栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:ICUでの勤務時間が過剰になっても患者有害事象は増えなかった

ACPJCです〜。
北米では研修医の研修時間の制限が厳しい模様ですね。研修医も必死です。

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Patient safety, resident well-being and continuity of care with different resident duty schedules in the intensive care unit: a randomized trial.

Parshuram CS, Amaral AC, Ferguson ND, et al; Canadian Critical Care Trials Group.

CMAJ. 2015;187:321-9.

臨床上の疑問:
ICUでのレジデントの24時間・16時間・12時間の夜間勤務義務によって患者有害事象(ADE)は変化するか?

方法:
 デザイン:Cluster RCT(6つのクラスター:3ローテート×2ICU)
  1つのICUでは、最初のローテートは24時間に割り付け、その次が12時間、その次が16時間、もう一つのICUでは、3ローテートをランダム割り付け
 ②割り付け:
盲験化できなかった
 ③盲験:
副作用観察者の盲験
 ④follow up期間:
患者は退院もしくはICU入室2週間まで。研修医は2ヶ月間。
 ⑤セッティング:
2カ所のカナダ オンタリオトロントの教育医療機関のICU
 ⑥患者:807人のICU入室患者(平均年齢61歳、971ICU入室、5894患者・日)と、47人の研修医(66%が25-30歳で49%が内科研修中)でそれぞれ認定プログラムを研修中で、on-offそれぞれFellowや集中治療医の指導を受けている。
 ⑦介入:2ヶ月の研修医ローテート研修中の当直連続勤務を24時間(2ローテート、15研修医、311ICU入室)、16時間(2ローテート、15研修医、293ICU入室)、12時間(2ローテート、17研修医、367ICU入室)に割り付けた。それぞれのローテートは、5人以上のレジデントがいて、月の夜勤シフトは7回以下、月2回程度の週末休みあり。
 ⑧アウトカム:
 ・
患者のプライマリアウトカムは、有害事象(予想外の事故により退院時に合併症残存、治療が必要な事象、入院期間の延長等)。その他予防可能な有害事象ICU死亡、研修医の燃え尽き。有害事象で80%powerで相対比≧0.26を目指すには、1800患者・日が必要だった。
 ⑤患者follow up:患者は100%、研修医は87%がfollow upされた。

結果:

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(本文より引用)
 24時間・16時間・12時間で群で患者有害事象や死亡率等に差が無を認めなかった。
 離人感は46% vs 64% vs 64%
 感情的消耗は 54% vs 57% vs 57%
 達成感は 54% vs 43% vs 21%

結論:
 ICUでのレジデントの24時間・16時間・12時間の夜間勤務義務によって患者有害事象(ADE)は変化しなかった

 米国での研修員業務制限は結構深刻らしく(聞いた話でしかないですが・・・)、多く働くと強制的な制限がかかることもあるみたいです。一方、時間の制限はあるものの業務は同様にあるため、時間内のworkloadが増してしまうというような矛盾もあるのだと聞きます。
 今回の様な検証によって、研修内容や適切な業務が検討されると良いのだろうなあと思いました。何となくセイントとフランシスを思い出しました。

セイントとフランシスの病棟実習・研修ガイド 診察の仕方から業務のコツまで

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