栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:S状結腸捻転/急性汎発性膿疱性発疹症/診断がついた後に振り返る

今週カンファです。
色々反省が多い日々。臨床医としての成長はまだまだですね。

S状結腸捻転 Sigmoid volvulus

 S状結腸捻転はそれなりの頻度で出くわす可能性があります。腸閉塞全体の5%前後と報告されています。捻転を起こすためには、
①腸管の分節がたるんで自由に動き回れる
②その分節を固定している基点が近接している
という2点が必要条件であり、その基点を軸に捻転が発生するといわれています。

 そのため、比較的たるんで動きやすいS状結腸に捻転が生じやすいといわれています。たるみだけで言えば横行結腸もたるんでいるのですが、②の固定している基点がないので捻れにくい訳です。上記の解剖学的な特徴に加えて、後天的要因である便秘・長期臥床・抗精神病薬内服・高齢などが加わると発生しやすくなるため、高齢者に多い病気になります。
 

https://web.stanford.edu/dept/radiology/radiologysite/images/Med%20students%2010,%20colon/Sigmoid%20volvulus.png

https://web.stanford.edu/dept/radiology/radiologysite/images/Med%20students%2010,%20colon/Sigmoid%20volvulus.pngより引用)

 
 特徴的には上図の様なcoffee bean signが見られます。CTではそれ以外に、渦巻き状のwhirl signS状結腸のbeak signを探します。また、捻転によって腸管虚血が起こる事は稀ではないため、腹水や腸管壁造影効果、腸管壁内ガスなどを念入りに確認します。
 発症早期であれば内視鏡による整復が有用ですが再発率は高いので注意が必要です。整復時の穿孔例もしばしば報告されており、施行前に腹膜刺激症状や血便など壊死が疑われる所見がある場合には、内視鏡的整復ではなく手術を選択すべきとされています。

 ✓ S状結腸捻転に対する適切な診断治療を行える

 

 

急性汎発性膿疱性発疹症 Acute generalized exhanthematos pustulosis

 薬剤副作用にDRESSは有名ですが、こちらも押さえていた方が良い病態です。今回は薬剤副作用というよりは、ウイルス感染に伴う皮膚症状として経験しました。

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(http://www.medicalrealm.net/uploads/1/2/7/3/12737542/4982624_orig.jpgより引用)

 皮膚所見の特徴をよく押さえておく必要がありますが、特徴は毛穴に一致しない非毛嚢性の無菌性膿疱が紅斑を背景に出現する状態ということになります。全身症状としては発熱・白血球増多を来します。
  
 90%は薬剤性であり、抗菌薬(AMPCやマクロライド)、カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム)、抗痙攣薬などが被疑薬として言われています。残りの10%ではウイルス性、細菌性、寄生虫関連などが報告されており、PVB19・CMV・コクサッキーB4・マイコプラズマなどが報告されています。

 発疹自体は薬剤開始から数時間〜数日で出現。ただ抗菌薬以外では比較的長く経過してから出現する傾向があります。通常顔面から始まり、体幹・四肢に急速に拡がることが一般的ですが、限局性の症例も報告されています。

 通常は薬剤中止後1−2週間で症状は改善し、2週間以上持続するのは稀です。

 ✓ 抗菌薬による薬剤性皮膚障害として急性汎発性膿疱性発疹症(AGEP)の存在を想起しておく

 

 

診断がついた後に振り返る Reflexion after diagnosis was made

 え?そんなの当たり前っしょ?って言われそうですが。多くの症例カンファとかDr.Gとかでも診断がつくまでの過程がもてはやされますが、意外と重要なのは診断がついた後です。
 その疾患として妥当なNatural historyだったのか典型的な病歴・身体所見を逃していないか自分が聴いた病歴で正しかったのか?など十分検証しましょう。とかく入院時カルテは充実するものの、入院後にはその勢いが削がれていくのはよく見ます。

 ここは個人的にも課題で、こういった途中での展開な同僚には非常に刺激をもらっています。全ての診断がついた後に、清書を確認してから全ての病歴・身体所見を取り直すみたいな作業が出来たら、臨床力は格段にアップしていくでしょうね。もちろん身体所見は変化している可能性はありますが・・・

 ✓ 病歴聴取の肝は診断がついた後!