栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

NEJM Knowledge+:66歳女性 血が止まらない

NEJMのKnowledge+です。
これは良問。別名ハイド症候群でしたっけ。
更新は不定期でいこう!というわけで気楽に〜。

症例:66歳女性 血が止まらない

 66歳女性が、1日前から便に新鮮血が混じるとのことで救急外来を受診された。
 過去3か月以内に腕や足に容易にアザが出来ることに気付いていた。また2週間前には突然鼻出血が出現している。この一年で徐々に呼吸困難が出現進行しており、先月からは労作時の胸痛や圧迫感も自覚するようになった。過去にはこのような易出血性・鼻出血・アザなどは認めておらず、出血性疾患の家族歴なども知る範囲では無いという。また、この10年間ほとんど医療機関受診は無く、内服薬も内服していない。
 心拍は110回/分で、血圧 90/75mmHg。身体診察では頚動脈波の立ち上がり緩徐、収縮期雑音でcrescendo–decrescendo murmurを聴取、掻破痕を伴う出血斑が四肢に多発していた。
 採血結果は以下

f:id:tyabu7973:20160327193124p:plain(本文より引用)
肝機能は正常、心臓超音波では重症の大動脈弁狭窄症で平均圧が50mmHgで大動脈弁口面積 0.8㎠だった。


質問. この患者の出血素因の原因を明らかにするための検査はどれか?

  1.   Von Willebrand多量体解析
  2.   APTT測定
  3.   第Ⅷ因子検査
  4.   Von Willebrand因子抗原値
  5.   PT測定

 

Key Learning Point

After initiation of a continuous intravenous insulin infusion in a patient who is in a hyperosmolar hyperglycemic state, the serum sodium level is expected to increase. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
高 血糖高浸透圧状態にある患者において持続静脈内インスリン注入の開始後、血清ナトリウムレベルが増加すると予想される。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
患 者に害を引き起こす医原医療ミスを伝えるための適切な方法は、エラーのオープンで正直なアカウントを提供し、患者に正式に謝罪することです。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1015/answer/B/#sthash.vBmBG3vd.dpuf
慢 性閉塞性肺疾患の増悪と高炭酸ガス呼吸不全や肺炎の証拠で入院した患者は、気管支拡張薬治療、全身グルココルチコイド、およびフルオロキノロンまたはマク ロライド系抗生物質で治療すべきである。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/235/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=5867c46d2a7fbaecc6edeccb8b5f2d7372c2badebfd1c8e5638e924cb4d6a052#sthash.X4dusLJi.dpuf
The gradual development of arm weakness and Horner’s syndrome in an older former smoker is most indicative of a diagnosis of an apical bronchogenic cancer known as a Pancoast’s tumor. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/932/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=8b697793f3c2f6a9d68dcdc1826ffea87b269461ef7de16dbcbb80275770fc7a#sthash.YmYXCOj2.dpuf

 大動脈弁狭窄は後天性von Willebrand症候群による出血素因を来すことがある。

回答 1. von Willebrand多量体解析

解説:

 大動脈弁狭窄症や他の心疾患(弁膜症や心内膜炎、心房中隔欠損など)は、後天性von Willebrand症候群の原因になることがある。本症候群の患者は先天性von Willebrand病と同様に粘膜出血を来す。大動脈弁狭窄症は消化管粘膜の血管異形成を起こしやすいといわれ、消化管出血の原因となる。
 
 この現象の原因として、障害のある大動脈弁部分でずり応力が生じ、von Willebrand因子(vWF)は多量体から単量体を形成できなくなることで、ADAMTS13による蛋白分解切断が引き起こらなくなることが考えられている。

 vWFの高分子量の多量体の消失もしくは減少は、vWFの機能喪失に関連し、血小板機能も低下する。高分子量の多量体の消失もしくは減少はvWFの多量体解析で検出することが可能である。vWFの高分子量の多量体の消失もしくは減少はvWF機能を低下させるが抗原レベルまでは低下させない。vWF抗原検査は通常正常である。vWFは第Ⅷ因子と結合・保護したんぱく分解を阻止する。


 心疾患による後天性von Willebrand症候群はPTやAPTTの異常は起こさないのが特徴。

Citations

  • Loscalzo J. From clinical observation to mechanism--Heyde's syndrome. N Engl J Med 2012 Nov 16; 367:1954. 

  • Vincentelli A et al. Acquired von Willebrand syndrome in aortic stenosis. N Engl J Med 2003 Jul 25; 349:343. 

  • Warkentin TE et al. Gastrointestinal angiodysplasia and aortic stenosis. N Engl J Med 2002 Sep 13; 347:858. 

     

なんだか久々に血小板機能の問題を考えたなあ。
基本第Ⅷ因子に影響でないからPT・APTTとも正常なんだなあ。
見逃している可能性は十分あり。

レジデントのための血液診療の鉄則

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