栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:アルコール離脱症候群の症状/声帯溝症/脾臓摘出とHowell-Jolly小体

今週のカンファまとめ〜。とはいえシルバーウィークの煽りを受けて、週1回のみの開催でした。後期研修医は今週末で入れ替わり。お疲れ様!

 

アルコール離脱症候群の症状 Symptoms of alcohol withdrowal syndrome

 土地柄なのかご時世なのか、アルコール関連問題に病院救急として対応する事が多くなってきています。こんなにアリナミンって使ったっけ?みたいな。もちろん、予防的介入はとても重要なのですが、急性期対応をしていると離脱症候群withdrawal syndromeは避けて通れない問題です。

 症状として主に以下の4つがあると分類されており、主な症状は飲酒中止後発症時間は以下の通りです。
①Minor withdrawal
 症状:振戦、軽度の不安、頭痛、発汗、動悸、食欲低下、胃腸の不調、精神状態は正常
 発症時間:飲酒中止後6-36時間
②痙攣 Seizures
 症状:全身性の強直間代性発作、発作後もうろう状態、重責は稀
 発症時間:飲酒中止後6-48時間
③アルコール幻覚症 Alcoholic hallucinosis
 症状:幻視、幻聴、触覚幻覚があるが見当識は保たれ、バイタルは正常
 発症時間:飲酒中止後12-48時間
④振戦せん妄 Delirium termens
 症状:せん妄、興奮、頻脈、高血圧、発熱、発汗
 発症時間:飲酒中止後48-96時間


 治療としては、原則ベンゾジアゼピン投与で、中等度〜重症に関してはジアゼパム 5-10mg静注を症状コントロール出来るまで5-10分毎に反復。目標は穏やかだが意識清明な状態。離脱せん妄など症状が重篤な場合には、フェノバルビタールプロポフォールによる鎮静や人工呼吸器管理による深鎮静を考慮しましょう。離脱症状が出てしまった場合には、落ち着くまで投与を反復することですね。通常の予防の時の様な、分3−4的投与では足りないことも多いです。

 ✓ アルコール離脱症候群の症状を抑えて、対応法を覚えておこう

 

 

声帯溝症 Sulcus vocalis

 この言葉は今回初めて知りました。そんなに超レアな疾患でもない模様で、身近なところだとスピードワゴンの小沢さんはこの疾患なのだとか。

 声帯溝症は、声帯膜様部に溝状の病変が遊離縁に沿って存在する疾患で、組織学的には粘膜固有層浅層の欠損による癒着が病態の本態と考えられています。この線状の癒着の結果、発声時の呼気流率の上昇で音声障害が生じるのだそうです。難病情報センターにも情報提供がされており、声を出すときに息漏れの状態になってしまうこと、一息で発声できる時間が短くなること、嗄声や大きな声が出ない、話が辛いなどの症状が出て、コミュニケーション障害まで言ってしまうこともあるようです。人によっては過換気や嚥下障害を来す事もあるのだとか。

難病情報センター | 声帯溝症(平成21年度)

小沢さんが「歌ヘタ王決定戦」みたいなものに出されてしまったのも、実は病気のせいだとすると、なんだかなあと思ってしまいます。
 
 この声帯溝症は先天性のものと加齢性のものがあると言われていますが、未だ原因の特定は出来ておらず、治療方法は、溝によって阻害される粘膜波動を回復して、発声時声門間隙を縮小させるための手術などが検討されています。

http://voicemedicine.com/wp-content/uploads/2013/10/Vocal-fold-paresis-fg1.jpg

http://voicemedicine.com/wp-content/uploads/2013/10/Vocal-fold-paresis-fg1.jpgより引用)

 ✓ 嗄声や音声障害の原因に声帯溝症があることを覚えておく

 

 

脾臓摘出とHowell Jolly小体 Splenectomy and Howell Jolly body

 血液内科の先生が非常勤で来てくれるようになり、他科依頼の返信で非常に勉強させて頂いています。今回は、末梢血にHowell Jolly小体が見られたら?という鑑別でした。
 
 Howell-Jolly小体は赤血球内の核の遺残と考えられており、通常の末梢血スメアでは好塩基性に見られる。これが見られた場合には脾機能低下や脾臓摘出、巨赤芽性貧血、再生不良性貧血で急激な赤血球産生がある場合などを考えなくてはなりません。
 通常では、脾臓や体全体の様々な組織で赤血球が洞構造を通過する際に、マクロファージがHowell-Jolly小体を取り除くのですが、脾臓の機能低下・切除や、産生赤血球量が異常に多い場合には、これが残存している可能性があるわけです。まあ、これで「脾臓取ってない?」って聞けたら格好良いですねえ(笑)。

https://s3.amazonaws.com/classconnection/483/flashcards/3944483/png/howell-jolly_bodies1326268425821-149A192A8205F6B898B.png
(https://s3.amazonaws.com/classconnection/483/flashcards/3944483/png/howell-jolly_bodies1326268425821-149A192A8205F6B898B.pngより引用)

 ✓ Howell-Jolly小体を見たら脾臓摘出か巨赤芽球性貧血を考えよう