栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:視点が違う

 デスカンファは徐々に参加者の深みが増しています。T先生との掛け合いもなかなか良い感じになってきました。今回は、病院と施設との関わりでのお看取りのケースです。

 80代の認知症のある高齢男性。繰り返す誤嚥性肺炎で入院。入院後肺炎は改善するも嚥下機能障害が改善せず、嚥下評価・リハビリを行いましたが、症状は改善せず。もともと何年か前に一度介護力不十分から重度の褥瘡が出来て、当院での入院歴がある方でした。
 
 特別養護老人ホームに入所中でしたが、入所当初は元気がなく徐々に元気が出てきていた模様です。施設の方も来て頂きましたが、皆さんに大変愛されている方だったのだなという雰囲気が伝わってきました。

 
 ご家族は人工栄養は希望されず、徐々に衰弱していく中で施設は当初から、「看取りであれば受け入れます」との意思表示をしてくださいました。こちらの施設では看取り経験があり、月1例ほど嘱託医の先生と相談しながら看取りを行っている施設でした。

 本人は「帰りたい・・・」という希望はぼんやりと意思表示し、ご家族は揺れている状況でした。何度か退院を延期したりしながら、ようやく準備が整って、退院した3日後に施設で永眠されました。穏やかな最期だったとのことです。

(一部プライバシーの観点から内容を変更しています。)

  施設に戻ったことはどうだったのだろうか?医療者のごり押しだったりエゴだったりしないか?そんな話題が出てきました。嘱託医の先生とは電話でやり取りをする中で、「病院で看取っても良かったのではないか?」というフィードバックも頂きました。確かにその通りだったよなあ・・・とモヤモヤ。

 カンファの中で、特養に帰ってからの3日間の様子を伺うと、なんとお風呂に入って洗髪をしてスッキリしたんだそうです。これは院内にいる時にはしてあげられなかったことでした。戻ってきたら明らかに髭ぼーぼーだったのが気になったのだとか。やはり医療者側との視点が全く違いますよね。今までの本人を長く見てきた方達だからこその視点。ご家族もスッキリしたね、と満足していた様子だったそうです。病院にいて最期を迎えたらしてあげられなかったことかもしれません。

 だから、帰って良かったよねと自己肯定するつもりもありませんが、医療と介護は視点が違う、医療者と家族は視点が違うことを改めて感じました。そして病院は病院で何かできることはないかを医学的なこと以外に模索して、トライして行く必要があるかもしれません。

 この写真は当院の栄養士さんが看取り直前の患者さんのために用意したお粥をつかったネギトロ。大のネギトロ好きだったんだそうです。こうゆう個別化と思いは本当に大事です。やるじゃん!と思った次第。さあ病院は病院で何が出来るかな。挑戦です!

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