栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

NEJM Knowledge+:46歳男性 スタチンを投与するか否か

NEJMのKnowledge+です。
今日は病棟荒れ荒れ。
ようやく一息です。
今回の症例は患者さんのヘルスリテラシーの問題ですねえ。

症例:46歳男性 スタチンを投与するか否か

 46歳男性で高血圧と肥満既往があり、血圧・脂質コントロール目的に外来通院中。身長は180cm、体重 107kg、BMI 33だった。血圧コントロールは138/86mmHg、ヒドロクロロチアジドを内服中。父と兄は心筋梗塞既往があり、それぞれ51歳、52歳だった。
 患者は以前はロスバスタチンを内服していたが、数ヶ月前に新聞でスタチンが2型糖尿病リスクを高めることを知り、中断していた。

 彼の現在の採血結果は以下。

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(本文より引用)
 10年後の心血管イベントリスクの見積もりは9.3%だった。

68 歳の男性が部屋紡糸めまい、吐き気、嘔吐、歩くことができないことの急性発症を呈する。彼の症状は数時間持続しており、任意の位置に、または他の部分と治 まるしないでください。めまいは一定である。彼は以前、このようなエピソードを経験していない。彼は、 2型糖尿病、高血圧および高コレステロール血症の病歴を有する。 検査では、彼は左を見たとき、左に打つと右を見たとき右に打つ眼振がある。彼は臨床医の指に焦点を当てたときには減少しない。患者は、何かの上に保持する ことなく立ったり座っできず、ロンベルグ検査は正である。彼の頭の推力テスト、ヒアリング、そして耳科検査は正常である。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1523/#sthash.MGqFiQB0.dpuf


質問. この患者で最も適切な次に行うべき事は何か?

  1.  エゼミチブとバルサルタンを開始。
  2.  ロスバスタチンは使用せずアテノロールを開始
  3.  ロスバスタチンは使用せずアスピリンを開始
  4.  ロスバスタチンは使用せずメトホルミンを開始
  5.  患者さんを安心させロスバスタチンを再開

 

Key Learning Point

After initiation of a continuous intravenous insulin infusion in a patient who is in a hyperosmolar hyperglycemic state, the serum sodium level is expected to increase. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
高 血糖高浸透圧状態にある患者において持続静脈内インスリン注入の開始後、血清ナトリウムレベルが増加すると予想される。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
患 者に害を引き起こす医原医療ミスを伝えるための適切な方法は、エラーのオープンで正直なアカウントを提供し、患者に正式に謝罪することです。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1015/answer/B/#sthash.vBmBG3vd.dpuf
慢 性閉塞性肺疾患の増悪と高炭酸ガス呼吸不全や肺炎の証拠で入院した患者は、気管支拡張薬治療、全身グルココルチコイド、およびフルオロキノロンまたはマク ロライド系抗生物質で治療すべきである。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/235/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=5867c46d2a7fbaecc6edeccb8b5f2d7372c2badebfd1c8e5638e924cb4d6a052#sthash.X4dusLJi.dpuf
The gradual development of arm weakness and Horner’s syndrome in an older former smoker is most indicative of a diagnosis of an apical bronchogenic cancer known as a Pancoast’s tumor. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/932/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=8b697793f3c2f6a9d68dcdc1826ffea87b269461ef7de16dbcbb80275770fc7a#sthash.YmYXCOj2.dpuf

 2型糖尿病リスクのある患者でも、ロスバスタチンは心血管リスクを減少させる

 回答 5. 患者さんを安心させロスバスタチンを再開

解説:

 LDLコレステロール値が70-189mg/dLの患者で、糖尿病や心血管疾患が無い患者で、10年心血管リスクが>7.5%の患者にはスタチンが適応である。本患者では心血管リスクが9.3%(ACC/AHA CVリスク計算機)であり、ロスバスタチンの再開が望ましい。

 高用量スタチン利用と糖尿病発症の関係は、JUPITER trialの結果から来ている。この中でpost hoc解析で、1つ以上の糖尿病リスク(メタボリック症候群・空腹時血糖上昇・HbA1c>6%、肥満)がある患者では、2型糖尿病患者の発症リスクがプラセボと比較してRR 1.28(95%CI:1.07-1.54)とされている。しかし、全体として心血管イベントの予防効果が糖尿病発症のリスクを上回ると結論づけており、特に心血管リスクが少ない程その結果は妥当とされている。

 アスピリンは、一般的には40歳以上の心血管リスクの高い(10年心血管リスク 6-10%程度)患者で適応になり、そのメリットが消化管出血などの害のリスクを上回っている際に用いられる。高血圧と脂質異常症の存在は、更にアスピリンの適応となる要因だが、ロスバスタチンの効果はアスピリンよりも一般的には高いアスピリン投与はリスク・ベネフィットを十分勘案すべきである。
 
 メトホルミンは血糖正常で適応にならない。アテノロールは、本患者では血圧140/90mmHgにコントロールされており、追加する必要は無い。バルサルタンは、血圧コントロール良好で、微量アルブミン尿も認めず適応にならない。エゼチミブはコレステロール値は低下させるが、心血管イベントを減らしたと言う質の高い研究はない。

  • Ridker PM et al. Rosuvastatin to prevent vascular events in men and women with elevated C-reactive protein. N Engl J Med 2008 Nov 11; 359:2195.
  • Ridker PM et al. Cardiovascular benefits and diabetes risks of statin therapy in primary prevention: an analysis from the JUPITER trial. Lancet 2012 Aug 14; 380:565.
  • US Preventive Services Task Force. Aspirin for the prevention of cardiovascular disease: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement. Ann Intern Med 2009 Mar 19; 150:396.

 ともすると、価値観の強要にも見えますね。「俺は糖尿になりたくないんだ!」って言ってる人に、「まあまあ、心筋梗塞は減りますから・・・」みたいなインチキ商法的な感じも。まあ、真のアウトカムは糖尿病になるより心筋梗塞になるとかだと言うことなんでしょうけど、最終的に真のアウトカムは患者毎に違いますよね〜。
 全世界スタチナイゼーションにも若干異を唱えたいところ。もやもやしますねえ。コメントも炎上。まず生活習慣どうにかせい!っていう真っ当な突っ込みも多かったです。