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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:BMJクリスマス大特集① クリスマス精神の局在部位/医学部各科の教授における女性の数と口ヒゲ男の数の比較/脳型ケーキの作り方/血も凍るような映画で本当に血は固まるか?/AVERT研究での予期せぬ出産ラッシュ

BMJ

クリスマス精神の局在部位 
Evidence of a Christmas spirit network in the brain:functional MRI study*1

 デンマークコペンハーゲン大学の先生達から。クリスマスについて考えると脳のどの部位が活性化するかをfunctional MRIを用いて評価するぜというのが今回の主眼です。
論文のPICOは、

P:コペンハーゲン在住の健常ボランティア20人
(クリスマスを祝う習慣がある10人と祝う習慣がない10人)
I:クリスマスにちなんだ画像を見せる
C:クリスマスに関係ない画像を見せる

f:id:tyabu7973:20151228000357j:plain

(本文より引用)
O:functional MRI評価による脳の活性化部位
T:単盲検比較研究
結果:
 クリスマスを祝う習慣がある人は、感覚運動野、運動前野、一次運動野、頭頂葉に血流亢進がより多く認められた。これらの領域は、スピリチュアル、体性感覚、表情の感情を認識するといった機能を持つ部分だった。

f:id:tyabu7973:20151228000426j:plain
(本文より引用)

  過去にこういった機能をみる研究は無かったそうです・・・って当たり前ですよね。今後はその人の”クリスマス反応”に影響を与える因子を明らかにすることなのだとか。


✓ クリスマスを祝う習慣のある人で活性化される脳は感覚運動野、運動前野、一次運動野、頭頂葉

 

医学部各科の教授における女性の数と口ヒゲ男の数の比較 
Plenty of moustaches but not enough women: cross sectional study of medical leaderes*2

 徐々に女性が医学部に増えてきており、米国でも1960年代は9%しかいなかった女子医大生が、現在は50%になっているとのこと。ただ、まだまだ教育機関には少ないのが現状。この方々はまだまだレアな女性教授が増えて欲しいとの思いから、現状同じくレアとされている口ヒゲ教授と人数を比較して現状を確認したいとの思いから今回の横断研究を行っております。
 論文のPECOは、

P:NIHと関連のある50のアメリカ医学部の教授1018人
O:女性、口ひげの有無
T:横断研究
結果:
 まず口ひげの定義として、上口唇の上に存在する毛と定義され、他のヒゲとの組み合わせもOK。どんなに毛が多くても上口唇の上に無ければNG。
 ヒゲのtypeによって、Dali型・Sparrow型・Super Mario型などに分かれる

f:id:tyabu7973:20151228000701j:plain(本文より引用)

 50の医学部各科のボスのうち、13%(137/1018人)が女性。口ヒゲボスは19%(190/1018人)で、口ヒゲの方が多かった。口ヒゲ指数も算出されており、総口ヒゲ指数は0.72(0.58-0.90)で口ヒゲはまだまだ多かった。 

  まだまだ女性教授は口ヒゲ教授よりもレアであることが判明しました。もちろん、女性で口ヒゲはいませんでした。ちなみに、女性/口ヒゲ指数が高く、女性ボスが多かったのは一般外科・形成外科・産婦人科・皮膚科・家庭医療科・小児科だったんだそうで・・・・口ヒゲ減らせ、女性増やせとのメッセージでした。 

✓ アメリカの医学部の教授はまだ口ヒゲの方が女性より多い


 

脳型ケーキの作り方 
Hominid spongyform encephalophagy*3

 いやあこれは大真面目ですかねえ。3分クッキングよろしく、きちんと作り方が載っていました。まあ、これは生理的に無理な人もいるでしょうねえ。個人的にはギリギリのところか。しゃれの分かる誰かと一緒なら可。WSでも開催してみんなで作るのもありでしょうか・・・まずは材料から。

f:id:tyabu7973:20151228001001j:plain

 ステップとして、

①スポンジ作成
②着色・糖衣
③脳質を作成

④大脳半球
基底核
⑥小脳部分
⑦脳回
⑧手間のかかる細部
⑨入刀

f:id:tyabu7973:20151228001025j:plain
(本文より引用)

