては、かなりメジャーなものです。米国のNational registry study of cancer patients(n>21000)では、原疾患によって頻度は異なりますが、概ね6-13%にうつを合併していると言われています。大うつ病でもその頻度であり、抑うつ症状まで含めるとかなりの頻度になるとも言われています。

 うつが出やすいリスクとして、
①50歳未満
うつ病既往
悪性腫瘍の症状コントロールが不十分
 などが挙げられています。当たり前ですよね。更には、悪性腫瘍の部位もうつと関連すると言われており、頭頸部癌・膵癌・乳癌・肺癌はうつを合併しやすい悪性腫瘍です。
✓ 高齢者うつ病を診た時に、悪性腫瘍の存在は念頭に置いておく