栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:便培養の適応/浮腫性硬化症/Basedow病と喘息

今週のカンファまとめです。
それにしても入院多いです・・・

便培養の適応 Indication of stool culture

 そもそもが大前提として、通常合併症のない一過性の急性下痢症患者では便培養は不要です。特に免疫不全が無い場合には必要ないとされています。
 便培養の適応は色々言われていますが、AAFPでは、以下の場合に便培養を推奨しています。

・血便
・重度の脱水
・炎症性疾患の存在
・症状が3-7日程度持続
・免疫抑制状態
・旅行者下痢症
・医療関連感染が疑われる
Am Fam Physician 2014 Feb 1;89(3):180

 便培養の偽陰性ってなかなか難しくて、そもそも診断のGold standardが培養であれば、培養偽陰性って概念自体が微妙な訳です。例えばCampylobacterなどでは、検鏡によっ"gull wing"が見られればかなり疑わしいわけですが、培養感度94%に対して50%程度と低いと報告されています。
 また、急性下痢症ではウイルス性が最も多く、ある米国救急外来での便培養のデータでは細菌培養が陽性になったのは全体の30.6%だったそうです。まあ、そのくらいの印象ですよね。

 ✓ 便培養の適応を考える。抗菌薬適応になる胃腸炎は元来少ない

 

浮腫性硬化症 Diabetic scleroderma

 浮腫性硬化症は糖尿病患者の皮膚合併症として知られています。糖尿病患者の2.5-14%に見られると言う報告もあり、決して稀な皮膚疾患ではありません。
 特徴は左右対称性の、正常部との境界不明瞭な皮膚硬化が、項・頚部・肩・背部・腕・胸部に出現し、1−2週間程度で完成すると言われています。”完成する”というのは、当初は結構腫れたり赤くなったりする急性期の病態がある様で、その時期を超えると、皮膚硬化は緩徐に改善するのだそうです。硬化局面は木様硬化とも呼ばれ、表面はやや光沢があり、知覚過敏を伴う事もあります。糖尿病以外では、溶連菌などの感染症後に起こるpostinfectious sclerodermaというものや、高ガンマグロブリン血症に伴い皮膚硬化を来すものもあるそうです。

 肥満を合併する2型糖尿病に多く診られ、糖尿病治療をしても改善しないのが難点です。また、インスリン治療との関連が言われていて、インスリノーマに浮腫性硬化症が見られたと言う報告もあり、実は高インスリン血症が良くないのではないか?とも考えられています。

http://img.medscape.com/pi/features/slideshow-slide/endocrine-diseases/fig15.jpg
http://img.medscape.com/pi/features/slideshow-slide/endocrine-diseases/fig15.jpgより引用)

 ✓ 糖尿病患者の上背部〜項部の硬化を見たら浮腫性硬化症を考えよう

 

 

Basedow病と喘息 Graves disease and asthme

 色々調べてみたのですが、あまり良い結論は出なかったのですが、喘息患者が発作で来たときに、Basedow病既往があって甲状腺機能亢進状態が否定できない時に、初期治療どないしましょ?という話題。
 そもそも、甲状腺ホルモンは非選択的にβ2を含むアドレナリン受容体刺激作用があり、喘息患者では、β2アドレナリン受容体を介した病理学的異常を呈する免疫疾患であり、両者の相同性は検討さていたりします。Pubmedひいてみましたがあまり引っ掛からず。

Graves'-Basedow's disease--asthma association. Presentation of five cases.
Rom J Endocrinol. 1993;31(1-2):89-94.

 両者の合併は、冒頭の治療におけるジレンマに繋がります。両者を合併しているとβ遮断薬の禁忌でかつβ刺激薬の禁忌になりますよね。上記文献の先生方は、β遮断薬ではレセルピンを、気管支拡張薬としてアミノフィリンを使用していました。

 現実的には、どちらの病態もクリーゼかつ重症発作ということはあまり無くて、優劣をつけてより重篤な病態への対応を優先すると言う方法もあると思いますが、いずれにせよ悩ましくかつあまり報告もない領域だと言うことも分かりました。

 ✓ Basedow病と喘息の合併症例の治療は悩ましい