栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:感染症疑いの重症患者発熱に対するアセトアミノフェン

感染症疑いの重症患者発熱に対するアセトアミノフェン
Acetoaminophen for fever in critically ill patients with suspected infection*1

N Eng J Med 2015;373:2215-24

【背景】
 アセトアミノフェンは、感染症疑いの可能性が高い集中治療室入室中の患者の発熱に対してよく使用されているがその効果は明らかではない。
【方法】
 感染症が確定もしくは疑われている患者のうち、体温が38℃以上の700人を、経静脈的アセトアミノフェン1g投与群とプラセボ群にランダムに割り付けし、6時間毎にICU退室・解熱・抗菌薬療法の中止・死亡を評価した。プライマリアウトカムはランダム化から28日目までのフォローアップ期間の中で、ICUではない病室での入院日数とした。
【結果】
 28日目までのICUではない病室での入院日数は、アセトアミノフェン群23日(13-25日)、プラセボ群22日(12-25日)であり、有意差は認められなかった(Hodges-Lehmann推定の絶対差 0日、96.2%信頼区間は0-1)。アセトアミノフェン群の55/345人(15.9%)と、プラセボ群の57/344人(16.6%)が90日目までに死亡した(RR 0.96:0.66-1.39)。

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(本文より引用)

【結論】
 感染症の可能性が高い発熱に対して早期にアセトアミノフェンを投与してもICUではない病室での入院に数には影響が無かった

【批判的吟味】
・いつもの通り論文のPICOから
P:16歳以上の体温38℃以上の感染症疑いで集中治療室に入院した患者
  抗菌薬は投与されている、脳血管障害や肝障害患者は除外
I:アセトアミノフェン1g静脈内投与群
C:プラセボ
※6時間毎に以下の条件を満たすまで投与は継続。
①抗菌薬終了、②ICU退室、③28日経過、④禁忌になった
O:28日後までのICUフリーな入院日数
T:RCT/ITT解析あり
・3601人が組み入れを検討されていますが1674人が除外基準に引っ掛かり、更に1053人が適格だったが組み入れされなかったとあります。1000人強は何故組み入れられなかったのか気になります。
・平均 59歳、男性 65%、体重 86kg、担癌患者 21%、糖尿病 26%、敗血症ほぼ100%、重症敗血症 83%、敗血症性ショック 19%
ICU入室期間のみのアセトアミノフェンのデータなのでその前後でどの程度使用されたかは不明。
・実際に薬剤投与されたのはアセトアミノフェンが平均8回、プラセボが平均9回だった。遵守率は両群とも80%以上。
【個人的な意見】
 結果出なかったですねえ。とにかくルーチンで解熱したりクーリングしたりは予後を改善しないことは明白になりつつありますね。冷やすべきは医療者側の頭なのかもしれません。そして今回使用されているのが1000mgアセトアミノフェン点滴製剤。今回のstudyの副作用報告にはありませんでしたが、結構ショックになっている症例を散見します。個人的には量も多いし、安易に使用すべきではないかなあと思いますが・・・

✓ 感染症疑いでICU入室中の発熱患者に対するアセトアミノフェンは入院期間短縮には繋がらなかった