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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:Pemberton sign/腸球菌の感染性心内膜炎/心不全と腹痛

今週のカンファだいぶアップ遅れ。
これもそろそろ外注かな(笑)。

 

Pemberton sign

 恥ずかしながら今回初めて知りました。レジデントから教わるというのは嬉しいですね。やっぱりミクスチャー大事。色んなところから人が集まってくれるからこそです。お互いの得意不得意を合わせようと。
 百聞は一見にしかずなので・・・これです

http://annals.org/data/Journals/AIM/19867/6FF1.jpeg
http://annals.org/data/Journals/AIM/19867/6FF1.jpegより引用)

 この所見は1946年にHugh Pemberton医師によって発見された所見であり、胸郭入り口に圧力がかかっていることを示すための身体所見です。

 具体的には患者に両腕を万歳するように挙上してもらい、1分後に顔面うっ血やチアノーゼ、呼吸困難症状が出現することを陽性としています。まさにこの写真の方の様ですね。

 陽性になる原因としては、有名なものでは上大静脈症候群や縦隔の腫瘍です。古典的には最も報告が多いのは胸骨下の甲状腺で、甲状腺腫が胸腔内に嵌頓するような状態になって引き起こると言われています。原理的には縦隔に占拠性病変があれば起こるので、リンパ節・腫瘍・繊維化など種々の原因で起こり、症例報告ではのう胞性線維症やCastleman症候群、アミロイドーシス、肺尖部肺癌などでの報告があります。
 

 ✓ Pemberton sign陽性は胸郭入り口の圧迫病変の存在を疑う

 

腸球菌の感染性心内膜炎 Infectious Endocariditis due to Enterococcus spp

 いやあ、やっかいでした。本当にどうにかして欲しい・・・世界的に問題になっているのは腸球菌の耐性化です。もともとEnterococcus faecalisは感受性良好な腸球菌で、βラクタマーゼを賛成する菌は非常に稀でした。このため、これらの菌はABPCなどのアミノペニシリンが有効なわけです。ただ、近年徐々にβラクタマーゼを産生する株が増えています。更にはストレプトマイシンやゲンタマイシンなどのアミノグリコシドへの耐性化も同様に問題になっています。
 
 特にABPCに高度耐性を持つ腸球菌がEnterococcus faeciumによく見られます。これらはバンコマイシンで治療していましたが、さらにバンコマイシンの耐性株が散見されるようになりました。これがVREですね。治療抵抗性腸球菌IEの場合にはリネゾリドなども選択肢になります。

 ちなみに侵入門戸を検索する場合には、消化管、尿路、血管内カテーテル、創部(潰瘍や熱傷)を考慮する必要があります。治療は最低6週間。
 

 ✓ 腸球菌の感染性心内膜炎は起因菌および感受性によって抗菌薬治療が異なる

 

 

心不全と腹痛  Heart failure and abdominal pain

 腹痛の鑑別診断ってめっちゃあるよね〜という話題。特に心不全では腸管や内臓鬱血により腹部症状が前面に立つ可能性があります。時折経験するのが胆嚢炎と間違われる症例や肝炎と間違われる症例です。これらは肝鬱血が病態の首座なのかもしれません。

 少し調べてみたら、心不全患者に麻痺性イレウスの合併が有意に多いと報告している症例対照研究もありました。 (J Am Geriatr Soc 1999 Feb;47(2):258) Commonな疾患のrare presentationは押さえておきましょう!

 

 ✓ 腹痛を主訴で来る心不全がある。