栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:三枝(束)ブロック/薬剤性胆石/心原性冠動脈塞栓

今週のカンファまとめです!
後半のみの参加でしたが興味深いテーマがいくつかありました。

三枝(束)ブロック  Trifascicular block

 脚ブロックについてこの機会にまとめておきます。まあ当たり前だよねという方はスルーで。脚ブロックとは、右脚・左脚前枝・左脚後枝のどれかの伝導が落ちる病態であり、複数の枝が伝導遅延すると、2脚(束・枝)ブロック、3枝(束)ブロックと呼ばれることもあります。通常単独の脚ブロックであれば、他の脚によって、心房→心室は正常に伝導します。
 2脚ブロックの組み合わせは主に以下の3通り。
①右脚+左脚前枝
②右脚+左脚後枝
③左脚前枝+左脚後枝
 ただし、③はそもそも左脚ブロックじゃね?という突っ込みも入ります。基本的には、3本目の脚は正常伝導するためにPQ延長はありません

 3枝(束)ブロックは、右脚・左脚前枝・左脚後枝全ての伝導が落ちているため、心房から心室へ伝わる時間が長くなり、PQ間隔は延長します。伝導遅延の程度によって、完全に伝導しなくなれば完全房室ブロックとなりますし、伝導遅延のレベルで済めば、2脚ブロック+PQ延長となります。
 

 ✓ 三束ブロックとは右脚、左脚前枝、左脚後枝のブロックのこと。この場合完全房室ブロックを来しうる

3秒で心電図を読む本

3秒で心電図を読む本

 

 

薬剤性胆石 Drug induced gallstones

 こ薬剤性胆石と言えばセフトリアキソンが有名で、これは結構日常診療で出くわす機会は多いです。Ca含有輸液製剤との併用がリスクになるのではないか?と言われ、投与方法に注意する必要があります。それ以外に、薬剤性胆石って何があるの?という話題がカンファレンスで出ていた為、確認してみました。
 
 セフトリアキソン以外で注目されている薬剤は、エストロゲン・経口ピル・オトクレオチド・クロフィブラートでした。エストロゲンやピルは、コレステロールを胆汁中に排泄させる作用があり、エストロゲンにより胆汁中に過剰のコレステロールが排泄されることで、コレステロール結石が形成されることが分かっています。

 また、クロフィブラートは胆石形成との関連が強く、血中の脂質分解を促進するため、脂質を胆汁中へ排泄し、結石が形成されやすくなると言われています。本邦で時折使用されているベザトールⓇ(ベザフィブラート)も同様の機序で胆石が出来るため注意が必要です。添付文書を見るとベザトールは胆石患者には慎重投与になっていました。


 ✓ 薬剤性胆石の原因としてセフトリアキソン以外に、エストロゲン・経口ピル・フィブラート系薬剤がある

 

 

心原性冠動脈塞栓 Coronary artery embolism

 冠動脈塞栓ってあまり馴染みがないですが、あまり動脈硬化の強くない患者さんで多発の末梢優位の心筋梗塞を診た場合には考慮する必要があるという話題が出ました。

 この”動脈硬化が強くない=冠動脈の閉塞を伴わない”心筋梗塞をMINOCA:MI with non-obstructive coronary arteriesと呼ぶらしく、心筋梗塞全体の約6%とも言われています。若年女性の冠動脈解離などもこれにあたりますよね。それ以外に多いのは、冠動脈攣縮、たこつぼ型心筋症、ウイルス性心筋炎などが原疾患として報告されています。

 今回話題になった冠動脈塞栓症を疑う状況としては、上記MINOCAに加えて塞栓源になるような、人工弁置換患者・心房細動・リウマチ性心疾患に伴う僧帽弁狭窄症・心尖部血栓を有する拡張型心筋症・感染性心内膜炎・心臓粘液腫などがある場合だそうです。

 ポイントとしては
・全心筋梗塞のうち2.9%で、15%は多枝病変。
・心房細動が最も主要な原因(73%)。
・心臓死亡が高い可能性あり HR 9.29:1.13-7.65
 などが述べられています。

 ✓ 心房細動患者では稀ではあるが冠動脈塞栓症に注意が必要。多枝病変が比較的多く予後が悪いかもしれない

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