栃木県の総合内科医のブログ

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論文:日本の院外CPA患者の目撃者の蘇生措置と神経予後

日本の院外CPA患者の目撃者の蘇生措置と神経予後
Association of bystander interventions with neurologically intact survival among patients with bystander-witnessed out-of hospital cardiac arrest in Japan

JAMA. 2015;314(3):247-254.  

【背景】
 日本における院外心停止(OHCA)後の神経予後良好生存は増加している。しかし、バイスタンダーCPRなどの病院前ケアの改善と生存率の改善との関係は明らかになっていない。

【目的】
 日本におけるバイスタンダーCPRと院外心停止後の神経予後良好生存との関連を評価する

【デザイン・患者】
 2005年1月から始まった日本の院外心停止患者の国ベースのレジストリを用いた後ろ向き記述研究。レジストリーは、救急隊によって搬送されたOHCA患者を全て含み、患者の特徴、病院前ケア、患者予後を含んでいる。2005年1月から2012年12月までに、バイスタンダーの目撃のあるOHCA患者167912人を対象とした。

【暴露】
 バイスタンダーによる病院前ケアは、公衆AEDなどの除細動や胸骨圧迫を含む。

【メインアウトカム】
 プライマリアウトカムの神経予後良好生存とは、1ヶ月もしくは退院時点でのGlasgow-Pittsburgh cerebral performance category (CPC)スコア1-2点、Overall performance category(OPC)スコア1-2点。介入と神経予後良好生存との関連が評価された。

【結果】
 2005-2012年の間に心疾患由来のバイスタンダー目撃ありのOHCAは、2005年に17882人(14/100000人年:13.8-14.2)から、23797人(18.7/100000人年:18.4-18.9)に増加し、神経予後良好生存は、587人(年齢調整 3.3%:3.0-3.5%)から1710人(年齢調整 8.2%:7.8-8.6%)に増加した。バイスタンダーの胸骨圧迫は38.6%から50.9%に増加し、バイスタンダーのみの除細動は0.1%から2.3%へ、バイスタンダー除細動+救急隊除細動は0.1%から1.4%へ、救急隊のみの除細動は26.6%から23.5%へ減少した。

 バイスタンダーの胸骨圧迫ありとなしでは、神経予後良好生存がそれぞれ胸骨圧迫あり 8.4%(6594生存/78592患者)、胸骨圧迫なし 4.1%(3595生存/88720患者)と有意に胸骨圧迫ありの方が多かった OR 1.52(1.45-1.60)。救急隊のみの除細動 15%(6445生存/42916患者)と比較して、バイスタンダーのみの除細動 40.7%(931生存/2287患者)は有意に神経予後良好生存を増加 OR 2.24(1.93-2.61)し、 バイスタンダーと救急隊両方の除細動 30.5%(444生存/1456患者)はOR 1.50(1.31-1.71)とやはり神経予後良好生存を増加させた。一方除細動無しの生存率は2.0%(2369生存/120653患者)でOR 0.43(0.39-0.48)と有意に神経予後生存生存が少なかった。

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(本文より引用)

【結論】
 日本では2005-2012年にかけてバイスタンダーの胸骨圧迫と除細動が増加し、それに伴い神経予後良好生存が増加している。

【批判的吟味】
・論文のPECOは
P:2005-2012年の心原性疑いの全院外CPAで目撃者あり
E:バイスタンダーCPR・AED
C:バイスタンダー処置なし
O:1ヶ月後もしくは退院時の神経予後良好生存
T:後ろ向きコホート
・もう少しデータを追加します
・男性60%前後、年齢は最も多いのが85歳以上、初期波形Vf/VT 20%、Asystole 45%、病院到着前のROSC 16.4%
・ちなみに目撃者なしのCPAは54万件とありと比較して3倍強でした。
・後ろ向きコホートなので直接比較ではないですが、救急疾患ではこのデザインが限界でしょうし、国全体のデータが含まれているという点ではかなり質の高いデータと言えるでしょうか。これって救急隊がレジストリーに参加してるのかな?
・なんかこのデータって既出だった気が・・・そもそも2015年発表で2012年までのデータってフレッシュではないですよね。何故今?という感じ。

【個人的な意見】
 2005→2012年にかけてバイスタンダー対応が増加しており、予後も改善したというのは一国民として嬉しいデータでした。ただ、今週紹介されている他国の似たようなデータと比べると、まだまだバイスタンダーの対応率や神経予後は低いことも明らかになってしまっています。対策として、駅や運動施設でCPAが多いのでそこでの対応を強化していきましょう!とありました。

✓ 日本の国全体のレジストリーで2005年から2012年にかけてバイスタンダーCPR・除細動が増加し、それが神経予後良好生存と関連していた