栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:RCT Therapeutics 流産を繰り返す妊婦さんに対する低分子ヘパリン

ACPJCアップです〜。
今回のテーマはあまり馴染みがないですね。

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Low- molecular-weight heparin for women with unexplained recurrent pregnancy loss: a multicenter trial with a minimization randomization scheme.

Schleussner E, Kamin G, Seliger G, et al; ETHIG II group.
Ann Intern Med. 2015;162:601-9.

臨床上の疑問:
 
原因が特定できない流産を繰り返す妊婦さんに対して、低分子ヘパリンは妊娠継続率や生存出生を増やすか?

方法:
 ①デザイン:RCT
外来クリニック
単胎で妊娠成立が5-8週時に超音波で確認された449人の18歳以上の妊婦さん(平均年齢32歳、過去の流産回数平均2.6回(1-8回))
 除外基準は、過去に遺伝子異常・子宮異常・胎児解剖学的異常・感染症・糖尿病・HIV・プロトロンビンや第Ⅴライデン因子欠乏症・抗リン脂質抗体症候群・喫煙者・アルコールや薬物中毒・他の理由でヘパリンが必要な患者・アドヒアランス不良。
ダルテパリンナトリウム 5000単位/日自己注射+マルチビタミン葉酸併用群(226人) vs マルチビタミン葉酸のみ群(223人)
プライマリアウトカムは24週時点での妊娠継続。セカンダリは生存出生・早期産・子癇・常位胎盤早期剥離・子宮内発育遅延。
プライマリアウトカムまで97%フォロー
結果:

 低分子ヘパリン+マルチビタミンは、マルチビタミンのみと比較して24週時点での妊娠継続率を増やさなかった。同様に生存出生や28週未満の早期産など他のアウトカムも差が無かった。
 ・早期産(28週未満) 1.8% vs 0.9%
 ・早期産(28-33週) 2.7% vs 0.9%
 ・早期産(34-36週) 4.4% vs 6.3%
 ・子癇・溶血・肝機能障害は有意差なし
 ・血小板減少 1.3% vs 2.7%
 ・常位胎盤早期剥離 0% vs 0.4%
 ・子宮内発育遅延か胎盤機能不全 2.2% vs 2.7%

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(本文より引用)

結論:
 原因が特定できない流産を繰り返す妊婦さんに対して、低分子ヘパリンは妊娠継続率や生存出生は変化が無かった

 過去にヘパリンの方が良いという知見があったものの質の高いエビデンスが無かったために今回検証された模様です。過去に2回以上流産を経験している女性は5%以上とも言われ、エビデンスというよりは不安のために使用されてきた経緯がありましたが、今回ヘパリンなしでも思った程悪くないことがわかりました。
 こういった過去の知見を検証する作業はとても重要ですね。完全に専門外ではありますが勉強になりました。