栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:SR 入院患者に対する多角的非薬物療法はせん妄を減らす

ACPJCまとめです
せん妄は高齢者の入院診療を提供している施設にとっては病棟全体で取り組むべき重要課題の一つですよね。

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Effectiveness of multicomponent non- pharmacological delirium interventions: a meta-analysis.

Hshieh TT, Yue J, Oh E, et al.

JAMA Intern Med. 2015;175:512-20.

臨床上の疑問:
高齢入院患者において、多角的非薬物療法(NPMIs)はせん妄発症を減らせるか?

方法:
 ①組み入れ基準:入院患者に対して多角的非薬物療法とコントロールを比較してせん妄発症を評価した研究。平均年齢が65歳以上の患者の研究を組み入れ。
 ②除外基準:
終末期患者は除外
 ③アウトカム:せん妄発症
、転倒、入院期間、施設への退院、身体機能の変化、認知機能の変化
 ④検索方法:
MEDLINE、Cochrane Database of Systematic Reviews、Science Direct、Google scholar、リファレンスリスト(1999〜2013年12月)から英語の文献が検索された。量的研究、症例報告シリーズ、レビュー、費用対効果分析は除外された。
 ⑤検索結果:14の研究(n=4267人、平均年齢 80歳)が組み入れ
られた。follow up期間は3-36ヶ月。4件がランダム化比較試験、2件が症例対照研究、8件がマッチしていない観察研究だった。セッティングは急性期病棟と外科病棟。
 9個の研究が、6種類のエビデンスに基づいた介入(見当識の認知・早期離床・聴力補助・睡眠サイクルの保持・視力補助・脱水補正)のうち4個以上を行っていた。

結果:

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(本文より引用)
 RCTと症例対照研究のメタ解析では、多角的非薬物療法せん妄発症と転倒を減らした。介入群とコントロール群は、入院期間・施設退院・身体機能の変化・認知機能の変化は差が無かった

結論:
 高齢の入院患者では、せん妄に対する多角的非薬物療法はせん妄発症を減らした

 せん妄への対応はもういい加減薬物療法第一選択って訳にはいかないですよね。非薬物療法のエビデンスが揃ってきているなあと実感します。今回の手法は主にHELP:Hospital Elder Life Programの話題でしたが、今後はユマニチュードなどもここに含まれてくるかもしれません。
 個人的には、施設や施設嘱託医がここを知るだけでだいぶ違う様に思います。しばしば病院に運ばれてくる時点で、せん妄やBPSDに対する不適切な薬物療法の悪影響が出ていることが多いので・・・