 最後のケーキ入刀は冠状断・矢状断お好きにどうぞとのことです・・・興味ある人は是非本文を。そして作成するときには呼んでください。一緒に是非。

✓ 脳型ケーキの作り方のレシピはこちら



血も凍るような映画で本当に血は固まるか? 
Bloodcurdling movies and measures of coagulation: fear factor crossover trial*4

 のっけから、急におそってくる恐怖が血液を凝固させるかもしれないため、その真偽について調べてみたとのコメントから始まります。んなわけねーだろ〜〜と。行われたのはクロスオーバー試験。
 論文のPICOは、

P:オランダのライデン大学の臨床疫学大会議室で、ライデン大学医療センターの30歳以下の健常なボランティア24人(医学生・卒業生・職員)
I:ホラー映画を見て、その後教育的な映画を見る
C:教育的な映画を見て、その後ホラー映画を見る
※ホラー映画は2010年公開のインシディアス、教育的な映画は2014年のシャンパーニュの一年」とし、それぞれ90分だった。2回目の映画は1週間あけて。

O:
 プライマリ:凝固系の採血(第Ⅷ因子、d-dimer、TAT、PT)
 セカンダリ:VASで恐怖の程度
T:クロスオーバー試験
結果:
 全員が試験を完遂。
 セカンダリのVASでは、ホラー映画の方が教育的映画より恐怖VASが高かった
 映画の前後において第Ⅷ因子の差が、ホラー映画の方が有意に高かった。平均差 11.1IU/dL(1.2-21.0)、TAT・d-dimer・PTでは有意差なし

  なんか有意差出てますけど・・・limitationとしてサンプルサイズ足りないって言ってます、この人達。ランダム化もしたいとか・・・次はあなたの病院にオファーが行くかもしれません・・・ 

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 ✓ ホラー映画を見ると見終わった後に第Ⅷ因子が増加する。これは教育的映画には見られなかった効果・・・



AVERT研究での予期せぬ出産ラッシュ 
AVERT2(a very early rehabilitation trial, a very effective reproductive trigger): retrospective observational analysis of the number of babies born to trial staff*5

 まずAVERTのタイトルの引っかかりがきれいですね。(そこじゃない?)AVERT研究は本ブログでも取り上げましたが、2015年に発表された脳卒中患者への超早期リハビリの効果を検証したstudyで、超早期リハビリの方が予後が悪かったという結構衝撃的な研究でしたね。

tyabu7973.hatenablog.com

 で、このAVERT研究中に、その試験スタッフに1人の赤ちゃんが生まれることによって試験参加者がどの程度増えるかを検証したのが今回の研究です。a very effective reproductive trigger(AVERT)。うーん、きれいにかかってます。
 論文のPECOは、

P:8カ国、56の脳卒中専門病院、被験者は理学療法士 284人・看護師 629人・その他 50人
E/C:スタッフに生まれた赤ちゃんの数
O:試験登録者の人数
T:後ろ向き観察研究
結果:
 AVERT研究には2104人の患者が登録された
 1074人の試験スタッフのうち120人に試験期間中に赤ちゃんが生まれている
 プライマリアウトカムは、17.5人(14.7-21.0)で、1人赤ちゃんが生まれる毎に17.5人の試験登録があったことになる

f:id:tyabu7973:20151228001835j:plain(本文より引用)

 6つの施設では、赤ちゃん出生に伴い、試験登録ができず、AVERT試験への登録が不可能になってしまっていた

  ということで、AVERT試験は子供の出生数的にもAVERT試験だったということで。それにしてもきれいな相関関係ですねえ(笑)。 

✓ 脳卒中リハのAVERT研究中に、試験スタッフは実にたくさんの赤ちゃんを生んでいた