栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

NEJM Knowledge+:79歳女性 高齢者の2型糖尿病管理

NEJMのKnowledge+です。
こういった次のアクションを問う問題良いですね。

症例:79歳女性 高齢者の2型糖尿病管理

 79歳女性で高血圧と2型糖尿病に長期罹患している患者。最近の血糖コントロールはHbA1c 7.6%で、18ヶ月前に 前壁の心筋梗塞に罹患している。

 ここ数年、彼女の血糖コントロールはHbA1c 6.4-6.9%前後で推移しており、治療薬はメトホルミン 1000mg/分2、インスリングラルギン 28単位眠前投与だった。6ヶ月ほど前から、無症候性の低血糖エピソードを繰り返すようになり、インスリン量が28単位から18単位に減量したところ、低血糖エピソードが減少した。最近3ヶ月は、空腹時血糖が92-130mg/dLで昼食や夕食前は115-145mg/dL前後である。

 彼女には糖尿病性神経障害を疑う症状は無い。安定した軽度の非増殖期の糖尿病性網膜症が数年前から指摘。血清Cr値は0.8mg/dLで尿中アルブミン/Cr比は検出感度以下だった。


質問. この症例の2型糖尿病の管理で次に行うべきことは以下のどれか?

  1.   食前インスリンの導入
  2.   現行治療を続行
  3.   ピオグリタゾン追加
  4.   朝にインスリングラルギンを追加
  5.   インスリングラルギンを増量し、朝の血糖を110mg/dL以下にコントロールする

 

Key Learning Point

After initiation of a continuous intravenous insulin infusion in a patient who is in a hyperosmolar hyperglycemic state, the serum sodium level is expected to increase. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
高 血糖高浸透圧状態にある患者において持続静脈内インスリン注入の開始後、血清ナトリウムレベルが増加すると予想される。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
患 者に害を引き起こす医原医療ミスを伝えるための適切な方法は、エラーのオープンで正直なアカウントを提供し、患者に正式に謝罪することです。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1015/answer/B/#sthash.vBmBG3vd.dpuf
慢 性閉塞性肺疾患の増悪と高炭酸ガス呼吸不全や肺炎の証拠で入院した患者は、気管支拡張薬治療、全身グルココルチコイド、およびフルオロキノロンまたはマク ロライド系抗生物質で治療すべきである。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/235/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=5867c46d2a7fbaecc6edeccb8b5f2d7372c2badebfd1c8e5638e924cb4d6a052#sthash.X4dusLJi.dpuf
The gradual development of arm weakness and Horner’s syndrome in an older former smoker is most indicative of a diagnosis of an apical bronchogenic cancer known as a Pancoast’s tumor. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/932/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=8b697793f3c2f6a9d68dcdc1826ffea87b269461ef7de16dbcbb80275770fc7a#sthash.YmYXCOj2.dpuf

 高齢者で低血糖既往のある2型糖尿病患者でのHbA1c管理目標値は、8.0%前後でも良いだろう。

回答 2.  現行治療を継続

解説:

 アメリカ糖尿病学会(ADA)は、2型糖尿病患者で微小血管合併症を減らすために、HbA1c<7%を維持するように推奨している。もし糖尿病診断後すぐにこれらの目標値が達成されていれば、長期間の微小血管病変のリスクを減らすことに繋がり、場合によっては大血管病変も減らすかもしれない。

 2012年にADAとEASD(ヨーロッパ糖尿病学会)は、低血糖既往、余命が短い、合併症が進行期、併存疾患が多い、集中的な治療でも血糖コントロールが難しい、コントロールのために複数回インスリン使用が必要などの場合では血糖コントロール目標を7.5-8.0%と高い目標に設定するのが適切であると提案した。

 複数のRCT(ACCORD、ADVANCE、VADT)では、高齢者で長期罹患歴のある2型糖尿病患者における厳格な血糖管理目標は、大血管イベントを減らさなかった。アメリカ老年医学会は、多くの高齢者には厳格ではなく中等度の血糖管理を推奨している。血糖管理目標は、平均寿命・健康状態・患者個人の目標を反映すべきである。

 本患者のような、長期間罹病歴のある2型糖尿病で、無症候性の低血糖を繰り返す場合には、血糖管理目標を7.0-8.0%にするなどのより緩いHbA1c目標値を設定する必要がある。とりわけ、低血糖を誘発すること無く目標達成することが望ましい。

Citations

  • Inzucchi SE et al. Management of hyperglycemia in type 2 diabetes: a patient-centered approach: position statement of the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD). Diabetes Care 2012 06; 35:1364. 
  • American Diabetes Association. Standards of medical care in diabetes—2016. Diabetes Care 2016; 39(Suppl. 1):S1.
  • Choosing Wisely. American Geriatric Society—Medication to control type-2 diabetes. Apr 2015. 

 この辺りはだいぶ普通の診療内容ですが、まだまだ実地医家の先生には十分伝わっていない気がします。それから、長年見ている方ではどこでギアチェンジをするかは結構悩ましい問題かもしれません。

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