栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:横断性脊髄炎/脳梁膨大部病変/カンジダ食道炎

今週のカンファあげときます。
なかなか勉強になりました。まだまだ勉強不足なり。

横断性脊髄炎 Transverse myelitis

 なかなか出会う機会がないのでこれを機会にお勉強。まずはDiagnostic criteriaがあるんですねえ。Uptodateからさらっと載せておきます。そもそも100万人に1人の稀少疾患ですからねえ。

・感覚/運動/自律神経障害が脊髄由来で起こっている。
・症状や身体所見が両側
・感覚障害の境界が明確
・脊柱管圧迫が認められない
・脳脊髄液による白血球増多またはIgG index増加またはガドリニウム造影
・進行が4時間から21日程度で横ばいになる。

なるほどねえ。
で、問題は原因なのですが、これが実に多彩。結局myelopathyの中で、血管性の脊髄梗塞とか脊髄硬膜動静脈瘻、代謝・栄養性のVitamin B12欠乏・銅欠乏(Vitamin DやE欠乏も起こすらしい)、悪性腫瘍性の脊髄腫瘍、放射線性などを除外することが重要です。

 さて、横断性脊髄炎は炎症性の脊髄炎ですが、現時点では明らかな原因は特定されておらず、
①特発性 最多
②2次性 
に分けられます。この2次性の横断性脊髄炎の鑑別が多彩なわけです。
以下はとにかく列挙してみます。
ヘルペスウイルス感染(VZV・HSV・CMV・EBV)
・インフルエンザ
・エコー
HIV
・West Nile熱
A型肝炎
・麻疹
・風疹
・梅毒
・中枢神経Lyme病
マイコプラズマ
・SLE
・Sjogren症候群
・傍腫瘍症候群
・多発神経根症状をきたす疾患(多発性硬化症・NMO・ADEM

というわけで、まあ何でもありですな。

 ✓ 横断性脊髄炎の原因は多彩

 

 

脳梁膨大部病変  Transient collosal splenium lesion

 これも最近少しずつ注目されつつある概念ですね脳梁部分にMRIの拡散強調画像およびADC mapで異常所見が出現する概念で、多くの病態が原因でこの変化が起こること、この変化自体は可逆性であることなどが報告されている。

https://www.researchgate.net/publication/264716774/figure/fig1/AS:282620660338749@1444393424936/Figure-1-Initial-and-follow-up-MRI-15-T-Achieva-Philips-Healthcare-Best-NL-after.png
https://www.researchgate.net/publication/264716774/figure/fig1/AS:282620660338749@1444393424936/Figure-1-Initial-and-follow-up-MRI-15-T-Achieva-Philips-Healthcare-Best-NL-after.pngより引用)


 有名なのは、可逆性脳梁膨大部病変を有する脳炎脳症(Mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion:MERS)と呼ばれる病態は感染症に関連したものとして2004年頃に本邦で報告されています。主に小児科に多い模様です。

 感染症以外でこの病変を来す病態としては、てんかん薬の開始や中断、高山病、低血糖などの代謝異常、アルコール多飲、腎不全、電解質異常などが報告されている模様です。脳梁膨大部の可逆性の病変を見たら本病態を考えましょう。
  
 稀ですが、脳梁梗塞とやらもありますが基本的には血流豊富な部分であり、梗塞は考えにくいと思いましょう。梗塞の場合にはどちらか左右に偏在していることが多いです。

 ✓ 画像での可逆性脳梁膨大部病変の鑑別を考えられる様に。

 

 

カンジダ食道炎 Esophageal candidasis

 レジデントの置き土産を消化しておきます!まず、大前提としてカンジダは正常人でも、消化管・上気道・膣などの粘膜や皮膚の擦過部位には常在しています。

 食道カンジダと口腔カンジダ症は同じ表在カンジダですが、口腔カンジダが局所投与でOKとしているのに対して、食道カンジダの治療は抗真菌薬の全身投与が必要とされています。ただ、この根拠は明らかにはなっていません。

 カンジダ食道炎で最も多いのはCandida albicansです。細胞免疫が落ちている患者で多いので、HIV患者や臓器移植患者・血液疾患で多く見られます。AIDs標的疾患の一つにもなっています。もちろん他の要因もたくさんあり、加齢・胃酸抑制する薬剤・迷走神経切断術・食道の機能異常・糖尿病や甲状腺機能低下、副甲状腺機能低下・低栄養・アルコール依存・最近の抗菌薬使用辺りがリスクになるそうです。そもそも免疫不全状態の患者さんの場合には、内視鏡やるよりもempiricalに治療した方が費用対効果が良いなどの報告もあるようです。
 
 治療は2009年にIDSAのガイドラインが出ていますが、原則フルコナゾール経口投与200-300mg/日を14-21日が推奨されています(Grade A-Ⅰ)。
http://www.idsociety.org/uploadedFiles/IDSA/Guidelines-Patient_Care/PDF_Library/Final_Japanese_version_of_Candida_2011.pdf
 

 ✓ Candida食道炎の治療・原因に精通しておこう