栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:間欠的跛行への運動療法と血管内治療併用

間欠的跛行への運動療法と血管内治療併用
Endovascular revascularization and supervised exercise for peripheral artery disease and intermittent claudication

JAMA.2015;314(18):1936-1944.

【背景】
 間欠的跛行に対して運動療法は第一選択の治療法として推奨されている。血管内治療と運動療法の組み合わせはより効果が高い事が期待されるが、2つの方法を比較した臨床研究は少ない。
【目的】
 間欠的跛行に対する血管内治療+運動療法の効果がどの程度あるかを運動療法単独と比較する。
【デザイン、セッティング、患者】
 ランダム化比較試験で212人の患者が血管内治療+運動療法群と運動療法単独群に割り付けられた。データは、オランダの10カ所の医療機関で2010年5月17日〜2013年2月16日まで収集された。患者は12ヶ月フォローされITT解析で評価された。
【介入】
 血管内治療(選択的ステント)+運動療法群(n=106人)か運動療法単独群(n=106人)
【メインアウトカム】
 プライマリアウトカムは、12ヶ月後のトレッドミルでの最大歩行距離とした。セカンダリは、トレッドミルで疼痛なしでの歩行距離、血管疾患のQOLスコア(VascuQol:1-7点)、SF-36スコアで身体機能のスコア・身体役割・疼痛・全般的健康評価(0-100)を評価した。
【結果】
 最大歩行距離は、血管内治療+運動療法群が264mから1501mと1237m有意に増加した。運動療法単独群は285mから1240mで955m改善し、両群の差は282m(60-505m)で有意に改善し、疼痛無しの歩行距離は血管内治療+運動療法群は117m⇒1237mと1200m改善し、運動療法単独群は135m⇒847mと712m改善し、両群の差は408m(195-622m)と有意だった。

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(本文より引用)

同様に、血管疾患QOLスコア(VascuQol)は、併用群で1.34(1.04-1.64)、単独群は0.73(0.43-1.03)で両群差は0.62(0.20-1.03)だった。身体機能のSF-36は併用群 22.4、単独群 12.6で有意に併用群が良い結果だった。その他のドメイン有意差なかった
【結論】
 間欠的跛行患者において、血管内治療+運動療法併用群は運動療法単独群と比較して、1年後の運動距離や運動関連のQOLスコアが有意に良い結果だった。

【批判的吟味】
・最近この手の運動療法とかの非薬物療法に興味があるわけで・・・
・論文のPICOを確認します
P:PADで間欠的跛行がある患者で以下の①−③を満たす
 ①安静時ABI<0.9または運動負荷後ABIで0.15低下
 ②画像で狭窄があり血管内治療の対象
 ③トレッドミル最大歩行距離が100-500m
I:運動療法+血管内治療群
C:運動療法単独群
O:12ヶ月後のトレッドミルでの最大歩行距離
T:RCT/ITT解析
・平均65歳、男性62%、現在喫煙 57%、DM 21%、最大歩行距離 270m
・クロスオーバーはあるようで、単独群でも血管内治療を受けたのが21人いる結果でした。また血管内治療群のうち3人が再治療となっています。
・今回具体的な運動療法として、内容は痛みが出るまでの最大歩行を行い、1回あたり30-45分の運動を最初の3ヶ月は週3回、次の3ヶ月は週1回、最期の半年は月1回で行うという内容でした。
・運動療法単独でも、955mとかなり歩行距離が改善しています。editorialでもここに注目していて運動療法の重要性をもっと認識しましょうとのことでした。ガイドラインで推奨されているシロスタゾールの効果もここまではありません。どの薬剤よりも効果が高いよ〜と。
ステントの上乗せ効果も282mですし、費用対効果を考えたら圧倒的に運動療法です。

【個人的な意見】
 きちんと構造化された運動療法のエビデンスがまた一つ確立されましたね。結局PADがあると痛くて歩かなくなっちゃうんだけど、頑張って歩き続けることで、側副血行路が出来てきて歩行距離も伸びるということなんですよね。

✓ PAD患者さんの間欠的跛行には積極的に運動療法を勧めよう!