栃木県の総合内科医のブログ

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ACPJC:RCT follow up 1型糖尿病患者ではインスリン強化療法は死亡率を減少させる

ACPJCピックアップ。
そろそろ来月分が届くかなと。

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Association between 7 years of intensive treatment of type 1 diabetes and long-term mortality. 

Writing Group for the DCCT/EDIC Research Group, Orchard TJ, Na- than DM, Zinman B, et al.

JAMA. 2015; 313:45-53. .

臨床上の疑問:
1型糖尿病患者では、インスリン強化療法(IIT)は通常治療と比較して長期死亡率を減少させることが出来るか?

方法:
 
デザイン:1型糖尿病に対するRCT DCCTの長期間follow upであるEDIC研究の長期follow up研究。
 ②割り付け:ランダム割り付け
 ③盲験化:二重盲検、アウトカムは中央評価。
 ④follow up期間:平均27年(治療期間6.5年を含む)
 ⑤セッティング:27カ所のカナダと米国のクリニック
 ⑥患者:1441人の13-39歳までの1型糖尿病患者(平均27歳、53%が男性)、除外基準は、高血圧・脂質異常症・心血管疾患・15年以上経過した糖尿病、Alb尿≧200mg/日
 ⑦介入:
血糖正常化を目標としたインスリン降下療法群(711人)と通常治療群(高血糖と低血糖を避ける目標 730人)。治療期間は6.5年であり、介入後は主治医主体の糖尿病治療に戻った。インスリン強化療法群ではHbA1c 7%、通常治療群はHbA1c 9%。
 ⑧アウトカム:
全死亡
 ⑨follow up率:
99%以上(ITT解析)

結果:

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(本文より引用)

 インスリン強化療法は通常治療と比較して全死亡を減少させる。

結論:
 1型糖尿病患者では、6.5年間のインスリン強化療法は、27年後の死亡率を低下させる。

 結局インスリン療法は利益・害・負担のトレードオフです。インスリン強化療法は、微小血管合併症と大血管合併症を減らす事は分かっていますが、一方で、重篤な低血糖を増やし死亡と関連する事が言われています。全死亡に関しては、現時点では強化療法が吉と出るか凶と出るかは明らかになっていません。

 今回、1型糖尿病患者さんのデータベースとしては有名なDCT/EDIC研究の長期follow up研究結果が掲載されています。統計学的には有意差が出ていますが、その治療効果はNNT 22〜1194とかなり幅の広い結果でした。 

 ACPとしては、今回の結果はインスリン強化療法の効果はかなり薄まったのではないか?とコメントしています。現時点では若年糖尿病患者に、インスリン強化療法の治療効果は少ないが生存にメリットがあることは伝えることが可能です。

 最終的には、リスク・ベネフィット・患者負担のバランスを取りながら適応を共に考えていくことになります。