栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:周術期患者への音楽

周術期患者への音楽
Music as an aid for postoperative recovery in adults: a systematic review and meta-analysis*1

Lancet 2015; 386: 1659–71

【背景】
 音楽は非侵襲的で安全で、お金のかからない介入である。今回システマティックレビューで音楽が手術手技後のアウトカムを改善するかを検証した。

【方法】
 成人の外科手術患者のランダム化比較試験を対象とし、頭頸部手術は除外した。音楽のタイミングは、術前・術中・術後どの時期でも可とし、それ以外の通常ケアや非薬物介入と比較した。MEDLINE・Embase・CINAHL・Cochrane Centralを検索し、RevMan ver5.2でメタ解析を行い、標準化平均差(SMD)、ランダムエフェクトモデルを算出した。またStata ver12でメタ回帰も施行。

【結果】
 4261研究とアブストラクトを検証し、73RCT(サンプルサイズ:20-458人)でシステマティックレビューを行った。音楽の選択やタイミング、期間は様々だった。音楽は術後疼痛を減らし(SMD -0.77:-0.99 to -0.56)、不安を減らし(SMD -0.68:-0.95 to -0.41)、鎮痛剤使用を減らした(SMD -0.37:-0.54 to -0.20)。また、患者満足度は増えた(SMD 1.09:0.51-1.68)が、入院期間は変わらなかった(SMD -0.11:-0.35 to 0.12)

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(本文より引用)

サブグループ解析では、音楽の選択やタイミングのアウトカムへの影響はほとんどなかった。メタ回帰では、8つの変数で評価し異質性の原因は同定されなかった。音楽は手術で全身麻酔下であっても効果的だった。

【結論】
 音楽は、術後患者の疼痛や不安を軽減する方法として考慮することができる。タイミングや方法は個々の臨床状況や医療チームによって調整することが可能である

【批判的吟味】
・術前後の音楽のメタ解析。ついに出ましたねえ。
・まずは論文のPICOから
P:術後患者
I:術前・術中・術後から音楽
C:通常ケア・ノイズ等
O:①疼痛、②不安、③鎮痛剤使用、④患者満足度、⑤入院期間、⑥感染
T:RCTのメタ解析
・メタ解析の結果がSMDで表記されているので、効果がどの程度かは良く分かりにくいという印象です。
・Funnnel plotではpublication biasは無さそうです
・アウトカムに感染を挙げましたが、感染をアウトカムにした研究は無かったんだそうです
・異質性の原因は説明できなかったので、今後個人レベルデータのメタ解析か大規模RCTが必要だろうと言われていました

【個人的な意見】
 個人的には、音楽の種類は極めて重要なんだけどなあ。普遍的にみんなに受け入れられるリラックスできる音楽なんてあるんだろうか・・・・あとリピートはしないで欲しい。お店とかでBGM一周したりするあれ苦痛です。あと、周術期に聴いていた音楽は、後にその曲を聴くと手術を思い出すというトラウマ的な結果になりそうなので、音楽選択に是非関わらせて頂きたい(笑)。

✓ 周術期に音楽をかけることは、患者の疼痛・不安・満足度などを改善する