栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:CMV肝炎の診断/運動誘発性虚血性腸炎/Bow-Hunter症候群

今週のカンファまとめ〜。メンバー入れ替わり。
やはり少し気合いが入ります。こっちのね。
少しでも参加者にとって役に立つカンファへ。工夫必要。

 

サイトメガロウイルス性肝炎の診断 Diagnosis of CMV hepatitis

 サイトメガロウイルス性肝炎を疑う状況ってまああるわけですが、どうやって診断する??という話題でした。個人的には、CMV IgG・IgM抗体測定で、必要時にはペア血清というのがスタンダードだったのですが、CMVアンチゲネミアを測定している人がいて、それってどうなんだっけ?という話題になりました。あ、基本Immunocompetentな方の話題です。当院には移植患者さんなどはおりませんで(笑)。

 おさらいするとアンチゲネミアは、末梢血より分離した多形核白血球(好中球)を、CMVpp65抗原に対するモノクローナル抗体と反応させ、ペルオキシダーゼ法によりCMV抗原陽性細胞(多形核白血球)を検出する方法とされています。結果は迅速に分かるとされ、モノクローナル抗体の違いから、HRP-C7法とC10/11法が現在は使用されています。感度は非常に高く、CMVウイルス血症の同定には有用とされていますが、欠点として、末梢血中の多形核白血球が少ない場合には測定できず感度もが低下する、目視で計数するため主観が入りこむ余地があるなどに注意が必要です。
 
 診断にはまあ確かに良さそうなのですが、保険適応としては、

臓器移植後もしくは造血幹細胞移植後の患者またはHIV感染者または高度細胞性免疫不全の患者に対して行った場合のみ算定できます。

高度細胞性免疫不全の患者に対して行った場合は、検査の必要性について診療報酬明細書摘要欄への記載が必要です。

 とあり、原則immunocompromised hostでの検査が適応になります。通常の肝炎では保険適応上だめということになりそうです。確かにUptodateでも、検査適応はimmunocompromisedとimmunocompetentは分けており、当座の所は、今まで通り抗体法で検査するのが無難というところでしょうか。そもそもが検査として移植患者での感度・特異度が検討されたものなので、免疫正常者では検証されていないという部分もあるのかもしれませんね。ふむふむ。

 ✓ 免疫正常者のCMV肝炎の診断にアンチゲネミア法は保険適応が通っていない

 

 

運動誘発性虚血性腸炎 Excercise induced ischemic colitis

 こうゆうの本当に良く見つけてくるよなあ・・・って思うわけですが。診断に謙虚な人達と一緒に仕事をすると本当に勉強になります(汗)。

 まあ確かに病態生理としては良く分かるのですが、運動によって腸管虚血が誘発されるという病態があるのだそうです。虚血性腸炎というと高齢者の病気という印象ですが、これは比較的若年でも見られる病態の様で、長距離マラソンランナーが増えてきて注目が集まっている疾患概念です。

 長距離ランナーが運動中に消化器症状を訴えることは比較的多く、腹部膨満感、腹部クランプ、下痢、便秘、胸焼け、嘔気、嘔吐、胸痛、血便など症状は多彩です。ある調査によれば運動選手の20-50%が上記の諸症状に悩まされ、女性およびランナーでより多いのだとか。距離の長さや運動の密度にも関連する模様であり、運動後に消化器症状を来した患者さんでは、運動誘発性虚血性腸炎を鑑別にいれることは重要です。
 Case reportが出ていたので興味のある人は是非。

Ischemic Colitis in an Endurance Runner

 

 ✓ 運動誘発性虚血性腸炎という病態がある

 

 

Bow-Hunter症候群 Bow-Hunter syndrome

 あまり聞き慣れない病名ですが頚部回旋に伴い椎骨脳底動脈領域の虚血を来す症候群です。Bow-Hunter症候群は椎骨脳底動脈領域の循環不全なので、めまいや痺れ、脱力などの神経巣症状や小脳症状が出現し、かつどちらか一側の回旋時に症状が出るのが特徴的です。

 似たような疾患として頸動脈過敏症候群がありますが、こちらは頚部回旋のみならず頚部伸展や頚部の圧迫(ネクタイなど)も原因となる症候群です。失神の原疾患として有名であり、心抑制型では最終的にペースメーカーが適応になる事があります。

 どちらもあくまで症候群なので、例えば解離や腫瘍、血管炎などが原疾患となり得る可能性があり診断に際しては頸動脈や周辺組織の評価が重要となります。
 

 ✓ 頚部回旋にともなう失神、めまいなどの諸症状を見たらBow-Hunter症候群も鑑別に