栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:歯は忘れやすい/具体的な疾患名を挙げよ/おんころじーえまーじぇんしー

今週のカンファまとめです〜
といっても今週はカンファ中に急患対応で呼ばれたりしてあまり参加出来ておりませんでしたが・・・

歯は忘れやすい  Don't forget about tooth!

 これは症例カンファレンスをやっていても思うのですが、歯に関する病歴ってスカンって抜けることがありますよね。感染性心内膜炎に関しては、結構みなさん聞いていると思いますし、ビスホスホネート製剤による顎骨壊死も少しずつ市民権を得てきていますが、それ以外はどうでしょうか?
 
 今回話題になったのは副鼻腔炎の時の歯の所見でした。上顎洞炎は鼻性が多いのでついつい歯性を忘れてしまい易いと思いますが、一般的に上顎洞炎全体のうち、歯性上顎洞炎は10-30%程度と比較的コモンな疾患と言われています。歯性上顎洞炎は主に第2小臼歯、第1・2大臼歯に起こり易く、原因として、
①齲歯による根尖病巣
歯周病
③歯根嚢胞の洞内進展
④上顎洞内への異物迷入
⑤根管治療薬による刺激
⑥抜歯による上顎洞穿孔
インプラント治療による根尖病巣や洞への穿孔
などが原因として挙げられます。

 身体所見としては上顎洞の所見のみならず、原因歯の打診による疼痛や周囲の歯肉の腫脹・発赤
などがキーになります。

 ✓ 上顎洞炎診療において歯性上顎洞炎を忘れない

 

具体的な疾患名を挙げよ Think about specific diseases for differential diagnosis.

 最こういう話題はおっさん臭いなあと思いつつ。カンファレンスでついつい小言を言ってしまうのが、

”「末梢性めまい」だと思います。”
とか
”「筋骨格系の問題」だと思います”
的な発言。

 まあ、気持ちは分からなくはないですが、それでは思考停止です。もう一歩踏み込みましょう!踏み込むためには、個々の疾患のゲシュタルトをきちんと理解しておく必要がありますよ。「末梢性めまい」って、それBPPVなの?前庭神経炎なの?メヌエールなの?それを絞り込むための問診は?身体所見は?

 だんだん口うるさいおっさんになってきたなあと思いつつ。もう一歩階段を登って欲しいし、そこでエイって全部検査に任せるのはやめようぜ・・・と。事前に病名を挙げてそれを確認する作業として検査を出すのと、検査を出したらあらまびっくりこの病気!というのでは結果は一緒でも全く違います

診断のゲシュタルトとデギュスタシオン

診断のゲシュタルトとデギュスタシオン

 

 ✓ 疾患を鑑別していく際には具体的な病名を挙げよう

 

 

おんころじーえまーじぇんしー Oncology emergency

 これも悪性腫瘍に関わる医師にとっては絵に描いた餅にならないようにしなくてはいけません。「おんころじーえまーじぇんしー」って何?みたいなぼやっとした状態じゃだめですよーと。

 様々な分類がありますが、分野別に分類するという方法がある様です。

①代謝 Metabolic:高カルシウム血症(最も多い)、腫瘍融解症候群、SIADH
②神経 Neurologic:脊髄圧迫、脳転移・脳圧亢進
③心血管 Cardiovascular:悪性心嚢液、上大静脈症候群
④血液 Hematologic:蛋白異常に伴う過粘稠度症候群、白血球増多、DIC
⑤感染 Infection:好中球減少生発熱、敗血症性ショック

なるほど、よくよく見ると概ね経験済みではありますね。特に脊髄圧迫や脳圧亢進・悪性心嚢液などは一刻を争うことがあるので、徴候が見られたら迅速に他科と連携しながら対応出来るようにしないといけませんね。

✓ Oncology Emergencyに適切に対応できるようになろう