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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:気管支炎と肺炎/ASPECTS法/黄疸時の造影CT

カンファ 感染症 呼吸器 放射線 神経 消化器

新年最初の今週のカンファ!
今年もニッチなネタ満載でいこうと思います。宜しくお願いいたします。

気管支炎と肺炎 Bronchitis and pneumonia

 この鑑別は結構永遠のテーマ的ですね。今回この2つをもう一度考えてみようと思います。両者を鑑別することの意味は色々あると思いますが、現場的には、”抗菌薬を必要とするか否か”という1点につきると思います。もちろん、昨今はウイルス性肺炎が意外と多いという知見が出てきていることで、この議論の複雑性が更に増していると思いますが。

 ”発熱”は実は気管支炎ではあまり見られない症状です。2006年のNEJMのレビューでも、「cough in the absence of fever, tachycardia, and tachypnea suggests bronchitis, rather than pneumonia.」という記載があり、「発熱のない咳」に注目です。ただし、高齢者では、肺炎でも発熱の無い咳になるため要注意。また、全身症状が乏しいのも気管支炎の特徴になります。咳は10-20日以上しつこく続くことが多く、ある観察研究では3/4の症例で14日以内に咳が治まったとしています。膿性痰は、気管支炎患者の50%に見られるため、肺炎との鑑別には使えません。

 もう一つ、しばしばポイントになるのが胸部X線所見です。そもそもX線を取る前提が肺炎との鑑別を目的にしています。これは肺炎のgold standardが胸部X線であるからです。一方で、脱水などがある場合には肺炎でもX線で浸潤影が出ないことが知られており、初期X線で陰性で、2度目のX線で浸潤影が陽性になるような症例は肺炎全体の7%だったというコホート研究もあります。これを元にIDSA2007のガイドラインでは、X線陰性の肺炎疑い症例では、24-48時間以内にX線を繰り返すことを推奨しています。

 ✓ 肺炎と気管支炎の鑑別は原則臨床診断。

 

 

ASPECTS法 ASPECTS method

 t-PA適応を考える上で、血栓溶解療法に対する反応性を評価する方法として、ASPECTS法があります。今回恥ずかしながら初めて知ったのでお勉強。ASPECTS法はAlberta Stroke Program Early CT Scoreの略で、CTの冠状断2箇所で評価します。

Image
(Uptodateより)
 1つはレンズ核視床レベル、もう1つが側脳室体部レベルです。これらの領域を上記10箇所に分類し、10点満点からの減点法で評価していきます。ASPECTSはCTでのearly CT signの評価方法ですが、ASPECTS DWIというMRI DWIを評価する方法もあり(こちらは11点満点)、以下のサイトで判読練習することも可能です。

CT & DWI 初期虚血変化読影トレーニング

 ASPECTS法では8点以上が、ASPECTS DWIでは7点以上が血栓溶解療法後の良好な転帰予測に有効だったという報告もあり、tPA投与前にはつけてみても良いかもしれません。また、点数が低いほど血栓溶解療法後の出血リスクが高まるという報告もあります。

 ✓ 血栓溶解療法前の画像での予後予測法にASPECTS法がある

 

 

黄疸時の造影CT Cotraindication of enhanced CT

 以前の研修先で造影CTの禁忌に著明な黄疸というのがありました。そもそも非イオン性ヨード造影剤の添付文章の中には、原則禁忌に「重篤な肝障害のある患者」とあります。色々見てみると、Child-Pugh分類やBil値が指標として用いられている模様です。ただ、この原則禁忌には、「一般状態の極度に悪い患者」とか「多発性骨髄腫の患者」とか記載があり、結局メリットとデメリットを天秤にかけて考えると言うことでしょ?と思ってしまいます。

 そもそもヨード系造影剤による肝障害の出現頻度は非常に低いこと、悪性腫瘍による閉塞性黄疸や肝硬変患者の評価など、肝機能が悪かったり黄疸があったりする患者さんでの造影剤使用画像検査が診断・治療に必須なことを考えると、黄疸そのものを造影CTの禁忌にあげるのはナンセンスというところでしょう。

 ✓ 黄疸は造影CTの禁忌にはならない