栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:大腸内視鏡開始時の体位 ROLCOL研究

大腸内視鏡開始時の体位 ROLCOL研究
Right Or Left in CoLonoscopy(ROLCOL)? A randomized controlled trial of right versus left-sided starting position in colonoscopy*1

Am J Gastroenterol advance online publication,29 September 2015.

【目的】
 大腸内視鏡検査は技術的に難しく患者に不快感を引き起こす。今回従来の左側臥位開始と比較して右側臥位からの開始が、大腸内視鏡検査の処置時間と患者の快適性を改善するかを評価した。
【方法】
 右側臥位から開始群と左側臥位から開始群とのランダム化比較試験が行われた。163人の患者が大腸内視鏡検査を施行され、年齢・性別・BMI内視鏡医の経験年数によって層別化された。患者は1:1でランダム割り付けされた。プライマリアウトカムは回盲部までの到達時間、セカンダリーアウトカムは患者快適度をVASで評価した。
【結果】
 回盲部到達時間は、右側臥位開始の方が左側臥位開始よりも早かった。さらに、右側臥位は左側臥位よりも快適で、多変量解析においても開始体位は回盲部到達時間の独立した規定因子だった。女性、過去の腹部手術歴ありが、右側臥位でより利益を得る群だった。女性:右 498秒、左824秒、腹部手術歴あり:右 498秒、左 797秒だった。

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(本文より引用)
【結論】
 今回の研究では右側臥位での開始がより快適で手技時間が短くなった。多変量解析においても、右側臥位の開始は、回盲部までの到達時間短縮の独立した規定因子だった。女性や過去に手術歴がある患者などでは右側臥位開始はメリットがある可能性がある。

【批判的吟味】
・まず、論文のPICOは、
P:18歳以上の連続したCF患者163人
I:右側臥位開始群
C:通常の左側臥位開始群
O:直腸粘膜見えてから盲腸挿入(虫垂入口部・回盲弁)までの時間
T:RCT/ITT解析
・平均年齢60歳、BMI 25、過去の手術歴40%
・それぞれの側臥位から開始して途中での体位変換を行っており、体位変換の頻度も見ていますが体位変換頻度も右側臥位が少ない結果でした。
・経験年数が少ないと時間がかかる傾向もあり。
・サブ解析では女性と腹部手術歴がある方が右側臥位の効果が高い結果。

【個人的な意見】
 もともと1969年頃から始まったCFでは伝統的に左側臥位が好まれていましたが、あまり根拠はありませんでした。今回はこの定説に新たな知見を植え込んだ画期的な研究です。生理的には左側臥位だとS状結腸から下行結腸に挿入している際には、ガスがS状結腸に逃げて下行結腸が虚脱するため難しかったみたいです。過去には砕石位 vs 左側臥位の研究があったみたいで、これも砕石位の勝ちだったみたい。さて明日からのプラクティスやいかに?(笑)

✓ 大腸内視鏡検査は右側臥位で開始した方が施行時間が短く患者快適度も高い