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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:Aeromonas hydrophila肺炎/ペースメーカーリード感染/リウマトイド血管炎

今週のカンファねた。
毎回みなさんの議論や出てくる症例から学ばせてもらっています。。

Aeromonas hydrophila肺炎 Aeromonas hydrophila

 Aeromonass hydrophilaは日常診療では時折検出される菌ですが、本菌の感染症でよく知られているのは感染性腸炎です。水様性下痢や腹痛を主症状とし、淡水に常在するため魚介類摂食後の消化器感染症が最も多いこと、小児や高齢者に多いことが特徴です。この場合、多くは軽症で2-3日で症状が治まってしまいます。

 一方、一般的には病原性は弱いものの、免疫機能低下患者では重篤な腸管外感染症を起こすことは知られており、軟部組織感染症・髄膜炎・敗血症・時折劇症型の肺炎を来す事も知られています。呼吸器感染症の場合は、溺水による7例報告(Intern Med. 2000; 39: 1128-30.)もあり、河川水誤飲はリスクになることが報告されています。重症化リスクとしては、肝硬変・悪性腫瘍・糖尿病・透析・高齢者などがあります。

 ポイントは、ペニシリン系や第1〜2世代セフェムは耐性であり、抗菌薬選択に注意が必要というあたりでしょうか。耐性は菌によって異なり、カルバペネムが耐性になることもしばしばある様です。

 ✓ 河川水誤飲後の呼吸器感染症ではAeromonas hydrophilaも鑑別に

 

 

ペースメーカーリード感染 leads for pacemaker infection

 前も取り上げたことがありますが、なかなかつらい状況です。今回少し調べてみるとデバイス感染には主に2つの分類があり、
①Pocket感染:感染が皮下のポケットとデバイス、リードの皮下トンネル部分に及んでいる場合。
②深部感染:感染がリードの血管内部分にまで及んでおり、菌血症や血管内感染を合併している場合。
 となります。多くの場合、問題になるのは、②の深部感染です。感染の起因微生物として黄色ブドウ球菌とCNS(表皮ブドウ球菌含む)でポケット感染の65-75%、深部感染の89%を占めます。特に植え込みから2週間以内の短期の場合には黄色ブドウ球菌の可能性が高くなります。それ以外の起因菌では、レンサ球菌・Corynebacterium spp、Propionibacteriumu acnes、グラム陰性桿菌、Candidaなどの報告があります。

 原則としては、抗菌薬投与・デバイス抜去・適切な時期の再留置という流れですが、なかなか理想通りにいかない部分も多いです。特にデバイス抜去は、デバイス抜去せず抗菌薬のみでは死亡率が上がるという報告が複数ある一方で、デバイス抜去のハードルは高いことも多いです。抜去に関連する因子として、
①どの部位の感染か
②起因菌が何か(黄色ブドウ球菌はハイリスク)
③抜去後の不整脈のコントロール方法
④留置後の期間(1-2年以上経過している場合には抜去は困難になる、一方長時間経過していれば感染しにくい)
⑤患者の予後
などがあり、これらを考慮して検討する必要があります。

 
 調べていると、ICDやペースメーカー留置中患者のフォーカス不明の菌血症というentityがあり、まさにこれが悩ましいところだなと感じる次第。このレベルで抜去を提案するのはかなり度胸がいります・・・

 ✓ ペースメーカーリード感染のジレンマ

 

 

リウマトイド血管炎 Rheumatoid vasculitis

 関節リウマチの合併症にリウマチ性血管炎があり、関節リウマチの血管合併症として知られています。特にリウマチ結節の形成に関連すると言われ、リウマチ結節形成の歳には、小血管の血管炎がフィブリン壊死を引き起こすことが原因と言われています。

 日本では、血管炎を含めた関節外の内臓病変を合併した関節リウマチを、悪性関節リウマチと呼んでいますが、世界的にはリウマトイド血管炎が一般的な呼び名かもしれません。

 難病指定されており、1988年の厚生省難治性血管炎調査班の診断基準によると、

A.臨床症状・検査所見
 1.多発性神経炎
 2.皮膚潰瘍または梗塞または指趾壊疽
 3.皮下結節
 4.上強膜炎または虹彩
 5.滲出性胸膜炎または心膜炎
 6.心筋炎
 7.間質性肺炎または肺線維症
 8.臓器梗塞(腸管、心筋、肺など)
 9.RF高値(定量で960IU/ml以上)
 10.血清低補体価または免疫複合体陽性

B.組織所見
 皮膚・筋・神経・その他の臓器生検により、小ないし中動脈に組織性血管炎・肉芽腫性血管炎ないし閉塞性内膜炎を認めること

  というのが診断基準になります。RAの基準を満たし、A項目3つ以上またはA項目1つ以上+B項目があれば診断となります。
 
 注意すべき症状としては、下肢の皮膚潰瘍・指趾梗塞・触知可能な紫斑・新規発症の運動/感覚障害・眼球充血(特に眼痛あり)・心内膜炎などが言われています。もちろん、他の血管炎を疑う疾患は鑑別が必要であり、特に他の膠原病とRAがoverlapする場合には診断が非常に難しいです。 

関節リウマチの診かた,考えかた

関節リウマチの診かた,考えかた

 

 

 ✓ 関節リウマチの関節外症状に注意してリウマトイド血管炎を見逃さないように