栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:禁煙のための報酬制度の違いと効果

禁煙のための報酬制度の違いと効果
Randomized trial of four financial-incentive programs for smoking cessation*1

N Engl J Med 2015; 372:2108-2117,May 28,2015.DOI: 10.1056/NEJMoa1414293

【背景】
 金銭的報酬が多くの健康行動を促進することが知られているが、健康に対しての報酬制度でどの方法が最も有効な方法かは明らかではない

【方法】
 CVS Caremark社の従業員とその親族・友人を、禁煙に対する 4つの報酬プログラムまたは通常ケアに無作為に割り付けを行った。報酬プログラムの2つは個人を対象とし、残りの2つは6人の集団を対象とした。
 reward群は、個人プログラムの1つと集団プログラムの1つとし、それぞれ禁煙に対して1回クリアする毎に報酬を与え最大約800ドルの報酬を支払うこととした。
 残りのdepositプログラムでは150ドルの保証金を最初に支払ってもらってから、禁煙に成功した参加者には保証金150ドルの払戻しに加えて、650ドルの報酬を支払うという報酬制度だった。通常のケアは、禁煙に関する情報と無料の禁煙支援の提供とした。

【結果】
 合計で2538人を組み入れられ、rewardプログラムに割り付けられた参加者は、90.0%が割付けを受け入れたのに対し、deposit(保証金)プログラムに割り付けられた参加者で割付けを受け入れたのは13.7%だった。
 ITT解析から6ヵ月禁煙率は、4つの報酬プログラム(9.4~16.0%)の方が、通常のケア(6.0%)よりも高く、報酬制プログラムの優越性は12ヵ月間持続した。グループプログラムと個人プログラムでは、同程度の6ヵ月禁煙率を達成(それぞれ13.7%と12.1%)。rewardプログラムは、deposit(保証金)プログラムよりも高い禁煙率に関連していた(15.7% 対 10.2%)。

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(本文より引用)

しかし、受入れの差を考慮する操作変数法を用いると、depositプログラムとrewardプログラムのどちらでも受け入れたであろうと推定される13.7%の参加者において、6ヵ月禁煙率はdepositプログラムのほうがrewardプログラムよりも13.2 パーセントポイント高かった。

【結論】
 報酬制プログラムは、depositプログラムよりも受け入れられる頻度がはるかに高く禁煙維持率が高かった。グループを対象とした報酬プログラムが、個人を対象としたプログラムよりも有効ということはなかった。

【批判的吟味】
・RCTでITT解析を行っている。
・患者群は会社の従業員で、禁煙希望のある患者リクルート
・平均33歳で14年平均の喫煙歴があり、現在も15本/日程度喫煙継続している
過去にニコチン置換療法を受けている患者が70%以上いました。
・per protcol解析では、deposit群は52%禁煙しており、depositにも参加するような患者群は禁煙するという考え方もある。

【個人的な意見】
・やっぱり人間は現金だなあと。結局お金なのか・・・
・あとは長期予後でしょうね。12ヶ月時点では効果は良さそうですが、長期に渡って効果が持続するかは悩ましい所です。
・そしてこのお金は国の研究機関から出ているのでしょうか?
・supportedはNational Cancer Instituteから出ている模様

✓ 禁煙指導には報酬制度を駆使すると有用である