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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:低容量アスピリン・NSAIDSと大腸癌

低容量アスピリン・NSAIDSと大腸癌
Low-dose aspirin or nonsteroidal anti-inflammatory drug use and colorectal cancer risk

Ann Intern Med.2015doi:10.7326/M15-0039

【背景】
 最近の包括的レビューでは、アスピリン内服と大腸癌予防については追加調査が必要であると結論づけている。
【目的】
 低容量アスピリンや他のNSAIDsと大腸癌リスクとの関連を評価する。
【デザイン】
 国民レベルの症例対照研究
【セッティング】
 北デンマーク
【患者】
 北デンマークで1994-2011年の間に初めて大腸癌と診断された患者。人口レベルのコントロールはリスクが同等の方々からサンプリングされた。
【測定方法】
 薬剤使用のデータ、合併症、大腸内視鏡歴が症例群およびコントロール群から登録時に聴取された。低容量アスピリン(75-150mg)とNSAIDsの使用は、薬剤の種類・用量・期間・継続使用の有無が評価された。
【結果】
 10280人の症例群、102800人の対照群が組み入れられ、大腸癌に対する調整Odds比は、2回(錠)以上内服していた場合は、低容量アスピリン OR 1.03(0.98-1.09)、NSAIDs OR 0.94(0.90-0.98)だった。5年以上の長期使用の場合は、低容量アスピリン OR 0.73(0.54-0.99)と27%の危険減少が見られたが、継続・非継続を合わせると有意差はなかった。NSAIDs OR 0.94(0.90-0.98)だった。NSAIDsでは、長期間高用量で使用すると大腸癌リスクは最も減少し、COX2阻害薬の高用量が最も効果が高く、OR 0.57(0.44-0.74)だった。

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(本文より引用)


【限界】
 高用量アスピリンや低容量イブプロフェン・NSAIDsなどのOTC薬のデータは調査されておらず、交絡因子の一部は十分補正されているとは言えない。

【結論】
 長期間、継続的な低容量アスピリンや長期間NSAIDs投与は大腸癌リスク減少と関連していた。継続的に低容量アスピリンを内服している患者は、低容量アスピリン使用者の中ではごく少ない患者層だった。

【批判的吟味】
・いつも通り論文のPECOから。
P:デンマーク在住の方々
E:NSAIDs・低容量アスピリン内服あり
C:NSAIDs・低容量アスピリン内服なし
O:大腸癌
T:症例対照研究
・今回症例対照研究ですが、Population-based cohortなのでかなり大規模な検証が為されています。
・平均年齢70歳、男性 55%、低容量アスピリン使用なし 78%、NSAIDs使用なし 55%、関節リウマチや膠原病 20%、糖尿病 7%、COPD 6%、心臓・脳血管疾患 19%
・内服薬剤は処方データを元にしているため、厳密な意味では実際に内服したかどうかは分かりません
・同様に本文にも書かれていますが、OTC薬は内服状況が不明です。OTCは米国では鎮痛目的によく内服されているという実態はある模様です。
リウマチ疾患がどうして多いのかなと思ったら、症例群でNSAIDsを定期的に飲み続けている群の人達・・・ってリウマチ疾患だよなあと。整形疾患は言及がなかったですが、もちろんOAとか多そうですね。

【個人的な意見】
 まあ、何はともあれアスピリン・NSAIDsを長期的に内服していることは大腸癌を減らす事にはつながりそうです。機序は色々検討されていますが、慢性炎症→発癌という流れを止めることに注目が集まっている様です。出血しやすくなって早く見つかるではないみたいですね。あとは費用対効果や長期内服による害をどの程度考慮するかという部分ですね。

✓ 低容量アスピリンやNSAIDsの定期内服している方では大腸癌は少ない