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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:心房中隔一次孔欠損の診断/BCG癌治療中の肺結核感染の評価/内視鏡超音波を用いた膵癌診断/蜂窩織炎の診断

MKSAP 循環器 感染症 呼吸器 薬剤 診断 消化器 内視鏡 皮膚
MKSAPまとめ@C先生コーナー。
今週は学生さんもいます〜。。

心房中隔一次孔欠損の診断
Diagnose ostium primum atrial septal defect

❶症例 
 45歳男性。6週間前から悪化傾向の労作時呼吸困難を主訴に来院。5ヶ月前は軽い運動がしにくい程度の呼吸困難だったが、今は階段昇降も困難になっている。心血管賞状はみとめない。
 BP 110/70mmHg、左右差なし。頚静脈圧は上昇し、頸静脈触診では巨大a波を認める。ばち指やチアノーゼはない。胸骨左縁に心尖拍動を認める。S2の固定性分裂を認め、2LSBに吸気で増大する収縮期雑音を認める。心尖部分では呼吸で変動しない汎収縮期雑音を認める。橈骨動脈と大腿動脈で拍動の潜時はない。浮腫なし。
 心電図は下記。胸部レントゲンでは軽度の心拡大と肺動脈近位部の拡大を認める。

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(MKSAPより)

 最も適切な診断はどれか?
A.  大動脈縮窄症
B.  心房中隔一次孔欠損
C.  肺動脈弁狭窄症
D.  心室中隔膜様部欠損

 ❷心房中隔一次孔欠損
 本患者はASDに特徴的な、呼吸困難・心拡大・S2の固定性分裂・僧帽弁閉鎖不全を示唆する右室流出時の雑音を認める。心電図では左軸偏位・一度房室ブロック・心室伝導遅延を認める。S2の固定性分裂・MR雑音・左軸偏位は、僧帽弁裂隙と僧帽弁逆流が多い心房中隔一次孔欠損に特徴的に認められる所見である。

❸その他の選択肢
大動脈縮窄症:大動脈縮窄は2LSBで収縮早期雑音、時に拡張期雑音を認める。血圧は高めになり上下肢で脈拍の遅延が生じる。胸部レントゲンで狭窄前後の大動脈拡張する事による「数字の3サイン」と側副血行路によるrib-notchingを認める。

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(MKSAPより)

肺動脈弁狭窄症:肺動脈弁狭窄症は第2肋間での収縮早期雑音が特徴。S2の肺成分が分裂し、狭窄の重症度によって分裂の程度が強くなる。MR雑音は聴取しない。心電図では右軸偏位と右室肥大を認める。
心室中隔膜様部欠損:心室中隔膜様部欠損では、胸骨左縁で大きな汎収縮期雑音を認めthrillを触れる。S2は正常で肺高血圧の証拠は認めない。心電図、胸部レントゲンでは異常を認めない事もある。

Key Point
✓ 心房中隔一次孔欠損は心電図の左軸偏位とMR雑音が典型的である。

Warnes CA, Williams RG, Bashore TM, et al; American College of Cardiology; American Heart Association Task Force on Practice Guidelines (Writing Committee to Develop Guidelines on the Management of Adults With Congenital Heart Disease); American Society of Echocardiography; Heart Rhythm Society; International Society for Adult Congenital Heart Disease; Society for Cardiovascular Angiography and Interventions; Society of Thoracic Surgeons. ACC/AHA 2008 guidelines for the management of adults with congenital heart disease: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines (Writing Committee to Develop Guidelines on the Management of Adults With Congenital Heart Disease). Developed in collaboration with the American Society of Echocardiography, Heart Rhythm Society, International Society for Adult Congenital Heart Disease, Society for Cardiovascular Angiography and Interventions, and Society of Thoracic Surgeons. J Am Coll Cardiol. 2008;52(23):e143-e263. PMID: 19038677  

 

 

BCG癌治療中の肺結核感染の評価
Evaluate for Mycobacterium tuberculosis infection in a patient who received bacillus Calmette-Guerin cancer therapy

❶症例
 63歳男性が年1回の健康診断で来院。患者は医師で、結核スクリーニングが職務更新の為に必要だった。彼は1年前に膀胱癌と診断されBCG治療を受けた。フォローの膀胱鏡では膀胱癌再発の徴候なく、呼吸器症状や全身症状はなし。
 身体所見では、バイタル正常、心肺診察も含めて身体診察は正常だった。

 本患者で最も適切な対応はどれか?
A.  胸部X線
B.  IGRA(インターフェロンγ遊離アッセイ)
C.  ツベルクリン皮膚テスト
D.  2段階ツベルクリン皮膚テスト

 BCG癌治療中の肺結核感染

  本患者では、BCGによる膀胱癌治療を受けた既往があるため、ツベルクリン反応よりもIGRAが用いられる。IGRAと皮内反応はどちらも結核の診断で使われるが、潜伏期か活動期かの区別は出来ない。ワクチンや癌の治療でBCGを打っておりBCGの解釈が困難な場合はIGRAが好まれる。逆に5歳未満の場合はツベルクリン皮内反応が好まれる。

