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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:サイアザイド系利尿剤の用量/細菌性膣炎/腎性貧血と鉄欠乏

今週のカンファまとめです。
気付きをたくさん頂きました。
感謝感謝。ただ、そろそろブレインに帰ってきて頂きたいところ。
視点を与えてくれる後輩は重要です。

サイアザイド系利尿剤の用量 Dose of thiazide diuretics

 サイアザイド系利尿薬について用量の問題が出ていました。通常少量で使用することが多いのですが、高用量で使用されていたので用量についての情報提供。

 基本的にサイアザイド系利尿薬が低容量で使用されるのは、過去のstudyの結果によります。具体的なstudyは有名なALLHAT研究。Chlorthalidoneというサイアザイド系利尿剤(本邦では販売中止)という利尿剤の効果を検証したRCTです。
 論文のPICOは、

P:55歳以上の心血管リスクの高い高血圧患者33357人
I/C:①クロルタリドン群 12.5-25mg、②アムロジピン群 2.5-10mg、③リシノプリル 10-40mg
O:プライマリ 致死的冠動脈疾患または非致死的心筋梗塞
  セカンダリ 全死亡・脳卒中・複合冠動脈イベント・複合心血管イベント
T:RCT/ITT解析
結果:
 平均67歳、follow up平均4.9年、女性47%、糖尿病36%
 プライマリアウトカムは3群で有意差なし

 ということで、CCBとACEと比較して遜色ないという結論となったのでした。この効果は12.5mgと25mgで変わりなく、一方で副作用は25mgで有意に多かったことから、用量依存的ではなく、少量使用することで十分とされています。

 このことは他の研究でも証明されており、別のサイアザイド系降圧薬の効果を検証した研究でも、降圧効果は用量依存性が無かったことが証明されています。

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BMJ 1990; 300:975.

 副作用として覚えておくべきは、①低カリウム血症、②低ナトリウム、③高尿酸血症、④血糖上昇、⑤コレステロール上昇、⑤マグネシウム低値などです。これらは用量が少ない程、発生頻度が少ないことが分かっています。

 また、高用量で使用すると心臓突然死が有意に増えるという結構怖い報告もされており、これを見てしまうと、低容量で行こうと思います。

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N Engl J Med. 1994 Jun 30;330(26):1852-7.

 本邦で使用可能なエビデンスのある薬剤としてはインダパミド(ナトリックスⓇ) 1.25mgやヒドロクロロチアジド(ニュートライドⓇ) 12.5-25mgです。少なめで使いましょう〜

 ✓ 古くて新しい薬、サイアザイド系利尿剤は用量少なめでも効果十分、副作用少ない

 

 

細菌性腟炎 Bacterial vaginosis

 カンファで話題になったのですがあまり馴染みのない疾患なので、さらっと疾患スクリプトを押さえるための情報確認をしておきます。
 実はかなりcommonな病態で、50歳未満の出産可能女性の29%が罹患している可能性があるというデータがあります。ただし、このデータには症候性も無症候性も含まれており、vaginitisとvaginosisという言葉の使い分けもそこから来る模様です。高齢者では感染を合併しない老人性膣炎(萎縮性膣炎)もあるため、鑑別が必要になります。

 起因菌になり得る微生物はあまり聞き慣れないモノもありますが、
Gardnerella vaginalis
Prevotella spp
Porphyromonas spp
Bacteroides spp
Peptostreptococcus spp
Mycoplasma hominis
Ureaplasma urealyticum
Mobiluncus spp
などが報告されています。

 診断にはAmsel criteriaが提唱されており、以下の項目の内3つを満たすことが条件とされています。

①腟分泌物の性状は、薄く均一である。
②腟分泌物の生食標本で、顆粒状細胞質を有するclue cellが全体の20%以上
 →感度 53-90%、特異度 40-100%
③膣pH>4.5
 →膣pH検査 
感度77%、特異度35%
④腟分泌物に10%KOHを1滴加えたときにアミン臭(whiff test)
 →感度 67%、特異度 93%

 Am J Med. 1983;74(1):14.

 ただ、所見の客観性に欠けるのが難点です。膣培養はあまり役に立ちませんと。

 治療はメトロニダゾールかクリンダマイシンで臨床的治癒率は70-80%と言われています。メトロニダゾールは経口でも腟錠でも治療可能。
 具体的には、
①メトロニダゾール(フラジールⓇ) 500mg 2錠/日×7日
②メトロニダゾール膣用ゲル(ロゼックスⓇ)(1gあたり37.5mg含有)1回5g/日×5日
③クリンダマイシン(ダラシンⓇ) 300mg 2錠/日×7日
辺りが推奨治療の模様です。

 ✓ 細菌性膣炎は比較的頻度は多いが無症候性のものが多い。治療はMNZかCLDM

 

 

腎性貧血と鉄欠乏 Renal anemia and Iron deficiency

 腎性貧血患者での鉄欠乏をどう見積もるか?という話題が出ていました。これはESAs製剤の効果を最大限発揮するためにも必要な情報です。例えば透析を回している患者さんでは、それだけでも鉄欠乏になります。

 通常CKD患者や末期腎不全(ESRD)患者さんでは鉄欠乏の評価方法や基準は異なります。絶対的な鉄欠乏の指標ですが、
・末期腎不全患者ではフェリチン<100ng/ml
・透析患者ではフェリチン<200ng/ml
が基準と言われています。
 また、トランスフェリン飽和度(TSAT)も基準になると言われています。
 TSAT(%)=血清鉄/TIBC×100
で求められます。TSATが20%以下は鉄欠乏を疑う所見です。

 また、診断的治療で反応性を見てみるという方法もあります。治療開始後は3ヶ月毎にフェリチン値をモニタリングし、鉄過剰に中止していく必要がある。

 ✓ 腎性貧血患者での鉄欠乏を見分ける方法は、フェリチン<100ng/ml、TSAT<20%