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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:Prospective cohort 卵アレルギー患者に対するインフルエンザ生ワクチン

BMJ 論文 ワクチン アレルギー

卵アレルギー患者に対するインフルエンザ生ワクチン
Safety of live attenuated influenza vaccine in young people with egg allergy: multicentre prospective cohort study

BMJ 2015;351:h6291

【研究の疑問 Study question】
 卵アレルギーを持つ若年患者に、卵蛋白が含まれている弱毒化インフルエンザ生ワクチンは安全か?

【方法 Method】
 オープンラベルのPhaseⅣ介入研究で、779人の若年者(2-18歳)の卵アレルギー患者がイギリス30施設のアレルギーセンターで募集され、弱毒化インフルエンザ生ワクチンを接種された。この集団は、過去に卵によるアナフィラキシー経験者が270人(34.7%)、呼吸・循環症状経験者が157人(20.1%)、医師の診断による喘息や再発性の喘鳴が445人(57.1%)だった。患者は少なくともワクチン接種後30分は経過観察され、72時間後に電話でフォローアップされた。再発性の喘鳴や喘息既往の患者では、更に4週間後までフォローアップされた。
 メインアウトカムは、ワクチン接種後2時間以内の有害事象発症とした。

【結果と限界 Study answer and limitations】
 全身性のアレルギー反応は起こらなかった。95%信頼区間の上限も通常患者で0.47%、アナフィラキシー経験者で1.2%。9人の患者(1.2%:0.5-2.2%)が軽度の症状を経験したが、IgE媒介の局所アレルギー反応と考えられた。ワクチン関連の遅発性のイベントは、221人で報告された。62人(8.1%:6.3-10.3%)が72時間以内に下気道症状を、29人が喘鳴を訴えた。入院した患者はなし。
 接種4週間後に下気道症状を訴える患者はいなかった(Asthma control test)を使用。今回の研究集団は、二次・三次のアレルギー専門施設の重症アレルギー患者が組み入れられている。

f:id:tyabu7973:20160124170930j:plain
(本文より引用)

【今研究で新たに分かること What this study adds】
 弱毒化インフルエンザ生ワクチンは、若年の卵アレルギー患者に対して全身性のアレルギー反応を起こすリスクは低い。コントロールの良い喘息や繰り返す喘鳴の患者でも十分許容されるものである。

 

【批判的吟味】

・まず論文のPICOですが、
P:卵アレルギーのある若年者
I/C:弱毒化生ワクチン接種
O:ワクチン接種後2時間以内の有害事象
T:前向き観察研究/多施設共同
・平均5.3歳、男性 65%、全例卵除去食を食べているような筋金入りの卵アレルギー患者
・上記abstractにはあまりプライマリアウトカムについての記載が無いのですが、2時間以内の有害事象としては、17人の有害事象があり、6人がIgE介在と思われるアレルギー反応(International Consensus Criteriaに基づく)、2人が皮膚症状(蕁麻疹・血管炎)を来していました。
・本文中のまとめも、72時間のものを提示したりしていて、プライマリアウトカムがあまり重視されておらず、だったらそちらをプライマリにしたら良いのにとか思いました。

【個人的な意見】
 日本では不活化インフルエンザワクチンですから直接的に使えるデータですが、そもそも不活化は卵アレルギーのある患者に安全に使用できるというコンセンサスはあるようですので、更に一歩進んだという感じでしょうか。 

 

✓ 弱毒化インフルエンザ生ワクチンは卵アレルギー患者に安全に使用可能である