栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics COPD患者でビランテロール/ウメクリジニウム合剤吸入はウメクリジニウム単剤より健康状態を改善する

ACPJCで新規の吸入薬についてのエビデンスが掲載されておりました。

f:id:tyabu7973:20160110215549j:plain

A systematic review of the efficacy and safety of a fixed-dose combination of umeclidinium and vilanterol for the treatment of COPD.  

Rodrigo GJ, Neffen H.

Chest. 2015;148:397-407.

臨床上の疑問:
 COPD患者におけるビランテロール/ウメクリジニウム合剤(エリプタⓇ)が、ウメクリジニウム単剤・チオトロピウム・サルメテロール /フルチカゾン合剤と比較して効果・安全性はどうか?


Review範囲:
 40歳以上の成人で、安定した中等度から重度のCOPDに対する、ビランテロール/ウメクリジニウム合剤とウメクリジニウム単剤・ビランテロール単剤・チオトロピウム・サルメテロール/フルチカゾン
合剤を比較し臨床アウトカムを評価した研究が組み入れられた。
 アウトカムは、健康状態(St.George's Respiratory Questionarieスコア:臨床的に有意な差を4点以上と設定)、増悪、呼吸困難感(Transition Dyspnea indexスコア:臨床的に有意な差を1点以上)、肺機能(FEV 1.0のトラフ)、重篤な有害事象、重篤な心合併症。

Review方法:
 MEDLINE・EMBASE/Excerpta Medica・CINAHL・SCOPUS・Cochrane Central Register of Controlled trial(2015年2月)・gsk-clinicalstudyregister.com・clinicaltrials.govがreviewされ、publishedもunpublishedも含めて4週間以上を評価したRCTを検索した。
 結果、11RCT(n=9609人・平均62歳・68%男性)が組み入れ基準を満たした。全ての研究がGSKのものだった。

結果:
 メインの結果は以下。ビランテロール/ウメクリジニウム合剤は、重度な有害事象ビランテロール単剤よりも減らした(RR 0.68:0.50-0.92)が、ウメクリジニウム単剤・チオトロピウム・サルメテロール/フルチカゾン合剤とは変わらなかった。心臓関連有害事象有意差なし。

f:id:tyabu7973:20160110215558j:plain

(本文より引用)
健康状態は、ビランテロール/ウメクリジニウム合剤はウメクリジニウム単剤よりよく、1回以上の増悪は合剤がよく、呼吸困難感の減少も合剤良好。チオトロピウムとは変化なし。

結論:
 COPD患者におけるビランテロール/ウメクリジニウム合剤(エリプタⓇ)が、ウメクリジニウム単剤・チオトロピウム・サルメテロール /フルチカゾン合剤と比較して健康状態を改善し、増悪はウメクリジニウム単剤、ビランテロール単剤よりも少ない。

  近年注目されているLAMA/LABAの効果を検証したシステマティックレビューです。現在日本で使用可能なLAMA/LABA製剤は、ウルティブロⓇと今回のエリプタⓇ、スピオルトⓇの3種類があります。ちなみにウメクリジニウム単剤はエンクラッセⓇという製剤があります。
 今回は残念ながら既存のメジャーどころの吸入薬との差は十分証明されませんでした。今後ネットワークメタ解析などが必要では?とのこと。どちらにしても、吸入薬は新規発売されすぎてわけ分かりません。

呼吸器の薬の考え方,使い方

呼吸器の薬の考え方,使い方