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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:鑑別診断の吟味/肺動静脈瘻/心臓再同期療法の適応

今週のカンファ。ちょっとアップ遅れ。
大物原稿10000文字に週末をもってかれました(笑)
今週末も一個はやらないとなああ。

鑑別診断の吟味 Scrutiny of differential diagnosis

 様々な場面で鑑別診断をあげることが多いと思います。当院でworking diagnosisを重視しているのは以前のブログにも書きました。

tyabu7973.hatenablog.com

で、鑑別をあげることは重要なのですが、もう一つはそのあげた鑑別に対する吟味です。鑑別診断を絞っていくときに、検査・検査・検査・・・となりがちですが、そもそも上げた時点で、典型例との比較をすることが重要になります。「この鑑別診断に合う点は何か、合わない点は何か」を一例一例丁寧に考察していく作業はいつになっても重要です。これを繰り返すことによって、Common疾患のUncommonプレゼンテーションを引っかけることが出来るようになりますし、逆にCommonに飛びつきやすいアンカーバイアスを避けることも出来ます。

 そういった意味では鑑別診断をただ羅列するのではなく、その患者さんの病歴・身体所見・検査結果などで合致する所見、合致しない所見のカルテ記載を心がけるのが良いのかもしれませんね。もちろん、まずは合致する所見なのかそうでないのかを判断するために、その疾患のTypical Presentationを頭にたたき込んでおく必要があります。でないと合うか合わないか分かりませんから・・・当たり前のことではありますが、なかなか実践が出来ていない部分のように思います。

 ✓ 鑑別診断の吟味は合う点・合わない点をきちんと羅列すること。

 

 

 肺動静脈瘻  Pulmonary arteriovenous fistula

 右左シャントを疑う所見っていくつかありますが、やはり動脈性の塞栓症なのに、左心系トラブルがあまりなさそうな患者さんで疑うという状況が多いかなと思います。

 例えばASDやPFOもありますが、今回は肺動静脈瘻の話題が出ていました。一番有名なのは、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT:いわゆるOsler病)の患者さんに起こるものでしょうか。この疾患の場合50%に肺動静脈瘻を合併するとも報告されています。気付かれるのは右・左シャントによる血栓塞栓や膿瘍塞栓ですが、無症状の患者でも慢性的に酸素化されない血液が瘻を通過していくため、慢性的な低酸素血症・多血になると言われています。

 先日も繰り返す脳塞栓や下肢塞栓で、心房細動や器質的な心疾患がないけど、深部静脈血栓症が見つかって・・・という見つかり方でした。以前は外科的手術だった様ですが最近はコイル塞栓が多い模様です。大きさは3mm以上が手術適応とのこと。まずは疑うことが重要ですね。
  

http://clinicalgate.com/wp-content/uploads/2015/06/B9781437716184000377_f30-01-9781437716184.jpg

http://clinicalgate.com/wp-content/uploads/2015/06/B9781437716184000377_f30-01-9781437716184.jpgより引用)

 ✓ 奇異性塞栓の鑑別に肺動静脈瘻も考慮しよう

 

 

心臓再同期療法の適応 Indication of Cardiac Resynchronization Therapy

 一応おさらい的に。心臓再同期療法(CRT)は2004年から保険適応になり重症心不全患者で適応となっています。2010年の算定用件は、

循環器科および心臓血管外科を標榜している病院であること
②心臓電気生理学的検査を年間50例以上実施している。うち5例以上は心室性頻拍性不整脈症例に対するものである。
③開心術または大動脈・冠動脈バイパス術を合わせて年間50例以上実施しており、かつ、ペースメーカ移植術を年間10例以上実施している。
④体外式を含む補助人工心臓等を用いた重症心不全治療の十分な経験のある施設であること。
⑤常勤の循環器科および心臓血管外科の医師がそれぞれ2名以上配置されており、そのうち2名以上は、所定の研修を終了していること。

というわけでなかなかハードルが高いですねえ。

 ガイドラインを見るとCRTの適応で最も良いのが、
ClassⅠ
 最適な薬物療法でもNYHA クラスⅢまたは通院可能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し、左室駆出率35%以下、QRS幅120msec以上で、洞調律の場合

 とされています。基本は重症心不全ですが、単なるEF低下のみならずQRS幅が広くて、同期不全が起こっているような症例にはよく効くとされています。

 ✓ CRT療法の適応を押さえ、適切に導入紹介できるようにしよう