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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:Carnett徴候/腹壁痛の鑑別/後壁心筋梗塞とR波

今週のカンファまとめておきます!

Carnett sign Carnett's sign

 Carnett徴候は腹壁由来の疼痛を検出するのに有効な身体所見です。一応ご存じの方も多いとは思いますが、一応まとめておきます。
【方法】
①仰臥位で両腕を胸にクロスさせる。
②一番強い圧痛部位に診察者の手を置いたまま、頭部がベッドからわずかに浮く程度に挙上させて、腹部の筋肉を緊張させる

http://img.medscape.com/article/814/161/814161-fig2.jpg

http://img.medscape.com/article/814/161/814161-fig2.jpgより引用)

【判定基準】
圧痛減弱 → 陰性:腹腔内臓器由来の疼痛を示唆
圧痛不変 → 陽性:腹壁由来の疼痛を示唆
圧痛増強 → 強陽性:腹壁由来の疼痛を示唆


 上記以外に変法として、両脚を上げてもらう方法があり、こちらは下腹部や骨盤部痛の時に利用したりするのだそうです。また、圧迫しない状態でも、頭部・両肩挙上のみで腹痛が増悪すれば陽性(腹壁由来)と考えて良いとも言われています。
 

 ✓ Carnett徴候を臨床で利用できるようにしましょう

 

 

腹壁痛の鑑別 Etiology of Abdominal wall Pain

 上記と絡みますが、腹壁痛の鑑別って何があるんだろう?って疑問に応えてみます。腹壁に存在する臓器が鑑別点なので、神経・筋肉・皮膚が主な原因になります。以下はAAFPのreviewからAm Fam Physician. 2001 Aug 1;64(3):431-8.)

・腹壁ヘルニア:臥位だと診察が難しい
・腹直筋神経の絞扼:腹直筋鞘の側縁に生じる
・胸部外側前皮神経の絞扼(ACNES):術後や妊娠中に起こりやすい
・腸骨鼡径神経と腸骨下腹神経の絞扼:鼠径ヘルニア修復後部位に起こる疼痛
子宮内膜症周期的な腹痛
・糖尿病性神経症:急性/重症のTh6-12領域の体幹部痛
・腹直筋裂傷:スポーツ選手に多い
・腹直筋血腫:腹腔鏡手術の合併症としても起こる
・腹直筋鞘血腫:片側性で正中を超えない有痛性腫脹
・デスモイド腫瘍:膠原繊維や線維芽細胞由来の腹壁深部に出来る腫瘍。比較的若年に多い。
帯状疱疹疼痛やアロディニアがデルマトームに沿って起こる
・脊髄神経刺激:胸腔脊髄由来(腫瘍など)
・肋骨すべり症候群:肋骨と胸骨をつなぐ靱帯が弱まり、第8-10肋骨がすべり出す
・特発性:筋膜性疼痛

ちなみに今回の疾患は上記にはありません(笑)

 ✓ 腹壁痛の鑑別は多彩

 

 

後壁心筋梗塞とR波 R wave and posterior MI

 V1でR波が高かったら?という問いですね。この辺りは、心電図がどこの電気信号を捉えていてという部分と大きく関係するのですが、通常の12誘導心電図で捉えられる電気信号は主に前壁の情報が多くて、後壁や下壁の情報は少ないんだという認識が必要です。 

 もちろん、まずは症状が重要なのですが、症状がある患者さんで以下の様な心電図だったら皆さんはどうアクションするでしょうか?

f:id:tyabu7973:20160124181555j:plain

http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~inter2/web/quiz_answer.htmlより引用)

 まあ、症状からNSTEMIですね・・・ってアプローチかもしれませんが。この心電図の異常はV1のR波増高です。R/S比で比較すると良いかもしれません。この場合後壁梗塞の除外が重要になりますが、V1だけでなくV1-3を見てみましょうとのことです。

 一方でV2-3でR波が増高しない場合は、poor R progressionでこちらはこちらで前壁中隔梗塞の所見ですよね。こちらは有名。意外とR波で分かることって結構あるよね〜。という話題でした。

 ✓ V1のR波に注目してみましょう