栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:SR 乾癬と炎症性腸疾患に対するMTX使用と肺病変

ACPJCまとめです
MTX肺炎は実在するのか?という問いはナンセンスかもしれませんが、これを診るとそれほど多くないのでは?RAの肺病変と混同されているのでは?と思ってしまいますね。

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Methotrexate use and risk of lung disease in psoriasis, psoriatic arthritis, and inflammatory bowel disease: systematic literature review and meta-analysis of randomised controlled trials. 

Conway R, Low C, Coughlan RJ, O’Donnell MJ, Carey JJ. 

BMJ. 2015;350: h1269.

臨床上の疑問:
乾癬・乾癬性関節炎・炎症性腸疾患(IBD)患者で、メソトレキサート(MTX)使用は肺疾患を増やすか?

方法:
 ①組み入れ基準:乾癬や乾癬性関節炎、炎症性腸疾患に対するMTX vs プラセボや他の標準薬剤の効果を比較した研究で、肺合併症を報告した研究。二重盲検、ランダム化比較試験、50症例以上、12週間以上の薬剤使用。
 ②除外基準:
明確な記載なし
 ③アウトカム:
肺合併症の頻度
 ④検索方法:
MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、リファレンスリスト(1999〜2013年12月)から英語の文献が検索された。。
 ⑤検索結果:7個のRCTs(n=1630人、平均年齢 33-49歳、50-70%が男性)が組み入れ
られた。研究の平均期間は16-52週だった。プラセボとの比較が5研究、ブリアキヌマブとの比較が1研究、アダリムマブとの比較が1研究、4研究は適切にランダム割り付けされ、4研究が盲験化されていた。

結果:

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(本文より引用)
 MTX投与群では呼吸器関連合併症は、感染性・非感染性それぞれプラセボや他の標準治療群と比較して頻度は変わらなかった。MTX群の1例だけ肺臓炎をきたしたが、関連死亡は認めなかった。

結論:
 乾癬・乾癬性関節炎・IBD患者では、MTXは肺合併症を増やさなかった。

 MTXの肺合併症かどうかの判断は重要です。というのも一度MTX関連肺合併症と診断されれば、その後MTX使用は通常はできないからです。一方で、MTXは様々な疾患のkey drugに成り得ますから、本当にMTXが肺関連合併症を増やすか否かについては、十分に検証していく必要があるかもしれません。
 リウマチはそういった意味では、原病の合併症としての肺疾患は多い疾患ですので、今回、RA以外で検証したのはなるほどと思いました。
 今後、長期前向き観察研究で経過を追っていく必要がありますね。

関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン 2011年版

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