❸その他の選択肢
胸部X線:IGRAが陽性の場合は随伴する症状や身体所見(発熱・悪寒・夜間の多汗・体重減少・咳)の有無や胸部X線、培養検査で活動性感染が無いかを検索する。活動感染が除外されたら潜伏期結核という判断となる。
2段階ツベルクリン皮膚テスト:
段階ツベルクリン検査は、医師のように連続して検査を受ける場合に今後の検査の為にベースラインを取っておくという意味で行われる。BCG・過去の感染・MACなどに曝露歴があった時に、免疫反応が徐々に弱くなっていくという特性を利用している。初回の検査は免疫反応をブーストし、その後の検査の信頼性を高める。最近BCG治療を行った場合は避けるのが望ましい。

Key Point
✓ 結核スクリーングやBCGワクチン接種者やBCGのがん治療を受けている患者ではツベルクリン反応よりもIGRAが好まれる。

Mazurek GH, Jereb J, Vernon A, et al; IGRA Expert Committee; Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Updated guidelines for using interferon gamma release assays to detect Mycobacterium tuberculosis infection - United States, 2010. MMWR Recomm Rep. 2010;59(RR-5):1-25. PMID: 20577159  

 

 

内視鏡超音波を用いた膵癌診断
Diagnose pancreatic cancer using endoscopic ultrasound

❶症例

 72歳男性。2週間前からの無痛性の黄疸で来院された。掻痒感・食指不振・体重減少(4.5kg以上)がある。内服薬なし。
 身体所見、バイタルは正常。BMI 22、見た目は痩せている。強膜黄疸あり。肝脾腫なし、肝硬変の身体所見なし。胆嚢を触れる。

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(MKSAPより)

 造影CTでは総胆管が拡張し膵頭部で先細っている。膵頭部には腫瘤なし。膵管は拡張。肝臓に腫瘤性病変なし。

 この患者の初期評価で行うべき最も適切なのは以下のどれか?
A.  CA19-9
B.  腹部MRI
C.  内視鏡超音波
D.  膵島十二指腸切除

 ❷微小膵癌
 本患者では、内視鏡超音波を行うべきである。患者はCT所見から膵癌(adenocarcinoma)が疑われる。高齢者で無痛性黄疸、胆道・膵管の途絶と上流の拡張から膵悪性腫瘍が最も疑われる。内視鏡超音波は2cm未満の膵腫瘍を検出する上ではCTより感度が高い。EUS-FNAを行えば病理学的診断も可能。CTもMRIも2cm未満の腫瘍に関しては検出感度では内視鏡超音波に劣る。  

❸その他の選択肢
CA19-9CA19−9は膵臓癌で上昇するが、感度も特異度も低く膵癌の診断にもスクリーニングにも使えない。
腹部MRI膵臓癌の検出感度はCTよりも優れているということはない。
膵島十二指腸切除:診断がついていない時点で膵島十二指腸切除はおこなうべきではない。

Key Point
✓ 内視鏡超音波は膵腫瘍の同定能はCTと同等であり、2cm未満の膵腫瘍を検出する上ではCTより感度が高い。

Gardner TB, Levy MJ, Takahashi N, Smyrk TC, Chari ST. Misdiagnosis of autoimmune pancreatitis: a caution to clinicians. Am J Gastroenterol. 2009;104(7):1620-1623. PMID: 19574965  

 

 

蜂窩織炎の診断
Diagnose cellulitis

❶症例

  35歳男性が、2日前から右下肢の痛み・熱感・発赤・腫脹を主訴に外来を受診された。掻痒感はない。右下肢に足白癬と慢性リンパ浮腫あり。内服薬なし、アレルギーなし。
 身体診察では、T 38.4℃、他のバイタルサインは正常。皮膚症状は下記。

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(MKSAPより)

 本患者の診断で最も適切なのはどれか?
A.  水疱性足白癬
B.  蜂窩織炎
C.  接触性皮膚炎
D.  うっ滞性皮膚炎

 蜂窩織炎

 本症例は、蜂窩織炎である。蜂窩織炎は急速に広がる深い皮下の感染で境界明瞭な熱感、腫脹、圧痛、発赤があり、リンパ節腫長と発熱、悪寒を伴う。連鎖球菌感染に随伴する事があるがブドウ球菌が原因の事もある。下肢に起こる場合は両側性という事はまずない。下肢蜂窩織炎のリスクは同部位の蜂窩織炎の既往、リンパ浮腫、肥満、爪白癬、足白癬である。診断は臨床的になされる。血液培養陽性率は5%以下のため通常は採取不要。

 ❸その他の選択肢
水疱性足白癬:
接触性皮膚炎:接触性皮膚炎は発赤、腫脹、熱感などは似るが掻痒感を伴うため鑑別し易い。接触した部分に水疱を遺す事もある。
うっ滞性皮膚炎:うっ帯性皮膚炎は二次性に蜂窩織炎を起こす事はあるが原則的に両側性で圧痛は伴わない。

Key Point
✓ 蜂窩織炎は急速に広がる深い皮下の感染で境界明瞭な熱感、腫脹、圧痛、発赤がありリンパ節腫長と発熱、悪寒を伴う。

Bjornsdottir S, Gottfredsson M, Thorisdottir AS, Gunnarsson GB, Rikardsdottir H, Kristjansson M, et al. Risk factors for acute cellulitis of the lower limb: a prospective case-control study. Clin Infect Dis. 2005;41(10):1416-1422. PMID: 16231251 

 

MKSAP for Students 5

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MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program (Set of 2 Parts)

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