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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:腸管気腫性嚢胞症/特発性腸腰筋血腫/dry beriberi

カンファ 内分泌 代謝 循環器 消化器 神経 血液 診断

今週カンファ久々。
カンファで話題に上ったレア疾患を取り上げます。
相変わらずマニアックなやつらを取り上げております・・・

腸管嚢胞性気腫症 Pneumatosis cystoides intestinalis

 腹痛を伴わないフリーエアーというとこやつが有名でしょうか。腸管内に粘膜下腫瘍様の隆起が認められ、CT上ではまるでフリーエアーの様に見えます。こんな感じですね。最初見るとひえーってなりますが。


http://emedicine.medscape.com/article/371955-overviewより引用)


 原因として特発性と続発性があることが知られていて、続発性としては呼吸器疾患・自己免疫性疾患・消化器疾患・臓器移植・医原性・薬剤性など多彩な原疾患が報告されています。続発性が全体の85%を占めるのだそうです。最近だと有名なのはα-GI内服によって出現したという症例でしょうか。
 診断は画像診断で偶発的に為されることが多く、内視鏡では大腸内腔に囊胞を認めることが多く、内部にはガスが含有されています。ただし中には重度の虚血に伴う腸管内ガスももちろんありますから、臨床症状に十分注意する必要があります。
 

 ✓ 腹部症状を伴わないフリーエアーを見たら腸管気腫性嚢胞症を考慮する

 

 

特発性腸腰筋血腫 Spontaneous hematoma within iliopsoas muscle

 腸腰筋血腫と大動脈瘤破裂が鑑別に考える必要のある症例を経験。腸腰筋血腫や出血は外傷以外では、血友病患者や抗凝固療法中の患者での報告が散見される程度です。結構稀な病態です。

http://www.omicsonline.org/articles-images/43047-2908-spontaneous-life-threatening-massive-retroperitoneal-and-iliopsoas-hemorrhages-in-adult-hemophilia--a-patients-with-inhi.gif
http://www.omicsonline.org/articles-images/43047-2908-spontaneous-life-threatening-massive-retroperitoneal-and-iliopsoas-hemorrhages-in-adult-hemophilia--a-patients-with-inhi.gifより引用)


 今回鑑別に上がった様に、腹部大動脈瘤破裂に伴う後腹膜血腫の一環としての腸腰筋血腫は外してはいけない鑑別です。まずマネージメントが全く異なりますから、緊急手術が必要な病態を念頭に対処する必要があります。

 症状としては、急激な鼡径部痛や背部痛・腰痛・股関節の伸展障害(いわゆる腸腰筋徴候)が認められ、重度になると大腿神経麻痺が認められることがあったと報告されています。疑った場合にはCTが診断には最も寄与します。

 原則特発性の場合には保存的治療ですが、RCCFFPなどの輸血や症状がコントロールがつかない場合は血管内治療や外科的治療が考慮される模様です。

 ✓ 特発性腸腰筋血腫の特徴は突然の背部痛・腰痛・股関節伸展障害

 

 

dry beriberi

 そんな時代なのか分からないですが、beriberiが多くないですか?栃木県だけですか?dryもwetもWernickeも虚弱高齢者をたくさん診ているからかもしれませんが、common diseaseの様相を呈しています。
 
 以前はwet beriberiを取り上げましたが、今回はdryの方を。dryは日本語では乾性脚気とも呼ばれ、古典的な脚気というとこちらが有名かもしれません。脚気の検査として膝蓋腱反射を取るのはもう昔の話でしょうか。江戸時代はおいしい精米された白米を食べている江戸在住の上層武士に多かったので「江戸患い」とも言われた様ですね。ただ、死んでしまうやつはwet beriberiだったんだろうなあと思いますが・・・

 dry beriberiは両側対称性の多発末梢神経炎で、運動・感覚両方の障害が来たし、四肢末梢から症状が出現します。多くの場合はwetとdryと明確に区別出来る訳では無く、両者のoverlapもそれなりにあると考えた方が良いでしょう。wet beriberiの症状には神経症も包括すると定義されています。

 高齢者の末梢神経障害や筋力低下、転倒などを診たら見逃さないように想起できると良いですね。あとは入院中の長期点滴患者。TPNは良いのですが、末梢点滴症例では要注意です。

 ✓ beriberiは古くて新しい病気。見逃さないように・・・