栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Prognosis 閉塞性睡眠時無呼吸症候群は死亡率と合併症に関連する

ACPJCアップしまーす。
そしてこれから診療所へ〜。

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Association of incident obstructive sleep apnoea with outcomes in a large cohort of US veterans. 

Molnar MZ, Mucsi I, Novak M, et al.
Thorax. 2015;Jun 2. Epub ahead of print. .

臨床上の疑問:
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者が抱えているリスクは何か?

方法:
 ①デザイン:Racial and Cardiovascular Risk Anomalies in Chronic Kidney Disease(CKD) studyという退役軍人病院のデータベースを用いたコホート研究の結果を解析した。ICDの病名からOSA・CPAP・ポリソムノグラフィーなどが含まれている患者を抽出。平均follow up期間は 7.74年。
 ②セッティング:
米国
 ③患者:307万9514人の退役軍人で、初回のeGFR≧60ml/min以上の患者さんが組み入れ
(2004年10月〜2006年9月)。23242人(平均59歳、96%男性)が新規にOSAと診断された(inception cohort)。残りの305万6272人(平均61歳、93%男性)はOSAを合併していなかった(control cohort)。過去にOSAと診断された患者は除外し新規に診断された患者のみ組み入れ。
 ④予後因子:
年齢・性別・人種・BMI・収入・結婚歴・ベースラインのeGFR・合併症・QOL評価が評価された(コレステロール値とインフルエンザワクチン接種歴も)。
 ⑤アウトカム:全死亡・ 冠動脈疾患(初発の急性心筋梗塞・CABG・PCI等)
脳卒中・CKD新規出現(eGFR<60ml/minが2回連続で90日あけて診られ、ベースラインより>25%減少)が評価された。

結果:

 23242人のOSA診断群のうち、6.4%がCPAP治療を受けていた。OSAの治療群・非治療群ともに全死亡・冠動脈疾患・脳卒中・CKDの発症頻度が、コントロール群と比較して上昇していた。

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(本文より引用)

結論:
 OSA患者では治療の有無にかかわらず、全死亡・冠動脈疾患・脳卒中・CKDの頻度が増加する。

 ”OSAにどんなリスクがあるのか”という問いに答える大規模観察研究でした。まあ、当たり前のことを当たり前に証明しただけですが、実臨床のデータなので意義深いです。最近、studyでは証明されたけど、実臨床では・・・という観察研究が多くなってきてますよね。今回も300万人を超えるデータを用いてですからインパクトはあります。気をつけるべきは退役軍人病院データなのでほぼ90%以上が男性です。

 もう一つは、CPAPの効果です。実臨床ではCPAPをつけてもつけなくてもあまり、臨床アウトカムへの影響は少ない・・・と取ることも出来ます。例えば、結果の表からは、全死亡こそ差がついていますが、脳卒中やCKDに関してはCPAPつけても減らないどころか増えているようにも見えます。サブ解析ではPCI既往のある患者では、CPAP使用が非使用群と比較して5年後の心血管死亡と全死亡を減らしたとしています。この辺りはなかなか微妙なところです。