栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Review PCSK9阻害薬は全死亡を減らしたが神経認知イベントは増やした

ACPJCです。
PCSK9は鳴り物入りだったけどここで暗雲ですね。
まあなかなかうまくいかないって事だなあ・・・

f:id:tyabu7973:20160330222643j:plain

The impact of proprotein convertase subtilisin-kexin type 9 serine protease inhibitors on lipid levels and outcomes in patients with primary hypercholesterolaemia: a network meta-analysis.

Lipinski MJ, Benedetto U, Escarcega RO, et al.

Eur Heart J. 2016:37:536– 45.


臨床上の疑問:
 原発性高コレステロール血症の患者において
、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬は心血管イベントや死亡を減らすか?

方法:
①Review範囲:コレステロール血症患者で高用量PCSK9阻害薬治療(evolocumabまたはalirocumab)をエゼミチブに追加した場合とプラセボに追加した場合を比較した研究を組み入れ。家族性高コレステロール血症でホモ接合体は除外。
 アウトカムは、全死亡・心血管死亡・主要心血管イベント(MACE)・神経認知機能

②Review方法
MEDLINE、Cochrane Central Register、ClinicalTrials.govを2004年8月から2015年3月まで評価。Phase 2研究やRCTが評価された。アブストラクトのみは除外。
 17RCTs(n=13083人、平均年齢 59歳、52%男性)で、規模は46人から4465人までの研究が組み入れ基準をみたした。
 フォローアップは12-78週間。全ての研究は2012-2015年までに発表され、研究の質はGRADE systemによって評価された。

 

結果:
 ネットワークメタ解析によると、PCSK9阻害薬は全死亡を減らしたが、心血管死亡や主要血管イベントは減らさなかった。神経認知イベントは増やす結果だった。
 6か月以上フォローアップした研究のアウトカムでは、PCSK9阻害薬はプラセボと比較して主要血管イベント(MACE)を減らした。(1.3% vs 2.3%、RR 0.45:0.23-0.61)
 7RCTのメタ解析ではPCSK9阻害薬とエゼチミブは全死亡・心血管死亡・主要血管イベントで差が無かった。

f:id:tyabu7973:20160330222653j:plain

(本文より引用)

結論:
 原発性高コレステロール血症の患者において、PCSK9阻害薬は全死亡をへらすが、心血管イベントや主要血管イベントはを減らさず、神経認知機能イベントを増やした。

 難しいところですね。なぜエゼチミブへの上乗せ効果にしたんだろうか。スタチンとの研究は複数あるみたいで(ClinicalTrials.gov NCT01663402, NCT01764633, NCT01975389, and NCT01975376)、その結果待ちですね。