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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:尿路結石疑い患者に対する腹部CT/肺の無症候性小結節の評価/後縦隔腫瘍の診断/痛風患者に対する尿酸降下薬

MKSAP 泌尿器 検査 呼吸器 悪性腫瘍 放射線 代謝 内分泌 薬剤
MKSAPまとめです。
このまとめはちょい時間かかりますな。

尿路結石疑い患者に対する腹部CT
Evaluate a patient with probable kidney stones using noncontrast abdominal helical CT

❶症例 
  51歳男性が、数日前から片側の側腹部痛と微熱があるとのことで外来を受診された。嘔気・嘔吐はなく、頻尿や尿意切迫感などの泌尿器症状も認めなかった。彼は10年前から脂質異常症でシンバスタチンを内服中。
  身体所見では、体温 37.8℃、BP 159/93mmHg、Pulse 92bpm、RR 12/min、BMI 26だった。腹部診察では、平坦、軟、腸管蠕動音正常で、腫瘤無く軽度のび漫性腹痛があり、右側腹部〜上腹部にかけてわずかに痛みが増悪。

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(MKSAPより)

 この患者の次に行うべき最も適切な検査は?
A.  腹部MRI
B.  KUB
C.  経静脈的腎盂造影検査
D.  腎臓超音波
E.  非造影腹部単純CT

 尿路結石症の検査
 本患者で、最も適切な検査は非造影腹部CTである。患者は新規緩徐発症の腹部〜側腹部痛で、血尿と軽度濃尿があり、尿路結石の存在が疑われる。ほとんどの尿路結石は、放射線不透過性でKUBなどの腹部単純X線検査で同定できる。しかし、小結石や尿酸やインディナビルなどによるX線透過性の結石、腸管の干渉の影響で偽陰性も多い。非造影CTが尿路結石症の同定にはゴールドスタンダードであり、尿路閉塞や水腎症を明らかにし、直径1mmまでの結石が同定可能。更には腹痛や血尿の原因となる他の疾患の除外も可能である。ただし、非造影腹部CTは高価で放射線被曝も起こす。

❸その他の選択肢
腹部MRI腹部MRIでは結石は可視化できず、陰性でも尿路結石を除外出来ない。

KUB:KUBは、結石のフォローアップに用いることは可能だが、診断に使うには偽陰性が多い。

経静脈的腎盂造影:IPは尿路結石の診断に対する感度・特異度は非常に高い。ただし、腸管準備が必要であり、造影剤を使用するため、腎機能障害のある患者では禁忌である。
腎臓超音波:超音波はしばしば用いられる検査で、CTよりは安価である。利点としては放射線透過・非透過に関わらず腎臓・腎盂の結石を可視化できる。一方で、感度・特異度はそれほど高くないため、追加の画像検査が必要になるため、コストが増えてしまう

Key Point
✓ 尿路結石の診断のためには非造影CTがゴールドスタンダードである。

Goldfarb DS. In the clinic. Nephrolithiasis. Ann Intern Med. 2009;151(3):ITC2. PMID: 19652185

 

 

肺の無症候性小結節の評価
Evaluate a patient with small, asymptomatic pulmonary nodules

❶症例
  57歳女性が、喘鳴と吸気時痛を伴う労作時息切れを主訴に救急外来を受診された。患者は25PYの喫煙歴があり、内服は何もしていない。
  身体所見では、体温正常、BP 138/82mmHg、RR 18/min、胸部聴診で喘鳴を聴取し、他は異常所見を認めなかった。
 血液検査所見では特記事項なく、胸部X線正常、胸部CTでは多発の肺動脈血栓を認め、同時に両側に最大4mmまでの小結節を複数認めた。
 患者は入院し、ヘパリン・ワーファリンによる治療が開始された。

本患者の肺結節に対する評価で次に行うべき最も適切な検査はどれか?
A.  病理検査のための気管支鏡検査
B.  抗凝固療法を中止後にCTガイド下に最大結節の生検
C.  12ヶ月後のCT follow
D.  直ちにPET/CT

