栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:RCT 終末期患者におけるスタチン中止の影響

ACPJCのこのテーマは個人的には結構好きです。
こうゆうの大事だよなあ。思考停止にばしっとメスを。

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Safety and benefit of discontinuing statin therapy in the setting of advanced, life-limiting illness: a randomized clinical trial. 

Kutner JS, Blatchford PJ, Taylor DH, et al.

JAMA Intern Med. 2015;175:691- 700.

臨床上の疑問:
終末期患者に対するスタチン中止は継続と比較して予後を変えないか?

方法:
 ①デザイン:ランダム化比較試験/非劣性試験/ClnicalTrials.gov NCT01415934
 ②割り付け:
独立
 ③盲験:
なし
 ④follow up:
平均18週間。
 ⑤セッティング:
米国15カ所の緩和ケアリサーチグループの医療機関。
 ⑥患者:381人の英語を話せる18歳以上の成人(平均年齢74歳、男性55%、悪性腫瘍 49%、心血管疾患 58%)でスタチンを3ヶ月以上内服している患者。スタチンは心血管イベントの一次予防・二次予防どちらもあり、進行性の命に関わる疾患の診断を受けている方が対象。予後は1人以上の担当医が、余命1ヶ月以上はあるが、来年には亡くなるだろうと判断した方。
 除外基準は、現在活動性の心血管疾患、スタチン治療が絶対に現状必要、筋肉症状の出現、スタチンの禁忌など。
 ⑦介入:スタチン中止(n=189人)とスタチン継続(n=192人)
 ⑧アウトカム:プライマリアウトカムは、60日以内死亡。セカンダリアウトカムは、心血管イベント、死亡までの時間、機能予後、QOL
 ⑤患者follow up:97%follow up。ITT解析。


結果:

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(本文より引用)

結論:
 終末期患者においてスタチン療法の中止は継続軍と比較して死亡率は変化無く、QOLは改善する。

 スタチンの終末期患者さんへの使用は以前もこのブログで取り上げたこともありました。今回は、盲験はされていませんがRCTで検証した形となっています。人生最後の年に使用する薬剤が非常に多いという問題があり、また、QOLが低下し、対症療法も多くなる中で、不要な薬剤は中止しましょうというのはPolypharmacyの観点からも非常に重要な介入です。

 今回の研究では途中でイベント発生数の問題からプライマリアウトカムを変更している点が残念でした。でも、その他の結果では死亡率は差が無く、QOLは中止した方が良く、死亡までの時間も中止群の方が長い傾向でした。よく相談しつつ、中止を検討して良い薬剤の一つです。何でもそうですが、予防系の薬剤はその方に残された時間を加味して考える必要があります。

終末期チームケアアプローチ―患者の「いきがい」ケアの「やりがい」を両立させる

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