栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 変形性膝関節症患者では、人工膝関節置換が12ヶ月後の疼痛と機能を改善する

ACPJCでは以前もNEJMで取り上げたTKRの論文が出ていました。 

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A randomized, controlled trial of total knee replacement.

Skou ST, Roos EM, Laursen MB, et al. 

N Engl J Med. 2015;373:1597-1606.


臨床上の疑問:
 変形性膝関節症患者において、人工膝関節置換術(TKR)を12週後の非外科的治療に追加することは、非外科的治療単独と比較して疼痛や機能を改善するか?


方法:
①デザイン:ランダム化比較試験。
②割り付け:隠蔽されている。
③盲検:盲検化されている(アウトカム評価者・統計学者も)
④フォロー期間:
12ヶ月
⑤セッティング:
デンマークのAalbarg大学病院の2箇所の整形外科クリニック
⑥患者:100人の患者(平均66歳、62%が女性、平均BMI 32)で、レントゲン上膝関節OAと診断された患者が組み入れられた。除外基準は、過去にTKR既往がある、膝の痛みがVAS 60/100以上など。
⑦介入:12週間の非外科的治療後にTKRを行うTKR群が50人、非外科的治療群も50人だった。非外科的治療は、12週間の指導された運動プログラム、2回の膝OAについての教育セッション、治療やセルフケアの戦略、BMI≧25の患者には減量プログラムを提供し、更に足底板や鎮痛薬使用(アセトアミノフェンイブプロフェン・パントプラゾールを必要時)。
⑧アウトカム:プライマリアウトカムは、4 Knee Injury and Osteoarthritis Outocome Score(KOOS4)の変化平均値で、このスコアには、疼痛・症状・ADL・QOLが含まれており、0-100までratingされていた。セカンダリは、KOOSスコアのそれぞれのサブカテゴリーの結果や副作用に設定した。
⑨患者フォローアップ:95%フォローアップ、ITT解析

結果:
 非外科手術単独群のうち13人(26%)が12ヶ月時点でTKRを受けていた。プライマリアウトカムは下記。副作用はTKR群で有意に多かった。

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(本文より引用)

結論:
 変形性膝関節症患者において、人工膝関節置換術(TKR)を12週後の非外科的治療に追加することは、非外科的治療単独と比較して疼痛や機能・ADL・QOLのスコアを有意に改善するが、副作用は増える

  今回の症例の平均疼痛VASは>60mmであり、それなりに痛みがある症例と言えますね。今回の結果で痛みも含めたQOL有意に改善することが分かったこともあり、この結果をShared desicion makingとして用いましょうとコメントされています。

 特に手術合併症がそれなりにあることを考えると、どのような方々に手術を勧めるかは悩ましいところです。特に術前の重症度は手術アウトカムに影響するとも言われ、リスクの高い患者の見つけ方が重要になってきます。