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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:HAS-BLEDを下げる努力/この認知症の方は終末期なのか?/黄色爪症候群

今週のカンファ。木曜は地域のデスカンファの司会だったので早引き。
ちなみに学生さん曰くもっと大人数のカンファを想像していた模様です。すいません、だいぶこぢんまりで・・・(笑)

HAS-BLEDを下げる努力 Effort for HAS-BLED score

 HAS-BLEDスコアは知らずとしれた心房細動抗凝固療法中の出血見積もりスコアです。ちなみに、実はこれ以外にも様々なスコアがあることは、先日のACPJCの記事でも取り上げました。

tyabu7973.hatenablog.com


 さて、CHADS2スコアとHAS-BLEDスコアを天秤にかけて、抗凝固薬を導入するかどうかのリスク・ベネフィットを提示して、患者さんとShared desicion makingを行うわけですが、HAS-BLEDが高いからといって、安易に抗凝固を中止したり導入を差し控えたりしても良いものでしょうか?
 HAS-BLEDスコアの中身を見てみると

H:Hypertension 高血圧(収縮期 160mmHg以上)
A:Abnormal renal/liver function 腎機能異常・肝機能異常
S:Stroke 脳卒中既往
B:Beeding 出血または出血既往
L:Labile INRs INRコントロール不良
E:Elderly 年齢(>65歳)
D:Drugs/Alcohol 抗血小板薬やNSAIDs使用、アルコール依存

 の7項目です。機械的にこれをチェックするのではなく、この中で修正できる因子は修正して、できる限り抗凝固を導入できるようにしましょうというのがポイントです。例えば、修正可能な因子としては、H:高血圧、D:薬剤・アルコールです。これらは、血圧をコントロールして併用薬を見直したり禁酒を促したりすることで、調整可能です。この努力無しにHAS-BLEDを機械的に当てはめないようにしましょうというのがメッセージでしょうか。HAS-BLEdを下げる努力を!

 ✓ HAS-BLEDスコアは機械的に当てはめるのではなく、下げる努力をしましょう!

 

 

この認知症の方は終末期なのか?  Is this dementia patient terminal phase?

 そもそもが”認知症末期”という物言いがあまり好きではありませんが。一般的にアルツハイマー認知症の患者さんの末期かどうかの判断はFAST:Functional Assessment Stage分類が用いられることが多く、特にStage 7-cより進んだ状態を末期と評価することが多い様です。

https://voices.no/index.php/voices/article/viewFile/572/464/2130より引用)
 
7-a:言語機能低下:6語程度に限定
7-b:1日のうちで理解しうる単語は1つのみ

7-c:歩行能力の喪失
7-d:着座能力の喪失
7-e:笑う能力の喪失
7-f:混迷お
よび昏睡の各段階

更に、英国ではGold Standard Frameworkという枠組みで、認知症末期を定義しています。これによると

・介助無しに全く歩けない
・尿失禁と便失禁
・意思疎通ができない
・介助無しに着替えができない
・Barthel Indexが3未満
・ADLが悪化している
・その他の因子が一つ(①6ヶ月で10%以上の体重減少、②腎盂腎炎や尿路感染症)、③血性アルブミン低値<2.5g/dL、④重度の褥瘡、⑤繰り返す発熱、⑥体重減少や経口摂取量の減少、⑦誤嚥性肺炎)

によって特徴付けられます。
 とはいえ、実際に入院中だと難しいのは、この方の治療可逆性やせん妄などによる一時的な状態悪化が隠れていないか?などと悩みは深まります。上記の客観的な指標は重要だと思う反面、みなし看取りに代表されるような安易な”末期のレッテル”はトラブルを生むことも多い気がしますし、説明の際にもそれまでの人生経過を知らないと、簡単には判断できないなと思ったりします。末期であるかは関係性の中で規定されると思ったりします。

 ✓ 認知症の末期であることの認識は客観性とともに関係性も重要

 

 

黄色爪症候群 Yello nail syndrome

 まあ、これは知っている人は知っているのですが、実際に実臨床で出会うか?と言われると稀な疾患ですよね。ま、こんな感じ。

http://img.medscape.com/fullsize/migrated/editorial/clinupdates/2008/8996/williams.fig27.jpg
http://img.medscape.com/fullsize/migrated/editorial/clinupdates/2008/8996/williams.fig27.jpgより引用)
 特徴的な三徴として、
①肺疾患
②リンパ浮腫
③成長の遅い黄色い爪
があります。
 爪は徐々に分厚くあり、不透明になって爪半月が分からなくなってきます。また、爪周囲の組織腫脹と爪甲剥離症が合併することも多いのだとか。弧発例が多いものの、稀に遺伝症例も報告されています。肺疾患として有名なのは、胸水貯留・気管支拡張症・慢性副鼻腔炎などです。

 ✓ 黄色い爪を見たら、肺疾患の合併がないかを考えよう