読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:SVTに対する修正Valsalva手技の効果

Lancet 論文 循環器

SVTに対する修正Valsalva手技の効果
Postural modification to the standard Valsalva manoeuvre for emergency treatment of supraventricular tachycardias(REVERT): a randomised controlled trial*1

Lancet Online first http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(15)61485-4

【背景】
 Valsalva手技は上室性頻拍(SVT)の治療として国際的に推奨されているが、その手技による洞調律復帰率は稀で5-20%程度と言われており、患者にとっては不快感を伴うアデノシン使用を余儀なくされている。今回Valsalva手技に体位修正をかけることでその効果が改善するかを検証した。
【方法】
 英国の救急外来でランダム化比較試験が行われた。成人のSVT患者(心房細動・心房粗動除く)をランダムに修正Valsalva手技群(セミファーラー位からValsalva手技終了直後に仰臥位+両下肢挙上)と通常のValsalva手技群に1:1に割り付けた。両群共にValsalva手技は40mmHgの圧で15秒の息こらえとした。ランダム化は中央で独立して行われ、割り付けは数字が割り付けられ、不透明で隠された封筒法で行われた。割り付けには患者と治療医は盲験化できなかった。プライマリアウトカムは、手技1分後の洞調律復帰率で、施行医が評価し、それを後に割り付けを知らない別の循環器医が心電図によって評価した。
【結果】
 433人の患者が2013年1月11日から2014月12月29日まで組み入れられた。5人は2回目の受診だったため除外され、両群ともに214人ずつが割り付けられ、ITT解析が行われた。1分後の洞調律復帰は、通常Valsalva手技群で、37/214人(17%)で、修正Valsalva手技群で、93/214人(43%)だった。調整OR 3.7(2.3-5.8)で有意に修正Valsalva手技群が洞調律復帰が多かった。重篤な有害事象は認めなかった。

f:id:tyabu7973:20150912151315j:plain
(本文より引用)
【結論】
 SVT患者では、Valsalva手技後に下肢挙上と仰臥位を組み合わせた体位変換を追加した修正Valsalva手技を行う事をルーチンの第一選択として推奨すべきであり、患者にもその様に指導することができるだろう。

【批判的吟味】
・非常に興味深いテーマです。いつも通り論文のPICOをまとめておきます
P:英国の救急外来(2カ所の教育病院と8カ所の一般病院)を受診した433人のSVT患者
  心房細動・心房粗動、血圧90mmHg以下を除外
I:修正Valsalva手技(息こらえ直後に仰臥位+下肢挙上)
C:通常Valsalva手技(息こらえのみ)
O:1分後の洞調律復帰
T:RCT/ITT解析あり
・ランダム化比較試験ですが、介入の手法上盲験化はできていません。ITT解析はされています。
・サンプルサイズ計算もされており、結果も95%信頼区間を用いて適切に評価され有用な結果でした。
・何より実現可能性が非常に高い介入方法です。
・通常の息こらえよりも圧倒的に洞調律復帰が高く、NNTは計算すると3.8でした
・平均年齢54歳、SVT既往28%、高血圧20%
・平均心拍数 175回、収縮期血圧 124mmHg、拡張期 82mmHg
・アデノシン使用は半減していましたが、有害事象有意差なし。救急外来で過ごす時間も差はありませんでした。

【個人的な意見】
 個人的にはあまりValsalvaをやってこなかった自分を反省しました。きちんと行う事に加えて洞調律復帰率を高める手法があることを知ったのでちょっと実践していこうと思います。何より反復性の人は指導することで家でも実践できますもんね。Lancetのサイトには動画もあって凄く見やすかったので是非一度見てみて下さい。

✓ SVT患者に対する修正Valsalva手技は通常Valsalva手技よりも有用