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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:Hummingbird sign/心不全のFAILURE/血管免疫芽球型リンパ腫(AITL)

カンファ 放射線 神経 循環器 血液

今週カンファです。
ちょっと夜中呼ばれ過ぎて集中力↓
まあ、入院患者がアラウンド100なので、全部目を通すのはだいぶ無理芸です。

 

Hummingbird sign 

 「あー、あれね!」となるもんでしょうか?国試知識なのかなあ?hummingbirdはアマツバメ目ハチドリ科の鳥類の総称です。基本的には南米に多く分布し、「ブーン」というハチと同様の羽音を立てるために名付けられています。空中でホバリングして静止しながら、花の蜜を吸ったりしています。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/92/Colibri-thalassinus-001.jpg

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/92/Colibri-thalassinus-001.jpgより引用)

 さて、話がそれましたが”Hummingbird sign”は進行性核上性麻痺(PSP)に特徴的な画像所見を指します。別名ペンギンシルエットサインとも呼ばれるこの特徴的な画像所見は、正中矢状断像における中脳被蓋の萎縮を指し、PSPではこの所見が唯一の画像所見の特徴であることが多いです。

http://images.radiopaedia.org/images/2178449/2e9dd6decd4813972e2f5807a52fef.jpg

http://images.radiopaedia.org/images/2178449/2e9dd6decd4813972e2f5807a52fef.jpgより引用)

 他の画像所見としては、「脚間窩から中脳水道までの距離」であり、正常は10mm以上で、9mm以下を萎縮と診断します。

midbrain(http://遠隔画像診断.jp/archives/6585より引用)

 もちろん、最も重要なのは臨床診断であり、画像所見から入るのは邪道です。臨床的にPSPを疑うパーキンソン症状があり、垂直方向性の眼球運動障害や転倒歴のある患者さんを診た時に、ふと上記の様な画像の特徴を覚えておくと診断により寄与する事が可能です。

 ✓ PSPに特徴的な画像所見は中脳被蓋の萎縮である"hummingbird sign"

 

 

心不全のFILURE FAILURE of chronic heart failure

 心不全患者を診たら必ずその原因(etiology)を考えましょう!とことある事に伝えていますが、今回それを覚えやすくする語呂合わせがあるとのことで、ご紹介したいと思います。その名も”FAILURE”です。まんまやんけ!

:Forgot Meds       薬の飲み忘れ
:Arrhythria and Anemia  不整脈と貧血
:Ischemia and infection  虚血と感染
:Lifestyle         塩分過剰摂取等
:Upregulates        甲状腺機能亢進や妊娠
:Rheumatic       リウマチ性疾患による弁膜症
:Embolism         肺塞栓

 なかなか覚えやすいっすね。etiologyの記載は重要で、糖尿病でも高血圧でも脳梗塞でもしばしば記載が無い事が多いです。記載しないとそのうち考えなくなります。

 ✓ 心不全のetiologyの語呂は"FAILURE"

 

 

血管免疫芽球型リンパ腫 AngioImmunoblastic T cell lymphoma(AITL)

 思い返せば初めて担当した悪性リンパ腫の患者さんがこの病気でした。ざっくり臨床的特徴を羅列すれば、発熱・リンパ節腫大・皮疹・免疫グロブリン異常となりますが、診断は結構難渋することもあります。
 
 末梢性T細胞性リンパ腫(PTCL)に位置づけられ、非ホジキンリンパ腫の約1-2%、PTCLの約20%を占めると言われています。アジアよりはヨーロッパで頻度が多いと報告されていますが、最初に提唱したのは1979年本邦の下山先生です。

 Uptodateで症状を見てみると、

①全身性リンパ節腫脹 76-95%
②肝腫大 50-70%
③脾腫 70%
④B症状(発熱・寝汗・体重減少) 70-85%
⑤皮疹 20-60%
⑥多関節炎 20%
⑦腹水・胸水 20-35%
⑧貧血関連症状 20-50%

 特に皮疹は、掻痒感を伴い、生検ではリンパ球浸潤を伴う血管炎の病理所見を呈するんだそうです。骨髄病変も30-60%に認めるのだとか。

 採血結果の異常も比較的よく見る所見としては、LDH上昇、ESR高値、多クローン性高ガンマグロブリン血症、Coombs試験陽性、β2ミクログロブリン高値、リンパ球減少、貧血、血小板減少、好酸球増多、低アルブミン血症。全身性血管炎様の症状を呈することも特徴で、貧血・血管炎・多関節炎・リウマチ性関節炎・甲状腺疾患と間違われる。寒冷凝集素やクリオグロブリンも認めることがある。

 ✓ 血管免疫芽球型リンパ腫の特徴を覚えておこう