栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:マクロCK血症/門脈大静脈シャント/鉄欠乏性貧血で大球性貧血

今週のカンファまとめ忘れてました〜。
今週は見学の先生も来てくれたのでいつも以上に盛り上がってしまったかな。

マクロCK血症  Macro creatinin kinase

 マクロアミラーゼ血症は有名ですが、マクロCK血症は初めて知りました。CKにはCKMMとCKMBとCKBBがあるというのは有名ですよね。で、臨床的にはCKMBが良くオーダーされます。しかし、それ以外に免疫グロブリンに結合して分子量が更に大きくなっているマクロCKというものとミトコンドリア内にあるミトコンドリアCKというものが存在します。
 CKのアイソザイム測定を行うと、通常のCKBB・CKMMのバンド以外にextrabandが現れることがあり、これがマクロCK血症を疑うきっかけになるのだそうです。免疫グロブリン結合型をtype1、ミトコンドリア由来の高分子CKをtype2と呼ぶのだそうです。

 免疫グロブリン結合型のtype1マクロCK血症では、悪性腫瘍や自己免疫性疾患に合併することが多いと言われていますが、一方で筋疾患や心筋梗塞、健常人でも見られることが報告されています。

 最期に、今回調べていたら今は亡き当院の偉大な大先輩の論文に辿り着きました。やっぱりあの人本当に凄い人でした。

免疫グロブリン結合型クレアチンキナーゼ(CK)によるマクロCK血症が見られた甲状腺機能低下症の一例

https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/50/12/50_12_844/_pdf

 ✓ マクロCK血症にはtype1とtype2があり、悪性腫瘍や自己免疫性疾患との関連が指摘されている

 

門脈大静脈シャント Portacaval shunt

 肝硬変患者さんを診療しているとあちこちにシャントが形成されている方を受け持つ機会も多くなってきます。今回は門脈大静脈シャント(Portacaval shunt)についてのお勉強。これって昔はBlakemore手術(門脈下大静脈吻合術)として人為的に行われていたこともあった様です。

http://fce-study.netdna-ssl.com/images/upload-flashcards/952225/951476_m.jpg
http://fce-study.netdna-ssl.com/images/upload-flashcards/952225/951476_m.jpgより引用)


 今回は、どちらかと言えば肝硬変などによる門脈圧亢進症のなれの果てとして広範囲にシャントが出来る事で発症した場合です。このシャントが出来てしまうと、肝臓に血液が流入しないまま、体循環に戻ってしまうため、毒性物質が解毒されずに容易に肝性脳症を来す状態になってしまいます。

 経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(Transjugular intrahepatic portosystemic shunt:TIPS)人為的に門脈-大静脈(肝静脈)間にステントを留置する方法で、腹水のコントロールに有用と言われているが、一方で、上述の肝性脳症のリスクが高まるのが難点。場合によってはシャントを少し詰めたりする事もある様子。TIPS後の肝性脳症は20-30%程度と報告されている様です。


 ✓ 門脈-大静脈シャントが出来てしまうのは肝性脳症にとってかなり厄介。TIPSは人為的にその状況を作る手技。

 

 

鉄欠乏性貧血で大球性貧血 IDA and high MCV

 鉄欠乏性貧血があるのに、MCVが高いことって時々ありますよね。まあ、一つの教訓としては、「MCVだけでは明確に区別出来ない」というのもあるわけですが、もう少し考えて見ようかと。

 過去のレビューを見ると、鉄欠乏性貧血はMCVでは鑑別できないとされており、MCV正常の正球性貧血が40%あったという報告(Bermejo and Garcia-Lopez, 2009)もあります。ただし、MCVが大きくなる
もちろん鉄欠乏性貧血の原因にもよるのですが、MCVが大きくなる理由として、Uptodateを確認すると以下の理由が記載されていました。

アルコール中毒 Ethanol abuse
葉酸欠乏症 Folate deficiency
ビタミンB12欠乏症 Vitamin B12 deficiency
骨髄異形成症候群 Myelodysplastic syndromes
急性骨髄性白血病 Acute myeloid leukemias (eg, erythroleukemia)
赤血球増多 Reticulocytosis
 溶血性貧血 Hemolytic anemia
 出血への反応 Response to blood loss
 適切な造血への反応 Response to appropriate hematinic (eg, iron, B12, folic acid)
薬剤性貧血 Drug-induced anemia (eg, Hydroxyurea, AZT, chemotherapeutic agents)
肝障害 Liver disease
甲状腺機能低下症 Hypothyroidism (less commonly macrocytic)

Uptodate:Causes and diagnosis of iron deficiency anemia in the adultより

  これを見ると、結構しっかりIDAってかいてありますよね。よく鉄欠乏性貧血の早期には網赤血球が増えて正球性や大球性になるとは言われますが。もしくは多因子が関連する貧血で、通常の鉄欠乏+ビタミンB12欠乏などがあるのかもしれません。鑑別点として、RDW(Red cell distribution width)を用いることも言われており、RDWとMCVを組み合わせることによって、鑑別が可能になる疾患もあるのだそうです。RDWは赤血球体積の不均一性を表す指標になります。

 ✓ 鉄欠乏性貧血で大球性貧血になることがある