栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics ACRがRAに対する10の治療推奨を提示

ACPJCです。
こんなん出てたんですねえ。原文読まんとな。

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2015 American College of Rheumatology guideline for the treatment of rheumatoid arthritis. 

Singh JA, Saag KG, Bridges SL Jr, et al. 

Arthritis Rheumatol. 2016;68:1-26.


臨床上の疑問:
 関節リウマチ患者で、アメリカリウマチ学会(ACR)が強く推奨するエビデンスベースドな薬物治療はなにか?


方法:
①Review範囲:現在使用可能なDMARDs・TNF-α阻害薬・非TNF-α生物製剤・トファシチニブ・ステロイドの18歳以上の成人に対する薬物療法効果を検証した研究を組み入れ。
②方法隠MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、Cochrane libraryを2014年9月まで評価。英語のシステマティックレビュー・RCT・観察研究が評価された。108研究が組み入れ基準をみたした。
③エビデンス評価GRADE systemでエビデンスの質を評価。
④評価者:リウマチ専門医と患者代表からなるパネルがエビデンスを評価し、治療薬の効果と害について検証した。
⑤エビデンス基準:エビデンス・臨床経験・患者の好みや価値を評価した。
⑥投票方法:最終的な推奨は匿名で投票され、70%以上のパネルメンバーが推奨するとした項目"strong"として推奨した。ただし、推奨は高リスク合併症のある患者には適応しないこと。

結果:
 ACRの推奨は以下。

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(本文より引用)

結論:
 ACRは早期および診断後RAに対する10の推奨を出したが、どれもクオリティが高くない。

 GRADEで評価されたACRのRAガイドライン。GRADEで強く推奨する状況とは、ほとんどの患者がその治療を受けるべきで、治療による利益が害を明らかに上回る場合とされています。今回ACRのガイドラインでは強く推奨する項目を10項目策定したものの、そのほとんどが低レベルのエビデンスに裏打ちされるものでした。このガイドラインを使う場合に、この強い推奨とエビデンスレベルの低さに戸惑う人が多いのでは?と指摘しています。

 これではこのガイドラインの推奨は実質診療に大きな影響を与えないでしょう。理想的には、最も効果的な治療がどれかをエビデンスを元に推奨できることが望ましいですがなかなか。
 GRADEの特徴であるエビデンスの質評価と推奨の強さを切り離したことによって、このようなアンバランス(質は低いが強く推奨など)が生まれてくるという考えもあるでしょうか。

診療ガイドラインのためのGRADEシステム-第2版-

診療ガイドラインのためのGRADEシステム-第2版-