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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:飢餓と脂肪肝/Top of basilar syndrome/Natural historyは重要

カンファ 消化器 神経 病歴

今週カンファはまだ夏休み者がいて控えめ。
そろそろ通常運航にしないとな・・・

飢餓と脂肪肝 Starvation and fatty liver

 高齢者の高度飢餓状態の方に著明な脂肪肝が見られました。以前、神経性食思不振症で著明な高中性脂肪血症と高LDL血症を経験しましたが、この方はLDLもTGも著明低下でした。

 調べてみるとNAFLDの原因の一つに"weight loss"が言われています。重度の飢餓状態から脂肪肝になる機序としては、脂肪欠乏状態で中性脂肪を肝臓に過剰に蓄積してしまうことが機序として言われています。血中が高値になったりならなかったりするのは、最終的に血中からも枯渇してしまうか否かが分かれ目なのでしょうか?

 AGAのNAFLDガイドラインにもetiologyの一つにweight lossが記載されていました。

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(Gastroenterology. 2002 Nov;123(5):1705-25.より引用)

 ✓ 高齢者の高度飢餓状態でも脂肪肝を来す事がある

 

 

Top of basilar syndrome

 日本語では、脳底動脈先端症候群とも言う様ですね。命名は有名なCaplan先生です。後大脳動脈(PCA)の近位部3-4mmのところから出てくる穿通枝動脈の塞栓症によるものと言われていて、この灌流域が中脳、視床背側および視床正中部の両側であり、特徴的な蝶形の梗塞を認めます。また後頭葉や側頭葉にも梗塞巣を作ることもあります。

 症状としては、一側または両側動眼神経麻痺、Parinaud徴候、下方注視麻痺を来たし、同時に意識障害、無為、記憶障害を伴います。この辺りは視床の症状ですね。麻痺が出ない脳梗塞として押さえておく必要があります。

http://www.jocmr.org/tables/jocmr2009w-g002.jpg
http://www.jocmr.org/tables/jocmr2009w-g002.jpgより引用)

 ✓ Top of basilar症候群を想起できるようにしよう

 

 

Natural historyは重要 Importance of natural history

 病歴を聞いていく時に、色々なポイントがあると思います。一つのポイントとしてNatural historyを意識しましょうという話題が出ました。臨床推論の過程で、多くの場合は頭の中で仮説を立てて、それを検証する質問をして、仮説を練り直して・・・という仮説演繹法を使っていることが多いわけです。そして、仮説を検証する質問として、感度特異度を意識して診断に迫っていきます。

 疾患のNatural histroyが理解できていると、ある程度まで仮診断が進んだところで、症状・身体所見を予測できるようになります。仮説演繹+snap diagnosisみたいな感じでしょうか。これがピタッとあたると気持ちいいですよねー。もちろん疾患多様性にも注意すべきですが。

 もう一つ、Natural historyを知るために重要な事は、経過をフォローするということです。診断ついて終わり〜じゃなくて、”肺炎球菌性肺炎”と診断したら、「教科書的な肺炎球菌性肺炎のNatural history」と「実際の目の前の患者さんの病歴」を照らし合わせます。後から聞くと気付けることや聞き漏らしていること、そしてその患者さんから学べる新しい知見が見えてきます。この辺りが詳細にcase reportを吟味することの重要性ですね。

 ✓ 病歴聴取の際にはNatural historyを意識せよ