 ❷肺小結節
  本患者で最も適切な診断ステップは12ヶ月後にCTフォローとすることである。本患者はCTで肺塞栓症の診断がついており、今回見つかった肺結節は大きさや見つかった経緯からも無症候であろう。肺結節の評価は、迅速に悪性腫瘍を同定治療する必要性と、良性結節に対する侵襲的処置を避けるという2点のバランスが重要である。弧発性肺結節は、3cm以下の肺結節性占拠性病変で、周囲は正常肺でリンパ節腫脹を伴わないものと定義されている。3cm以上は肺腫瘤と認識される。CTスクリーニングの研究では、肺内に癌が見つかった際に、それよりも小さな良性結節が複数存在する事はよくある。1cm以上の大きな結節と1cmに満たない小結節が存在する場合には、両者の管理は分けて考えるべきである。
 Fleischner Societyの胸部画像・診断のガイドラインによる推奨では、偶発的に発見された肺結節のフォローアップは結節の大きさで考えるべきとしている。低リスク患者(非喫煙者、第一親等内に肺癌なし、アスベストラドンへの曝露歴なし)では、4mm以下の結節に関してはfollow up不要としている。リスクが高い患者(喫煙歴あり、環境曝露あり)では、4mm以下の結節は12ヶ月後に画像follow upが推奨されている。

 ❸他の検査選択肢
気管支鏡検査:気管支鏡検査による病理検査は、大きく中枢性の病変には良い適応になるが、本患者の様な悪性腫瘍リスクが低い結節の評価には適切では無い。
生検:本患者の様な小病変に対する生検は、悪性リスクが低く生検に伴う合併症も危惧され推奨されていない。
PET/CT:PET/CTは追加検査としては広く行われているが、1cm以下の小病変に対する追加情報は得られにくい

Key Point
✓ 肺癌リスクの高い患者(喫煙歴、環境的曝露)では、4mm以下の偶然みつかった肺結節のfollow upは12ヶ月後である

MacMahon H, Austin JH, Gamsu G, et al; Fleischner Society. Guidelines for management of small pulmonary nodules detected on CT scans: a statement from the Fleischner Society. Radiology. 2005;237(2):395-400. PMID: 16244247

 

 

後縦隔腫瘍の診断
Diagnose a posterior mediastinal mass

❶症例

  38歳女性が、胸部X線異常影のフォローアップのために外来を受診。X線は肺炎疑いで救急外来を受診された際に指摘された。呼吸器症状は速やかに改善し受診時には元気になっている。健康状態に問題なく現在特に問題になるような症状はない。軽度の運動時の呼吸困難はあるが、気になる程ではない。
 身体所見では、バイタルは正常で頚部・腋窩・鼠径部のリンパ節腫脹は認めず、神経学的にも異常所見なし。
 胸部X線では、右肺底部に異常影があり、胸部CTでは正中から側方に4cm大の後縦隔腫瘍があり、胸部異常影の原因と考えられた。

 この腫瘍の最も考え易い発生源は?
A.  リンパ節
B.  神経
C.  胸腺
D.  甲状腺

 ❷後縦隔腫瘍
 本患者で最も考えられるのは神経鞘腫いわゆるシュワノーマであり、良性の神経細胞から発生し後縦隔に出やすいという特徴がある。縦隔は胸の中央で両側の胸膜に挟まれるように存在し、前縦隔・中縦隔・後縦隔に分かれる。この分類は、この部分から出現した腫瘍の鑑別診断を考える上で臨床的に非常に役に立つ
 前縦隔腫瘍では、甲状腺腫・胸腺腫・リンパ腫などがある。中縦隔腫瘍では、気管支囊胞腫・心膜のう胞腫もリンパ腫が含まれる。後縦隔腫瘍では一般的には神経鞘腫・食道腫瘍・囊胞腫などに限定される。
 神経鞘腫は良性の腫瘍性Schwann細胞が腫瘍を取り囲んでおり、末梢神経腫瘍の中では最も一般的で、本例の様に胸部に起こる事もある。後縦隔腫瘍の患者では、症状として咳嗽、頚静脈怒張、嗄声、背部痛、胸痛などが起こり得るが、無症候のこともある。CTやMRIによる画像検査と一緒に、甲状腺スキャンや超音波内視鏡検査などが診断のために用いられることがある。症状がある場合や確定診断に疑問が残る場合には外科的切除が選択される。

