栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics リスクの高い患者ではニコチン酸アミド内服が新規の非悪性黒色腫性の皮膚がんを減らす

ACPJCのんびり行きます。
そういえば昔ニコチン酸アミドを類天疱瘡の方に使ったことがありました。

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A phase 3 randomized trial of nicotinamide for skin-cancer 

Chen AC, Martin AJ, Choy B, et al. 

N Engl J Med. 2015;373:1618-26.


臨床上の疑問:
 皮膚癌リスクの高い患者では、ニコチン酸アミド内服はプラセボと比較して、悪性黒色腫以外の皮膚癌を減らすか?


方法:
①デザイン:国ランダム化比較試験(Oral Nicotin-amide to Reduce Actinic Cancer:ONTRAC trial)。オーストラリアとニュージーランドの臨床研究レジストリーに登録。
②隠蔽化隠蔽されている
③盲検化盲検されている(患者・臨床医・アウトカム評価者)
④フォローアップ:12ヶ月(治療期間)と18ヶ月(治療後6ヶ月)
⑤セッティング:オーストラリアシドニーの2つの病院

⑥患者:18歳以上の成人 386人(平均年齢 66歳、男性 63%、平均)。過去5年間に悪性黒色腫以外の皮膚癌に2つ以上罹患している患者
 除外基準は、妊娠や授乳中、免疫抑制状態、肝腎機能低下、活動性の消化性潰瘍、低血圧、最近の心筋梗塞、遺伝子皮膚がん症候群、皮膚癌既往、ニコチン酸網戸使用、経口ビタミンA誘導体、光線角化症の治療、転移性腫瘍、浸潤性黒色腫、内臓悪性腫瘍など。
⑦介入:経口ニコチン酸アミド 500mg 2錠分2(n=193人)とプラセボ(n=193人)を12ヶ月
⑧アウトカム:プライマリアウトカムは12ヶ月以内に新規発症した病理確定の非黒色腫性皮膚癌(基底細胞癌もしくは扁平上皮癌)発症頻度。他には、12か月以内の新規基底細胞癌・扁平上皮癌・光線角化症の頻度。12-18か月の非黒色腫性皮膚癌頻度、副作用。
⑨患者フォローアップ:フォローアップ率 96%/12か月(95%/18か月)、ITT解析

結果:
 12ヶ月後時点でプラセボと比較して、ニコチン酸アミドは、非黒色腫性の皮膚癌を有意に減らした。また、光線角化症も有意に減少 (-6.9 to -3.9)した。12か月時点での新規の基底細胞癌・扁平上皮癌単独では両群差は認めなかった。6か月時点でも有意差なし。重篤な有害事象は、ニコチン酸アミド群が67件、プラセボ群が65件だった。

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(本文より引用)

結論:
 皮膚癌リスクの高い患者では、ニコチン酸アミド内服はプラセボと比較して、悪性黒色腫以外の皮膚癌を減らす

 これは興味深いです。ただ、皮膚癌の研究はどうしてもメラニン色素の問題があるので欧米データを本邦に外挿することは非常に難しいです。ニコチン酸アミドは、日光障害性皮膚障害に対するDNA修復機構と皮膚免疫への影響が機序の模様です。
 非癌予防でもう一つ有名なのは日焼け止めですが、アドヒアランスが圧倒的に異なり、外用は50%程度と言われています。今回効果が検証され、低費用・低毒性の薬剤がでたことで、皮膚癌予防は次の時代に入ったと言えるかもしれませんね。 

日光角化症・皮膚癌カラーアトラス―診断と治療のポイント

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