Key Point
✓ 後縦隔腫瘍の鑑別診断には解剖学的部位が役立つ

Ponce FA, Killory BD, Wait SD, Theodore N, Dickman CA. Endoscopic resection of intrathoracic tumors: experience with and long-term results for 26 patients. J Neurosurg Spine. 2011;14(3):377-381. PMID: 21250809

 

 

痛風患者に対する尿酸降下薬
Manage gout with urate-lowering agents

❶症例

  49歳男性が、10年前からの痛風既往があり受診。受診時には症状はないが、発作回数を減らしたいと思っている。最近発作は少なかったが、過去3年間の間には年4-5回の痛風発作を起こしている。彼の父は慢性の痛風結節に罹患している。内服は発作時にイブプロフェンのみ。
 身体所見では、体温 37.0℃、BP 118/80mmHg、Pulse 72bpm 整、RR 13/min、BMI 29だった。全体的な身体所見には異常なし。痛風結節は認めず、関節診察では特記すべき異常所見を認めず。
 採血検査では、血算・生化では肝機能も含めて正常、ESR 16mm/時、血清尿酸値は9.2mg/dLだった。
 手足のX線は正常。

 本患者で最も適切な初期治療はどれか?
A.  アロプリノール
B.  コルヒチン
C.  コルヒチン+アロプリノール
D.  フェブキソスタット

 ❷再発を繰り返す痛風
 本患者は、頻回に症候性痛風発作を繰り返しており、初期治療としてはアロプリノールなどの尿酸降下療法に加えて、コルヒチン併用を要する痛風では、関節の重度の疼痛・発赤・腫脹を伴う急性・間欠的な発作が見られ、関節液の偏光顕微鏡検査で尿酸結晶が認められる。NSAIDsやステロイド、コルヒチンは急性痛風発作時に適切な管理戦略である。薬剤選択で重要なのは、治療効果のみならず個々の患者にとっての副作用や中毒リスクである。

 ❸その他の治療
 アロプリノール単剤痛風は、高尿酸血症と関連し再発エピソードがある患者(1年に2回以上)では、今後の痛風発作再発予防と関節内への尿酸沈着予防のために尿酸降下薬が用いられる。しかし、尿酸降下薬の投与は投与3-6ヶ月の間では一過性に痛風発作を起こすリスクが高くなる。そのため、上記期間の間だけでも、尿酸降下薬に加えてコルヒチンなどの抗炎症薬の予防的併用が行われる。
 生活習慣改善
上記治療に加えて、個人の許す範囲内でプリン体やフルクトース摂取を減らして乳製品の摂取量を増やす、体重減量、アルコール節酒などの血清尿酸濃度を減少させるリスク管理が必要である。また、サイアザイド系利尿薬や低容量サリチル酸などは血清尿酸値を上昇させる薬剤であり、代替療法があれば中止すべきである。
 フェブキソスタットアロプリノールもフェブキソスタットも予防的投与としての適応はある。フェブキソスタットとアロプリノールの用量は血清尿酸値が≦6.0mg/dLまで低下するように調節する。これらの2剤の比較は十分されていない。フェブキソスタットの方が有効性が高い可能性があるが高価。
 コルヒチン単剤コルヒチンのみでは、痛風リスクを減らすかもしれないが、尿酸沈着という根本的な問題に対する対処がされていないため、時間とともに徐々に悪化してしまう可能性がある。

Key Point
✓ 頻回に再発を繰り返す痛風発作の場合には、尿酸降下薬に加えてコルヒチンや抗炎症薬が適応になる

Yang LP. Oral colchicine (Colcrys) in the treatment and prophylaxis of gout. Drugs. 2010;70(12):1603-1613. PMID: 20687623

MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program

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MKSAP for Students 5

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